席
うんうん、分かるよ。と、一人で納得した私は、本日2回目のいいわけを言う。
「えっと、熱のせいで記憶が混乱しちゃっているみたいで……だから、教えて欲しいなぁって」
「は、はあ……」
返事はするものの、その目はまだ混乱しているようだった。
「え、っと、基本は自由席なのですが……リオ様はよくこちらの席に座っておりました……」
そして、窓側の一番端っこの席を手を向けて、言ったのだった。
(「様」!? なんで? ……まさか、私はこの世界の常識を知らなすぎた!? 本当は「嬢」じゃなくて「様」で呼ばなきゃいけないものだった?!)
誰か教えてください──!
心の中で叫んでいると、「リオ様……?」と呼ばれて我に返った。
「あ、ありがとう」
「い、いいえ。大丈夫です……」
と、それだけ言うと、何故か、女の子はいそいそと離れたのだった。
そのタイミングを狙っていたかのように先生らしき人が「そろそろいいか?」と声をかけた。
(先生がいたのなら、先生が止めてくださいよ……)
そう心の中で思わず零したのだった。
◇◇◇◇◇◇
ホームルームが始まっても、内容が全然頭に入って来なかった。
さっきの花瓶騒動が終わってほっとした反動で、この世界で初めて受ける授業のことで頭がいっぱいになってしまったからだ。
(ああ……授業って何やるのかな……)
そうやって、私は家にいた記憶を思い出していた──
リオになって、リオの体にあった傷を回復魔法でお医者さんに治してもらい、念のためとリオのお母さんに言われ、休みをとっていた。
決して暇つぶしという訳じゃなかったけれど、家で予習しようとリオが持ってきていた教科書を開こうとした。
すると、そこにリオのお母さんが来たのだった。
私の持っていた教科書をみると「病み上がりなんだから、休みなさい!」と言われてしまい、そのまま全部没収されたのだった。
……せめて一冊くらい残してってよ。
その後、私がぼうとベットで過ごしたのは言う間でもない。
──そして、今日朝、返されたのだった。
だから、朝にちらっと見ようと思っていたのに……なぜか迷子になるし、事件のようなものに巻き込まれてしまって、時間がなくなったし……。
本当にどうしよう……っ。




