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別れ~アンドーヌの街~

 アンドーヌは、アルフィールドとは比べ物にならないほど、大きな街だった。

 通りは、すべて石畳となり、同じような形に建てられた石造りの2階建ての家々が、整然と並び、街の真ん中に設けられた広場にある教会は、いくつもの尖塔を天を突かんばかりに尖らせている。

「ようやく、着いたわね。これで一安心。」

 アリアナの口調はかなり明るい。

 とりあえず、アンドーヌに着いたことは、ハロルドに安心身分差別的な考えは無かったが、エマはもともと、アリアナを匿ったが為に連れて行かねばならなくなったという平民であり、エマをどこまで連れて行くのかという問題は、ずっと頭をもたげていた。

 馬車は、教会の広場のすぐ近くにあるアルフィールドの城にも負けないほど、立派な大きな屋敷に止まった。

 屋敷の正面には、大きくミリング商会という看板が掲げられ、軒先では人足たちが、大きな木箱を威勢のよい掛け声とともに担ぎ上げ、奥の蔵へと運び入れていく。

 ガリアと別れた一行は、城へと向かおうとしたが、エマは、ミリング商会で世話になると断った。 アリアナが、少し泣きそうな顔になって、エマの手を取ったが、エマはそんなアリアナの手を優しく解いた。

「おじ様は、身分などあまりお気になさらない方ですが。せっかく、ここまで一緒だったのに。」

「そんな顔、するんじゃないよ。私が『気にする』のさ。ガリアさんに雇ってもらえることになったし、アンには感謝してもしきれないんだから、笑顔でお行き。」

 アンドーヌに着いた今、アリアナが、アンドーヌ家に受け入れられれば、エマは慣れないお城暮らしであり、それは可哀想だとハロルドは考えていた。それは、アリアナとてわかっていた。

 そうして、ハロルドは、エマと握手をすると、別れてあげるようにアリアナに耳打ちした。

 アリアナは、力なく頷いた。

  

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