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17話:魂の迷宮

「ばう、ばう、ばうわあ――ッ」


 魂の迷宮・ドラフトルーム。ヒョンが口を大きく開けて、プニそっくりな叫び声をあげると、


「音魔法! 【言 弾 固 定トランジェント・ロック】」


 見えない音の波が固定され、宙に【ばう ばう ばうわあーーーッ】と文字が浮かんだ。


「どうだ! ミヤビコの【言霊】とかゆー魔法をアレンジしたオレの新魔法だぜ!」


「何が新魔法よ。中途半端にしか習得できなくてヤケになって叫んだら変な効果になった魔法に名前をつけただけでしょうが――」


 拳を握ってジャンプするヒョンに、マイニーが呆れ顔で言うと暗黒皇帝くんヌイグルミが、「魔法はイメージと認識が大事だからな。 ま、ちなみにだが同じ効果の魔法をオクニが使ってたっけな」


「オレの新魔法早くも敗れるぅぅッ!」

「やぶれるってより、ヒョンが後だけどねっ」

「変な魔法なんて言っちゃったじゃない」


 間接的にオクニ先生の悪口言っちゃったねマイニー。大丈夫、ぼくは告げ口しないから、ぼくは。


「さてと。今回は特に前置いて話すこともないが、質問はあるか?」


「さっきのヒョンので思い出したけど、プニは元気?」

「あの丸っこいのか? ワシも少し気になるところがあってな、ハトリに監視⋯とゆうよりは遊び相手を頼んどる」


「ハトリ様が?」マイニーの眉が不安そうにシワを作った。

「天真爛漫なハトリ様と純粋無垢なプニ⋯⋯なんだかすごい遊びをしてそうだわ」


 ハトリちゃんといえばガーディアンズで一番顔の知られた人物なんだけど、


「前に団子屋でご馳走したことあるよね」

「おう。めっちゃヨダレたらして見てる美少女がいるな〜と思ったらハトリちゃんだったよな」

 

 気の向くままに生きる【心気一天流忍法】の使い手、それが【忍者――恋口(コイクチ) 初十鯉ハツトリ】なのである。ニンニン。


 って、団子屋のおばちゃんとハトリちゃんが串を両手に言ってたっけなあ。懐かしい。


「ま、元気かどうかで答えれば間違いなく元気だ。

 質問はそれだけか?」

「うん!」「えーっと今回はアラヒメ様大丈夫だよな?とか気になるけどまあいいや」


「質問は以上ね」


「よし、それじゃヒョン。今日はお前が召喚してみるか」


 ずるい!と吠えるシルに「新魔法のお祝いだ」とそりまちさんが言って、「んじゃさくっと行くか!」ヒョンがドラフトルームの壁に魔力を流す。


 ヒカリゴケが発光して、壁画のように魂の紋様が浮かんだ。


 魂が来る――と思ったその時、地面にサクランボとドーナツとイチゴが召喚された。

 

「ん?」「失敗かしら?」「誰か遠足のオヤツ忘れてった?」


「ああそういえばその説明を忘れとったな。 前回は迷宮で出会ったイグリの一部を食べることで異世界に召喚されたが、ドラフトルームにはあらかじめ了承を得た魂の一部が送られてくる仕組みになっとるんだ」


 てことは、これが誰かの魂の一部⋯カケラってこと?

 イグリのトゲと同様だと考えると⋯⋯食べ物の異世界?


「さあ、好きなのを選んで食べるといい。選ぶのは魂の方かもしれんがな」


「そんな意味深な」「カッコつけてるだけだろオッサン?」


「私はイチゴを貰うわ」


 おお、特にフルーツ好きでもないマイニーが迷わずイチゴに手を伸ばしたのを見ると、あのイチゴの魂は女の子の気がしてきた⋯⋯選ばれてるのか⋯?


「ぼ、ぼくはサクランボな気がする」

「お、オレはドーナツだな」


 ごくり、喉がなる。お腹が減ったわけじゃないのに。なんでただのサクランボを前にこんなびびってるんだろう。


 ぼくたちは視線を合わすと、一思いにかじりついた。


「「「い、いただきます――ッ」」」


 その直後、魔法陣が足元に浮かんだ。




 まだ書きたい異世界いっぱいあるので、続きが気になるかも、面白そう、と思っていただけましたら、ブクマ登録、⭐︎評価等、よろしくお願いいたします。

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