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異世界転移者専用ヘルプデスクですが、なぜか俺の黒電話に繋がります  作者: よんまるよん


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16/22

第16話 ヒロインも転生者だったんですけど

 ジリリリリリ。


「死ね」


「もしもし」


「死ね」


「ヘルプデスクですか」


「違う」


「ステータスに書いてあったんですけど」


「俺んち」


「えっ」


「俺んちなんだよ何回言わせんだ」


「あ、すみません」


「で、何」


「ヒロインです」


「は?」


「ヒロインです」


「は?」


「『なんとか学園』のヒロインです」


「お前」


「はい」


「来たな」


「来た?」


「悪役令嬢がさっきかけてきた」


「えっ」


「お前を攻略するって言ってた」


「えっ」


「胸でな」


「えっ」


「諦めろ」


「えっ」


 受話器の向こうで何かが落ちる音がした。


 たぶんティーカップ。


「お前」


「はい」


「で、何の用」


「えっと」


「答えろ」


「私も転生者です」


「お前」


「はい」


「は?」


「私も転生者です」


「は?」


「私も転生者です!!」


「お前」


「はい」


「ヒロインだろ」


「ヒロインです」


「で、転生者」


「転生者です」


「ふーん」


「ふーんって!?」


「お前」


「はい」


「前世何」


「OLです」


「お前」


「はい」


「悪役令嬢もOLだったぞ」


「えっ」


「OLしかいねえのか異世界転生」


「OLしか」


「働きたくねえやつばっかりだ」


「ばっかり」


「お前」


「はい」


「過労死か」


「過労死じゃないです」


「じゃあ何で死んだ」


「同僚と取っ組み合いになって」


「は?」


「階段から落ちました」


「お前」


「はい」


「悪役令嬢と同じだぞ」


「えっ」


「死因」


「えっ」


「同じだ」


「えっ」


「お前」


「はい」


「相手」


「は?」


「取っ組み合いの相手」


「えっと」


「答えろ」


「同期の女です」


「名前」


「鈴木」


「お前は」


「佐藤」


「お前」


「はい」


「悪役令嬢は佐藤か鈴木か」


「えっと」


「お前の前世名」


「佐藤」


「で、悪役令嬢の前世名」


「えっと」


「答えろ」


「分かりません」


「お前」


「はい」


「聞け」


「聞く!?」


「聞いてみろ」


「聞いてみる!?」


 受話器の向こうで足音がする。


 お茶会の会場に戻ったらしい。


「あの」


「何」


「悪役令嬢に聞きました」


「で?」


「鈴木でした」


「お前」


「はい」


「相手だ」


「相手!?」


「お前を階段から落としたやつだ」


「えっ」


「お前」


「はい」


「待て」


「えっ」


「取っ組み合いで落ちたんだろ」


「落ちました」


「鈴木も落ちたな」


「落ちました」


「鈴木も死んだな」


「えっ」


「死んだろ」


「えっ」


「お前」


「はい」


「考えろ」


「えっと」


「取っ組み合いで二人で階段落ちて」


「うん」


「お前だけ死ぬか」


「死なない」


「だろ」


「だろ」


「鈴木も死んだ」


「死にました」


「で、二人とも転生」


「転生」


「お前ヒロイン」


「ヒロイン」


「鈴木悪役令嬢」


「悪役令嬢」


「お前」


「はい」


「神様雑だな」


「雑です」


「殺し合った女二人」


「うん」


「同じ世界に転生」


「転生」


「同じ学園」


「学園」


「乙女ゲーの登場人物」


「登場人物」


「お前」


「はい」


「神様性格悪いな」


「悪い!?」


「観察してんだろ」


「観察!?」


「鈴木とお前の続き」


「続き!?」


「異世界で見たいんだ」


「見たい!?」


「神様の暇つぶしだ」


「暇つぶし!?」


「お前」


「はい」


「ヒロインじゃねえな」


「ヒロインです!!」


「神様の見せ物だ」


「見せ物!?」


「百合だ」


「百合!?」


「お前」


「はい」


「殺した女に攻略されるな」


「酷い!?」


「ヒロイン枠で」


「枠で!?」


「胸で」


「胸で!?」


「お前」


「はい」


「諦めろ」


「諦められません!!」


