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仮宿で君を思う  作者: 幽霊の家
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「今」の前では人は無力で、哀れなもの。いくらそれから目をそらそうとしても、いくら声出して叫んでも、「今」は変わらない、絶対な中立といってもいいでしょう。喜びもなく悲しみもなく、ただそこにある真実だけが示されている。すでに確定したこととして、人には後悔があるが「今」には変化はない。取りつかないものは既に取りつかなく、変われない、過去の自分に忠告しようとしても無駄なだけ。そしてこうなるだろうと予見できた自分を恨んでとも、過去の自分は行動を起こさなかった現実だけ残された。


今のすべては過去の原因から生まれたもので、観測し得るものすべて、過去がないと成り立たないもの。そしてそれぞれの事態の未来もある程度の知識によって予測できる。例として、食べ物はいつかきっと腐るし、建物もいつか取り壊されるか、遺跡扱いされるのだろう。過去、現在、未来の三つの事象は線に結ばれてそれぞれを影響しあっている。当然確率も過去によって確定されたものだ私はと思う。簡単の例として、丁半みたいな賭け事も、丁と半の概念があったからこそ成立したもの。一と二は違う数字であるからこそ成立した賭け事である。そして必ずとも勝者がいる。確定されていないだけで、始まる前に既に勝ちと負け、この二つの結果が決定されていた。意外による死亡もそう。ナイフがあるからこそナイフによる犯行が起きるようになったし、車があるからこそ事故が起きるようになった。この道で歩いていたこそ殺された、殺人犯はこの道で人を殺そうとしたからこそ殺した。過去の決定は既に決定した時に未来を確定な事象にしたと私は思う。人はそれを観測するための方法がないだけで、すべての出来事は過去によって決められたと思う。


だから、「今」を嘆いても、後悔しても、無駄だとわかっている。わかってはいるが、理屈だけで物事を考えられるほど、人間はできていない。嘆く、後悔する、そして泣いて叫んで、それこそが人である。理不尽を呪う、不幸を嘆く、そして己を殺したものを恨むのは人である。そしてその恨みから生み出したのは幽霊、怨霊、悪霊みたいの、人だったものたち。妖怪や神よりは人の情を持ち合わせているものの、基本的に話が通じないものが多い。その物の怪たちは恨みや、心残りによって、この世にとどまっている。人間とできるだけ関わらないようにしているの方が多いが、怨霊や悪霊みたいの人と積極的に関わって、己の目的を達成しようとするものもいる。少ないけど目立つの奴らだ。


さて、この話は我々の世界の一番基本的な知識で、我々の世界の常識である。お前もこれからこの世に生きようとするなら、覚えたほうがいいと思う。


そして頼みとして、人とできるだけ関わらないでほしい。従うか従わないか君の勝手だけど。


私の話はここまで、そしてようこそ、人だったもの。


君のこれからに幸あれと願おう。

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