先生
(前のリオも、何度もこうやって黙らされてきたんだろう……)
なら──
「え? このくらい暗算でもできますよね?」
私はわざと先生を挑発する口調で言った。
「「「は?」」」
まさかリオが立ち向かうと考えていなかったのか、先生だけでなく、さっきこそこそ言っていた人たちまで、虚を衝かれたような顔だった。
(なんでびっくりするのかしら)
でもそれより、なんで反抗しないって決めつけていたのかしら?
「いよいよ頭が可笑しくなったか?」
「……」
「ふん。ならあの問題を解いてみろ」
馬鹿にするものの、私が自信があることを感じ取ったのか……みんなの前でリオに恥をかかせたいのか……。
先生は黒板を指さしたが、その声には驚愕のようなものが混じっていた。顔も、なんだか焦りがあるように感じる。
「160です」
「なっ?!」
答えを直後に言えば、先生は驚いた表情を浮かべた。
そして、教卓の方に急いで戻っていく。
「なら、これは?」
先生は黒板に問題を書きながら、今度こそ解けないだろうと自信満々な表情を顔に張り付ける。
(【25×4】か……。切りのいい数字で、私は好きだわ……)
「100です」
「ちっ……」
えっ? 舌打ち?! さっきも思ったけど……逆に生徒に対してその態度はどうなの?
◇◇◇◇◇◇
何問か、先生が出した問題を私が全問正解していると、いよいよ先生の顔には焦りが出てきた。
「ふ、ふん。たまたまだろ」
先生が自分で言い聞かせるような様子に、思わずこう思ってしまう。
(お好きに想像すればいい……。あなたたちがリオをいじめている時、リオも自分に言い聞かせていたのよ? 『自分が我慢すればいい』ってね。リオの気持ちはこうだったのよ?)
あんたもリオの気持ちをわかればいいのに……。期待はしないけど。
一方で、こう考えている自分にひいている自分もいた。
(なんか……だんだんと性格がひどくなっているんだけど???)
すぐにその考えは消えた。
……でも、しょうがない。リオにやっていたことを考えれば、当然か。