「何で」


「殺し合ったんですよ!?」


「うん」


「階段から!?」


「うん」


「で、また落とされるんですか!?」


「胸で」


「胸で!?」


「お前」


「はい」


「業の深さがすごいな」


「業!?」


「前世で殺し合って」


「うん」


「今世で胸で落とされる」


「うん」


「鈴木に二回負ける」


「二回!?」


「お前」


「はい」


「弱いな」


「弱い!?」


「鈴木に弱いな」


「弱い!?」


「で、お前」


「はい」


「攻略対象いるだろ」


「います」


「四人くらい」


「五人います」


「ハーレムだな」


「ハーレムです」


「使え」


「は?」


「攻略対象使え」


「は?」


「鈴木に対抗しろ」


「対抗!?」


「お前ヒロインだろ」


「ヒロインです」


「全員から好かれてんだろ」


「好かれてます」


「使え」


「使う!?」


「五対一だ」


「五対一!?」


「数で勝て」


「数で!?」


「お前」


「はい」


「鈴木は」


「はい」


「公爵令嬢で」


「うん」


「胸でかくて」


「うん」


「婚約者王太子で」


「うん」


「お前」


「はい」


「お前負けてんな」


「負けてる!?」


「全部」


「全部!?」


「お前」


「はい」


「ヒロイン補正は」


「あります」


「使え」


「使う」


「全方位に媚びろ」


「もう媚びてます」


「もっと媚びろ」


「もっと!?」


「公爵令嬢の領地に行け」


「領地!?」


「で、領地の民に優しくしろ」


「優しく」


「『なんて優しいお方』」


「『なんて優しいお方』」


「言わせろ」


「言わせる」


「公爵令嬢の評判落とせ」


「落とす!?」


「相対的に上がる」


「上がる!?」


「お前」


「はい」


「悪辣だな」


「悪辣!?」


「ヒロインがやることか」


「やる!?」


「お前」


「はい」


「鈴木だな」


「いえ佐藤です」


「めんどくせえな」


「めんどくさい!?」


「死ね」


「酷い!?」


「お前」


「はい」


「鈴木で」


「佐藤です」


「鈴木で」


「佐藤です!!」


「お前」


「はい」


「どっちでもいい」


「よくない!!」


「OL根性出てるな」


「出てる!?」


「同期蹴落とすやつだ」


「やつだ!?」


「お前」


「はい」


「で?」


「で、攻略対象使うんですよね」


「使え」


「どう使う」


「お前」


「はい」


「王太子に告らせろ」


「えっ」


「公爵令嬢の前で」


「えっ」


「告らせろ」


「告らせる!?」


「『君が好きだ』」


「『君が好きだ』」


「言わせろ」


「言わせる」


「公爵令嬢崩壊」


「崩壊!?」


「断罪ルート確定」


「確定!?」


「お前」


「はい」


「鈴木殺せるぞ」


「えっ」


「もう一回」


「もう一回!?」


「階段から落とされる前に落とせ」


「落とす!?」


「お前」


「はい」


「やる気か」


「やります」


「即答!?」


「即答です」


「お前」


「はい」


「業の深さがすごいな」


「業!?」


「殺し合った女と」


「うん」


「異世界でもう一回殺し合う」


「殺し合う!?」


「異世界で」


「異世界で」


「ヒロイン枠で」


「枠で」


「お前」


「はい」


「ヒロインか」


「ヒロインです」


「悪役令嬢どっちだ」


「えっ」


「お前と鈴木」


「えっ」


「どっちが悪役令嬢だ」


「えっ」


「お前」


「はい」


「答えろ」


「私です」


「即答!?」


「即答です」


「お前」


「はい」


「自覚あんな」


「あります」


「ヒロイン名乗るな」


「名乗ります」


「名乗んな」


「名乗ります!!」


「死ね」


「酷い!?」


「お前」


「はい」


「で?」


「で、もう一個聞きたいことが」


「何」


「百合は」


「は?」


「百合ルートは」


「は?」


「鈴木が攻略してくるんですよね」


「うん」


「百合ルート」


「うん」


「アリなんですか」


「お前」


「はい」


「ナシだ」


「即答!?」


「即答だ」


「何で!?」


「お前が鈴木殺すからだ」


「あっ」


「百合じゃない」


「あっ」


「殺人だ」


「殺人!?」


「異世界殺人」


「殺人!?」


「お前」


「はい」


