表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/6

止まってなんかいられない

「本当に学院に行って大丈夫なの?」


 リオのお母さんが後ろで心配そうに聞いてきた。


「体調は大丈夫だよ! 学院の内容から後れを取りたくないの」

「リオ……」


 リオのお母さんは、感心したような表情を浮かべている。

 けれども、その中には、リオのことが心配という気持ちが感じられた。


 何日かリオとして過ごして、わかったことがあった。


 リオのお母さんはリオの状態に気付いていたのかもしれない。でも、リオが話さないし、何事もないように家で振る舞っているから聞けなかったのだろう。


 考えれば考えるほど、この二人はすれ違っていたし、お互いに申し訳なさを感じていたのだろうな……。


 制服に着替えながら、そんなことを思っていると、


「やっぱり、リオはなんでも似合うわね!」


 リオのお母さんの嬉しそうな声が後ろから聞こえた。


「……そう? ……ありがとう…」


 急に褒められたせいか、恥ずかしくなる。


 それを見たリオのお母さんは幸せそうな表情で「ふふ」と笑うと、「馬車を準備したから一緒に下行くわね」と言って、リオのスクールバッグを持つとドアの前に立った。私を待っているのだろうか。


(リオのお母さんって……本当に淑女(レディ)だな。)


 すぐに駆け足で向かうと、「走ったら転ぶわよ」と声をかけられた。


「そんな子供じゃないよ?」


 と言うと、


「何言ってるの。お母さんからしたら、リオはいつまでも子供よ!」


(やっぱり、いい家族だな……)


 どちらともなく、笑いがこぼれて、幸せな気分で玄関まで降りたのだった。



◇◇◇◇◇◇



 馬車に乗り込むと、リオのお母さんから「いってらっしゃい。体調が悪くなったら、帰ってきていいからね? 絶対に無理をしちゃダメよ!」と言われて、胸が温かくなった。


「うん! いってきます!」


 そうして、馬車が動き出した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