プロローグ
なんとなく思い付いて、連載の気晴らしに書いてみたものです
思い付きなので、どこまで行くかわかりませんが、取り敢えずいけるとこまで!
「僕は君を愛せない。これは政略結婚という名の契約結婚だ」
目眩く結婚式後の初夜のベッドで、私は夫となった男性から、開口一番そう告げられた。
それを聞いた私の口から出た言葉は──。
「……やっぱりね」
だった。
途端に、夫の目が驚愕に見開かれる。
「や、やっぱりとはどういうことだ? まさか君は、僕にこう言われることを知っていたのか?」
はい、知っていました。とは言わない。
ただ、言われるかもしれないと思っていただけだ。
内心では「どうか何も言われませんように……!」と祈っていたが。
そんな私の祈りは、どうやら届かなかったらしい。
実は、彼と婚約を結んだその時から懸念はあった。
婚約は結んだものの、無事結婚まで辿り着けるかは微妙であったし、最悪途中で婚約破棄されることも視野に入れていた。
それでも私はなんとしても彼と結婚したかったから、間違っても婚約破棄などされないよう日々の生活には細心の注意を払ったし、彼と会う時には言葉遣いや所作に至るまで、気を遣える全てのことに気を付けてきた。
その甲斐あって、幸せの絶頂を体現するかのような豪華で華やかな結婚式を挙げられたことには、無類の喜びを感じていたわけなのだが──。
まさかの初夜で、政略結婚にはお決まりの台詞を吐かれることになるなんて。
考えていなかったわけではないが、実際に言われた時の衝撃は、予想の比ではなかった。