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アンデッド ─undead─ 一部  作者: 秋暁秋季
第二体 ミエザルメ
113/178

2

「んな事を言う奴がいたら、愛子が弱点見つけ出して校内新聞に乗せてやる~!!」

「…………」

「まっ、そんなこんな事は無いとしても、さとりんがですねー。可愛いんですよー。もー、愛子のマイブーム。男子に見せて回ると顔赤くするからなお楽しい」

 愛子さんが最高に良い笑顔を浮かべる反面、覚さんの表情筋が強張り、徐々に青ざめてゆく。このような間近な温度差を感じることは一生に一度あるかないかだろう。

 しかし覚さんには悪いが、此処まで言われると少々気になってきた。黙って視線を鎖骨に向けるとわずかにびくっと体を震わせた。本当に急所らしい。

「私…………これで……。きゃんっ」

 振り返り、立ち去ろうとした覚さんの肩を、愛子さんは軽く掴むようにして止めた。どうやらそれが鎖骨に直撃したらしい。一瞬背筋が伸びたかと思うと、直ぐにへなへなと床に尻餅を着いてしまった。恐る恐る振り返ってくると、両目がしっとりと潤んでいる。なる程、捨てられた子犬とはこの事か……。

「もうっ、止めてよー」

 束ねられた髪がふわふわと膨張するが、全然怖くない。子犬が一生懸命虚勢を張っているとしか思えない。いっそうこのままライオンでも狼の群にでもほっぽり投げてしまいたくなる。

 まぁ、そうしようとすると絶対に止めに入る輩が居そうだが。

「あんまり虐めないであげてね」

「根元を知らしめたお前が言うか!?」

 おや、考えていると本当に来た。流石である。彼は穏やかそうな両目を少しだけ困らせて、私達に言った。

 髪は漆黒、目は黒くて垂れ目。覚さんの相棒、もしくは片割れと言ってもおかしくないほどに時間を共有する男子。

「そもそも宵光が下らないことしなければ、此処までの騒ぎには成ってなかったよ!!」

「ごめん。ごめん。でもだから止めに入ったんだよ?」

 半泣き状態の覚さんの頭を軽く撫でて、穏やかに諭す。

 彼の名前は夜久宵光(ヤヒサ ヨミ)。物腰穏やかで、覚さんが警戒心無く話せる数少ない男子である。それだけでもかなり珍しいのだが、男子でありながら覚さんに特別扱いされる凄い人。

「……で、夜久君。何したの?」

「……で、夜久。何したの?」

「……で、夜久君。何したの?」

 その場にいた私、群青、雫が口を揃えて三人を見る。すると愛子さんは目を輝かせながら、 夜久君は少しはにかみながら、覚さんはきょとんとした顔で、こう行った。

「さとりんの鎖骨を実際に撫でたの!!」

「多分、今ではセクハラの域に入っちゃうのかな?」

「大丈夫、宵光だから訴えたりしないよ。他の奴なら訴える前に金取ってたけどね」 

 話している次元が違い過ぎる。女子同士だから許される行為も男女となるとセクハラになる事もある。

 それをあっさりやってのけた夜久君。天然なのか大物なのかよく分からない。そして覚さんは他の奴にやられたら訴える前に金取るとか……。なんだか問題にするところが其処ではない気がするのだが……。

覚にはべったべたな宵光ですが、愛情を込めていじります………(;´Д`)


策士め…………!!

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