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仮宿で君を思う  作者: 幽霊の家
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第一歩

意識が戻った時、自分が雨の中で棒立ちしているのを気づいた。

黒い傘を持つ人々が自分の周りに立っていて、ある人は鼻をすすいて、ある人はハンカチで涙を拭いている。足元を覗くと、そこには白い花と自分の体を納めている黒い櫃がある。まるで映画でもみているように、迫力を感じている。高校生の時に宿題を捨てた時に先生に見られてくそほど怒られた時に感じた息苦しさとちょっと似ている気がする。ここから離れたいが雰囲気的に圧倒されて、離れてもいいのかと迷ってしまう。

最も、主役がいないとさすがにダメだろう。そう思って、立ったままのも気まずいし、櫃の中の空いているところでも探してみよう。

「にしても自分の葬礼、ね」

やっと自分自身の死を実感できたような気がして、言霊も存在しているのではと無駄なことも考え始めた。

そして改めて先まで踏んでいた自分だったものを見下ろして、すでに死を受け入れた今の自分には少し恐怖感を感じている。

「綺麗な死に体だね、我ながら」

外傷が一切ないので、少なくとも事故や事件での死ではないかも。まだ記憶が混乱でよく思い出せないけど。

「死に方も覚えていないねぇ、私って本当に私?」

「私は誰だろう?」

考えれば考えるほどわけわかんなくなる、まず最初の結論を出そうか。

「少なくとも、私はまだ生きている」

この死に体は後で土の下に埋められるのだろう。だったら一区切りにしたほうがよさそう。私は生きている、そこの死に体と違うから。

ならこの葬礼も私だったものの、死に体のためのもので、私のためのものではないかも。

主役な座から離れて、死んだという事実からもたらした感傷もなく、呆然もなく、あるのは受け入れだけ。そして自分の淡泊な感情に対して妙な違和感がある。本当にここまで自然にうけいれていいのかという不安と共に、黒い集団と白い花に飾られた櫃を後にした。


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