日本語(Japanese)
2021年12月某日、海外で東映アニメーションが大炎上した。
外国人Youtube TotallyNotMark氏のアニメ・漫画解説動画が、権利者の申し立てによって一日で150本ほどがYoutubeから消されたことが、ことの発端だった。
TotallyNotMark氏は東映アニメーションと、ワンピースの作者である尾田 栄一郎氏に対して名指しし、抗議する動画を上げるほど怒り狂った。(12月12日に非公開済)
海外の視聴者はほぼ全てと言っていいほどがTotallyNotMark氏に同情的で賛同的、不買活動等のデモストレーションをするほど燃えに燃えた。
では日本人の反応はというと、これとは全くの逆だった。
TotallyNotMark氏の動画を見るとわかるように、アニメや漫画の映像や画像がそのまま使用され動画が創られていることがわかる。
よって、権利者の申立によって動画を削除されても仕方がないという意見が、日本人の大多数だった。
なぜ海外と日本とではこれほどに意見と反応が違うのか。
キーとなるのは「フェアユース」という存在だった。
アメリカ合衆国を始めとして、海外では常識になっているフェアユースとはなにか。
“フェアユースとは、アメリカ合衆国の著作権法などが認める著作権侵害の主張に対する抗弁事由の一つである。同国の著作権法107条によれば、著作権者の許諾なく著作物を利用しても、その利用が4つの判断基準のもとで公正な利用に該当するものと評価されれば、その利用行為は著作権の侵害にあたらない。”
1.利用の目的と特性(その利用が、商用か非営利の教育目的かなど)
2.著作権のある著作物の性質
3.著作権のある著作物全体との関連における使用された部分の量および実質性
4.著作権のある著作物の潜在的市場または価値に対する利用の影響
簡単にいえば条件を満たした公正な利用であれば、著作者の許可がなくても著作権法違反にはならない、といったものである。
上記を鑑みるとTotallyNotMark氏を含めた大多数の解説系海外Youtubeの動画は4に該当する。宣伝にはなっているからだ。
よって日本国外の反応として、動画の削除を不当だと思うのは理解ができる。
しかし、日本人の所感は全く違うものである。
そもそも日本にはフェアユースが存在しないのだ。
日本の場合、音楽は勿論のこと著作者が不利益と感じた場合、静止画も著作権侵害で削除対象である。
ミッ○ーマウスの画像を使用した動画なんて一瞬で消されてしまう。
東映アニメーションは日本の会社である。勿論海外に支部はあるが、日本の会社である。
尾田 栄一郎氏は多分日本在住の日本人だろうし、ワンピースは日本で発行、アニメは日本国内で公開されたものである。
よって日本国内の反応として、日本のルールに従い権利者の申し立てによって動画を削除されても仕方がない、と思うのだ。
今回の騒動は、フェアユースのある国とない国の違いが根本的原因にある。
日本の著作物は海外のルールに適用されるべきなのだろうか。
日本の法律を改正すべきなのだろうか。
海外のルールが全てなのだろうか。
問題点は山積みだが、今回の騒動がどう収まるか個人的には非常に気になるものである。