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アンデッド ─undead─ 一部  作者: 秋暁秋季
第三体 擦れ違う、二人
125/178

1 夕飯はレバニラです。

 部屋を出て行こうとすると、後ろから塊の声が飛んできた。

「ご飯作るの? じゃ、俺も行くー」

 刷り込みをした雛鳥のように、私の跡をついてくる。昔は……私の方がその立場だったのに。何時も側を着いて行って、毎日を楽しく過ごしていたのに。

 ……嘆いたって仕方がない。今を生きなければ。

「今日は買い出しに行ってないから、残り物の処理ねー」

「へいへい」

 共に台所に着くなり、私は冷蔵庫の中を確認した。あるのはニラとレバー、もやし……。なんだか冷蔵庫から『今晩の夕飯はレバニラだから。決定だから』と遠回しに言われているような気がする。

 塊を見るときょとんと此方を見据えていた。塊も意図してレバニラを作る気では無かったようだ。

「レバーとニラ、もやしが残ってた」

「じゃー、レバニラだね。なんだか冷蔵庫に『今日はレバニラを作りなさい』って言われている感じだねー」

 私と同じ事を考えていたようだ。その妙なシンクロに内心ぞっとしながら、私は材料を取り出した。

 塊の横にならび、料理番組でも始めるようにエプロンを装着。ニラを切るのは塊に任せて、私はレバーの下処理を開始する。

 袋の中に何グラムかのレバーと調味料を入れ、下味を付ける。その間、暇を出される事となるので、塊の様子を観察。手際もいいし、危なっかしい所は見られない。

 だから炒める時に使われる調味料を合わせる事にした。酒、醤油、砂糖、胡椒をボウルに入れ、小さな泡立て器でかき回す。それ以外は……。あぁ、そうだ。もやしを洗っていなかった。袋からもやしを出すとザルに入れ、流水で軽く洗い流す。刻む必要はないので、そのまま放置。塊もニラを切り終わったようだし、次の行程に移ろう。

「塊、フライパン温めといて」

「はーい」

 そう言うと戸棚からフライパンを出し、言われたとおりに火にかけ始めた。私はというと、漬け置きしておいたレバーの漬け汁を捨て、片栗粉を全体にまぶす。

 塊の方を一瞥すると、胡麻油と細切りにしたにんにくを入れて熱しているところだった。言い忘れていた事を実行しているようで助かる。香りも出てきたし、そろそろレバーを投入する事にしよう。

「塊、レバー入れるから……」

「じゃー弱火ね」

 コンロの火を弱めたところでレバーを入れる。油の弾ける音と共に肉の表面が僅かに焦げる。しかし中まで火を通さないと食中毒を引き起こすため、念入りに。

 塊が火を見てくれいる為、私は暇となった。取り敢えず、もやしとニラを塊の側に置き、端の方に寄る。近くに居ても邪魔になりそうなので、そそくさと移動した。

「後やっておくから、テーブルでぐーたらしてて」

「はーい」

 適当な返事を返してテーブルへ。携帯を出してインターネットに接続する。もうそろそろ岩悪の新刊が発売される頃だ。前回は続きを引きずる形で終わってしまった為、早く読みたい。表紙のイラストを見て、発売日を待ち焦がれる。

 一人楽しく携帯を操作していると、香ばしい匂いが鼻孔をくすぐった。

「お待たせー」

 エプロン姿の塊がレバニラを盛った皿をテーブルに置いていた。湯気が立つのもそのままに、そそくさと炊飯ジャーの元へ。茶碗に自分のと私の分の米を盛り、静かな食卓を囲む。

 レバニラは久しぶりに作った割には出来が良かった。此処最近、塊に料理を任せっきりだった為、手伝えて良かった。

 機械的に箸を動かしていると、塊が笑顔で尋ねてきた。

「ねねっ、美味しい? 美味しい?」

「……うん」

 お前は新妻か……。(勿論、塊は生まれも育ちも歴とした男である)

「あっ、食器は洗っとくから先にお風呂入っててね」

 ……新妻ぶりに磨きがかかった気がする……。まぁ、そんな事はどうでもいい。今は食事を続ける事にしよう。

 そうして私達は互いに箸を休める事なくレバニラを食べ終えた。 

打ち切りではありません。

詳しくは、緊急連絡をご覧下さい_(._.)_

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