12 レイコやヒノメやピンクスイートピー
ヒノメのテーブルには花瓶に生けられたピンクのスイートピーがふわふわと、その花びらを目にすれば優しい気持ちになれた
空調や話し声、行き交う人の風が花弁が小さく揺らす
その繊細な花の繊維が細くて細緻な神経のように思えて、触れれば、申し訳ない気がした
1.ヒノメ 23 スイートピー
2.アオナ 22
3.ブラック 24
5.グラマ 27
7.スリム 21
8.ネール 25
9.マミア 23
16.メルメ 22
22.コムギ 26
28.レイコ 22
29.ミドリ 27
2025年1月29日
「おいでなすって!ご両人!」
メルメの任侠風接客には拍車が掛かり、少々破茶滅茶になっていた
キャバ的任侠風仁義様接客も認知されてきて、一部の熱狂的な客がメルメを指名するようになっていた
昨年の6月に入店して以来3ヶ月あたりは27〜30番を彷徨いていた売上も順調に伸ばして今月は16番となっていた
2024年12月
本店キャバHでNo.3のキラコがNo.8のキイロを伴い札幌はススキノでキャバkのキャバ長として経営に乗り出していた
現地でドレスという31歳になる女性を採用した
今は3人で、か細く経営している
キラコは可能な限り市場調査に時間を割いていた
2025年3月
No.2のアオナがNo.5のグラマを伴い福岡は中洲にキャバaを出店させる
北海道と同じように現地で1人採用して、3人体制で開店させる
栄本店キャバHではブラックがキラコの穴を埋めるようNo.3の座を確実にしていた
黒のワンピースから覗く白い肌膚の明暗がエロスを醸し出した
肌色の肌に肌色のキャミソールのスリムが7番
グリーン系のネイルを好んだネール8番
褐色の肌コムギ26番
メルメと姉妹盃を交わしたマミアは9番につけていて8番ネールとの差は七万円ほどだった
1月もあと3日、積極的営業を掛ければ上の順位に食い込める可能性があるが、マミアは電話やメールといった営業をしなかった
先見が利くタイプの子で、目先の売上と月末連絡による不愉快の危険性を天秤にかけて、長期的な視点でお客様と対峙していた
28番令子
メルメが嫌いだった女レイコ
同級生のレイコ
お嬢様のレイコ
親から姦の苦しみを受けた、悲壮感を常に抱えたまま学生時代を過ごしたメルメ
令子が嫌いだった
本人は社長令嬢という立場を鼻に掛けていたつもりではないのだろうが、常日頃夕食をディナーといった
DINNERの響きは優雅な夕食と家族団欒の風景を勝手に脳裏に想像させちまって、私の悲壮感と孤独を募らせた
彼女の親の会社の経営が傾いたことで、レイコは仕事をする必要に迫られキャバHで面接を受けて通り、晴れてキャバ嬢になった
今日もロリータファッションで出勤してきた
「メルメちゃん」
「ああ、レイコ」
「宜しくね、今日もお互い頑張ろう」
「うん、でも、一応このお店では私が先輩だからね」
「うん、わかってるよ。いろいろ教えてください。あの任侠風とか」
「あはは、それはいいのよ。あなたはロリ的接客でしょ」
「うん。私はロリ的接客でいくつもり」
「頑張ってね」
「うん・・」
「どうしたの?顔色悪いよ」
「うん、今日ブレックファスト抜いてきちゃって」
(チッ)
「食べれなくて」
「調子悪いの?」
「おかねがないの」
ふう
一息ついて
メルメは控え室に向かった
ロッカーを開けて五枚で一包装のビスケットを手に取った
スマホで翻訳アプリを立ち上げる
「令子、MUNCHIES、ヘイ!」
店内には何処かで聴いた覚えのあるクラシックが流れていた
13の花冠のピンクスイートピーは合唱団のように揺れて穏やかに歌ってた
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