「ヒロインの皮被った殺人鬼だ」


「酷い!?」


「事実だ」


「事実!?」


「お前」


「はい」


「行け」


「行きます」


「攻略対象に告らせろ」


「告らせます」


「鈴木断罪させろ」


「させます」


「処刑しろ」


「処刑!?」


「もう一回」


「もう一回!?」


「異世界で」


「異世界で!?」


「お前」


「はい」


「業」


「業!?」


「重い」


「重い!?」


「お前のカルマ」


「カルマ!?」


「来世どうなんだろうな」


「来世!?」


「鈴木とまた殺し合うな」


「また!?」


「三度目」


「三度目!?」


「次は剣で」


「剣!?」


「お前」


「はい」


「諦めて百合になれ」


「えっ」


「胸で落ちろ」


「えっ」


「お前」


「はい」


「業断ち切れ」


「業!?」


「ここで」


「ここで!?」


「異世界で」


「異世界で!?」


「鈴木と幸せになれ」


「えっ!?」


「お前」


「はい」


「考えろ」


「考える」


「殺すか」


「殺すか」


「落ちるか」


「落ちるか」


「二択だ」


「二択!?」


「お前」


「はい」


「決めろ」


「えっと」


「即答しろ」


「えっと」


「即答」


「殺します」


「お前」


「はい」


「業が深い」


「業!?」


「カルマ確定」


「カルマ!?」


「来世も鈴木と殺し合うな」


「殺し合う!?」


「永遠に」


「永遠に!?」


「お前と鈴木」


「うん」


「永遠ループだ」


「ループ!?」


「異世界転生してまで」


「うん」


「殺し合う女二人」


「二人」


「お前」


「はい」


「青春だな」


「青春!?」


「百合だな」


「百合!?」


「殺し合いの百合だ」


「百合!?」


「お前」


「はい」


「もう諦めろ」


「諦めろ!?」


「お前と鈴木は」


「はい」


「魂の双子だ」


「双子!?」


「永遠に殺し合う運命だ」


「運命!?」


「祝え」


「祝えない!?」


「パチパチ」


「拍手しないでください!?」


「切るぞ」


「待って!!」


「何」


「百合ルート」


「うん」


「アリにします」


「お前」


「はい」


「諦めたな」


「諦めました」


「胸で落ちるな」


「落ちます」


「即答!?」


「即答です」


「お前」


「はい」


「鈴木と仲良くしろ」


「します」


「殺すな」


「殺さない」


「カルマ断ち切れ」


「断ち切る」


「行け」


「行きます」


「切るぞ」


「あの」


「何」


「ヘルプデスクの人」


「だから違うって」


「鈴木にも電話番号教えていいですか」


「お前」


「はい」


「教えるな」


「教えます」


「教えるな!!」


「教えます!!」


「お前」


「はい」


「もう教えてんだろ」


「教えました」


「事後報告か」


「事後報告です」


「死ね」


「酷い!?」


「切るぞ」


「待っ」


 ガチャ。


 受話器を置いた。


 悪役令嬢に転生したヤンキーOLと、ヒロインに転生したヤンキーOL。


 前世の同期。


 お互い殺し合い。


 異世界で再会。


 知らん。


 俺の知ったことじゃない。


 ジリリリリリ。


 出ない。


 ジリリリリリ。


 出ない。


 ジリリリリリ。


「死ね」


 出た。


「あの」


「悪役令嬢か」


「悪役令嬢です」


「で、何」


「ヒロインから電話番号もらいました」


「お前」


「はい」


「もらわなくていい」


「えっ」


「ヘルプデスクにかければ出る」


「えっ」


「俺だ」


「えっ」


「いつでも出る」


「えっ」


「まあ」


「何」


「俺はヘルプデスクじゃないけどな」


「えっ」


「俺んち」


「俺んち!?」


「お前」


「はい」


「気づけ」


「気づきました」


「遅えな」


「遅い!?」


「で、何」


「百合になりました」


「お前」


「はい」


「早えな」


「早いです」


「何分で落ちた」


「三分です」


「胸で?」


「胸で」


「お前」


「はい」


「便利だな胸」


「便利です」


「切るぞ」


「待っ」


 ガチャ。


 即切りした。


 異世界で胸が解決する。


 知らん。

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