三年が経ちました
三年が経ちまして、ついにマリア様がレベルが99になり、レベルのステージアップをいたしました。
その詳細がスレッドで発表され、多くの勇者がレベルのステージアップを目標にレベル上げにいそしむようになったのです。
けれども、マリア様にお伺いしたところ、眠っている間には特に夢は見なかったそうなので、やはりわたくしが特殊だったのでしょうか?
ともあれ、終わりが見えないこのダンジョンで、全体的に一つの目標が出来たという事は良い事だと思います。
いまやマリア様はダンジョン攻略の最前線で戦っておりまして、現在は94階層で戦っていらっしゃいますが、マリア様をもってしても94階層のボスは中々に苦戦するとのことです。
魔法にも耐性があり、物理攻撃も強いとのことで、遠距離から最大火力で魔法を連射しても仕留めきれずに撤退を繰り返しているのだとか。
94階層ともなるととても広いフィールドでただでさえボスに遭遇することが困難なのに、勝てずに撤退するのは悔しいとスレッドに書き込んでいましたが、命は大事にした方がいいですよね。
無理はいけません。
わたくしもずっと八十階層に居るわけではなく、時折上の階層に出ておりまして、順調にボスを倒して、最高到達階層は89階層となっております。
もっとも、八十階層に居ることの方が多いので、相変わらず八十階層の主様などと呼ばれております。
三年目になれば、マンネリとは申しませんが、皆様かなりこの世界に慣れてきておりまして、自分なりのスタイルを作り上げて基本的に無理なく狩りをするようになっています。
けれども中には無理をして命を落としてしまう方も居ることは確かですし、慣れた狩場でも油断をして大怪我をなさったり亡くなってしまう方が居るのも事実です。
そして、意外な事に命の危険がある狩場の第一位がこの八十階層だったりするのです。
魔法を使えない方はもちろん、解毒薬と回復役を常時飲まないと命に係わる攻撃を受けるという事で、やはり一度クリアしたらもう二度と行きたくない階層だと言われております。
わたくしにとっては良い狩場なのですが、皆様にはそうではないのですね。
ナティルはこの階層全体を索敵で探ることが出来ますので、もし他の勇者の反応があったら、わたくしやツバキに教えるように伝えております。
ロードエレメントをわたくし達が狩ってしまってこの階層をクリアする機会を奪ってしまうのは申し訳ありませんからね。
けれども、エッシャル様が毒耐性のある防具を作成するのに成功いたしまして、毒の攻撃を無効化とまではいきませんが、かなり軽減できるようになるものだそうです。
シンヤ様がこの階層に遊びにいらっしゃる時はその防具をつけていらっしゃいます。
休憩所にしている大木にはハチ等は出現しませんが、そこに辿り着くまでにハチが出現いたしますので、出来るだけ避けるようにしているとのことですが、念のため着ているのだそうです。
そのシンヤ様も攻略階層は91階層となっておりまして、ソロの勇者としてはマリア様に続きトップクラスとなっております。
多くの勇者は一人で拠点を使い、ダンジョンに出る時にはPTを組んで攻略するというスタイルをとっている人が多いのですが、クインゼル様とエッシャル様のように初期から組んだままで居たり、新たに組み直して一緒に住んだりする方もいらっしゃいます。
サトミ様とその娘様のナナカ様は親子という事もあってずっと一緒にいらっしゃいますが、ナナカ様は精神年齢は上がっておりますが肉体年齢は7歳という状態ですのでサトミ様も不安で仕方がないのでしょう。
幸いな事に、ナナカ様は魔法の才能があったのか、この世界に来て開花したのかはわかりませんが、魔法が使えるようになりまして、遠距離からモンスターを狩ることが出来るので、前衛でサトミ様がモンスターを引き付けているうちにナナカ様がとどめを刺すという戦法が多いようです。
なんでしたっけ、ナナカ様の世界のアニメというものにでてくる魔法少女というものや、ゲームを参考にしているのだそうです。
食事会で一度お二人にお会いしたことがございますが、サトミ様はお優しいお父様という感じの方でしたし、ナナカ様は可愛らしいフリルのお洋服を着た可愛いお嬢さんでいらっしゃいました。
ナナカ様の衣装のモチーフは魔法少女なるものなのだそうですが、とてもよく似合っておりました。
鍛冶師として活躍している方も十数人いらっしゃって、それぞれに得意分野と申しますか、作るものに傾向があるのですよね。
わたくしが贔屓にしているのはやはりクインゼル様とエッシャル様ですが、わたくし自身は武器や防具が必要ではありませんので、主にツバキに月に一度贈るアクセサリーでエッシャル様にお世話になっております。
ナティルの部屋の本棚はまだまだ埋まる気配はありませんが、ナティルはそれでも満足しているようで、増えていく本を見るのは楽しいと言っております。
それならそれでよいのですが、もっと強請っても良いのに、謙虚な眷属達ですよね。




