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今の私はどうなのだろうか…………。
「弛んでます?」
「いや。でも成功の連続は過大や過信に繋がる。どんなに慎重な者でも、それは免れられない。何時かは失態を踏み、そしてまた反省して成長する。人間とはそう言った生き物だ。けれどね」
所長は言葉を準備しているようだったが、物凄く言い難くそうな顔をした。溜め息をついたり、前髪をかき上げたりして時間を稼いで焦らしてくる。しかし最終的には考えを纏めたようで、射抜く双眸で見据えてきた。
鷹の目、そう言うに相応しい。だから私は息を呑んだ。
「その失態が取り返しがつくならば良い。つまり生きてくれてさえ居ればいい。でも──」
「死んだら元も子も無い」
「そういう事だよ。だから、過信するのも過大評価するのも大いに構わない。でも“死なない程度”に済ませてくれよ」
あぁ、きっと今の私は自覚していないけれど、無意識に過信しているのだろう。
こういった事は人から指摘されて気付くことだから、自分では気が付かなかっただけで。でも理解していないなりに、気を付けなければ必ず命を落とす。困ったものである。
今の敵は私自身。気張る事でしか対象できない。だからと言ってそれだけで万全だとも言えない。
難しい。今後仲間を頼る事も増えていく事だろう。
「話しはお終い。メールじゃ伝わらないから呼び出しただけ。死体と出会ったら必ず独りで戦わない。必ず誰かを呼ぶ。生還する。こういった事を忘れないこと」
「はい」
短い返事をして立ち上がる。所長に簡単に会釈して、錆び付いたドアの元へと向かう。ドアノブを捻る際に自分のロッカーが気になり一瞥する。硝吸鎌は特に変わりなく、普通だった。これからもそうであって欲しい。
もし、死体狩り達が転た寝していたら……?
という設定で、短編集を書かせて頂きました(*´∀`)
硝吸鎌、罅荊ちゃんに限らず、所長の相棒、シスター(滅籍)も登場してます(^^ゞ
興味が御座いましたら、ちらっと覗いて頂けると大変嬉しいです(*´∀`)