初日から詰んだ気がする
「えっと……、改めてありがとうございます。案内していただけなかったら、このままこの辺りをさまようところでした。」
「………」
無言に耐えられなくて、何か話すネタを必死に探す。
「あ、ええっと、ちなみに“俺のこと見えてる”ってどういうことだったんですか……?」
「………」
◇◇◇◇◇◇
紺色さんに話しかけていると、さっきよりも生徒の数が増えてきた。
疑っていたわけではなかったけれど、もうすぐ教室につけるんだ! まずの第関門はクリアできそうだなと、どうしようもなく安心してしまう。
ただ、紺色さんに何を話しても返ってくるのは無言だけ。代わりに、変な視線? 気のせいじゃなければ……変なものをみるように見られている。……気がする。
──たぶん、リオの髪のせいだ。きっとそう。うん! だって、私はへんなことしてないもん!
と気にしないことにする。
というか、なかなか紺色さんが話さないから、もう、紺色さんを無言さんって呼ぼうかなぁ……。
でも、聞きたいこともあるんだよね。
その疑問を普通に口にする。
「……なんで紺色さんは私を案内してくれるんですか?」
「………」
(やっぱり答えてくれないかな……)
そう諦めた時だった。
「……別に、なんでもいいだろ」
答えてくれた?! ちょっとびっくりした……。その声が、少し拗ねてるような、照れてるように感じたのは、気のせいだったのかな?
一瞬だけ、風の音が響いてお互いの髪が揺れた。
そして、紺色さんはそのまま爆弾発言を落としたのだった。
「言っとくがな、他の人からは俺が見えないし、声も聞こえない。……だから、俺に話しかけても一人でぶつぶつ言っているようにしか見えんし、聞こえないからな」
無言さんにしてはよく喋るなぁ〜と呑気に考えて3秒間。
(???? はい? 待って? なんで早くそんな情報を言わないの? だから、あんなに変なものを見る視線で見られたのね? ああ……もともと目立っているのにぃ……っ)
終わった………
私の学校生活、始まる前から詰んだ気がする……
風だけが、そんな私をあざ笑うように通り過ぎていった。




