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最強聖女!チート御一行のダンジョン生活★  作者: 茄子
第二章 動き始める人間関係
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二人で料理

「シンヤ様に加虐趣味があると言われたら、今までのようなお付き合いも考え物ですわね」

「あはは、だからないってば」

「それでしたら一安心ですわ。けれども、シンヤ様がわたくしの事を恋愛的な意味で好きだとおっしゃってくださったことは、戸惑いもございますが純粋に嬉しいとは思いますわ」

「そうかい?」

「ただ、わたくしがそれに答えることが出来るかと言えば、やはり今は難しいとしか」

「うん、無理はさせたくないから」

「そうですか」


 ここで謝るのもおかしいのでこう答えましたが、やはりシンヤ様は優しいですね。


「話は変わるけど、今日の夕食はなにかな?」

「カレーですわ」

「へえ、何カレー?」

「牛肉カレーです。ライスと頂くと美味しいとメグミ様に教わりましたので、取り入れておりますの。今まではナンにつけていたのですが、ライスは万能ですわね。ネーロもライスと一緒に食べるカレーを気に入ったようですわ」

「俺にとってはナンで食べる方が珍しい感じかな。カレーライスっていうぐらいだし」

「そのようですね。メグミ様に聞いて異世界ではライスと一緒に頂くのが普通なのだと知って驚きましたわ」


 わたくしはそう言って立ち上がるとキッチンに向かいました。

 そうしますとシンヤ様も一緒についていらっしゃって、どうしたのかと振り返りますと「手伝うよ」とおっしゃってくださいました。


「シンヤ様はカレーが作れるのですか?」

「そのぐらい作れるよ。少なくとも野菜ぐらいは切れるよ」

「そうなのですか。それでしたらお手伝いをお願いいたします」


 わたくしはそう言ってシンヤ様に予備用のエプロンを渡しまして冷蔵庫から野菜を取り出しました。

 カレーのルーは休養日に大量に作って冷凍保存しておりますので問題はありません。

 それにしても、狭くはないキッチンですが、元々わたくし一人で作るようの大きさですので、シンヤ様と並んで立つと、シンヤ様との距離の近さを実感してしまいますね。

 わたくしは背がそんなに低い方ではありませんが、それでもやはり男性のシンヤ様に勝てるわけもなく、というか、シンヤ様の背が高いのですよね。


「シンヤ様は身長は何センチありますの?」

「俺? 189センチだよ。ティタニアちゃんは?」

「156センチですわ」

「ちっちゃくてかわいいね」

「そこまで小さい方ではないと思いたいのですが」


 ナティルも背が高いですが、シンヤ様の方が並んだときに少し背が高いですよね。

 ナティルと話すので慣れてしまっていますが、シンヤ様とお話しする時もお顔を見上げなければいけませんので、長時間立って話すと首が疲れてしまいますが、基本的に座って話しますので問題はないのですよね。


「でも、あんまり身長差があると大変だよね」

「なにがでしょう?」

「キスの時とか」

「……そう、ですわね」


 思わず想像してしまって顔が赤くなってしまいましたので、顔を伏せて人参の皮をむく作業に没頭します。

 ピーラーという便利なもののおかげで、皮をむくのが楽なのがいいですね。

 メグミ様も使っているそうですが、基本的には包丁を使って皮をむくそうです。

 あのかつらむきと言うものはすごいですね。

 どうやったらあのように薄く切ることが出来るのでしょうか? わたくしが試しにやって見たらすぐに切れてしまったのですよね。

 他にもおろし器と言うものの使い方も教わりました。

 あまり小さいものをすりおろすと指を怪我してしまう可能性があるのでくれぐれも注意するようにと言われましたので、使うときは慎重に扱うようにしております。

 人参の皮むきが終わると、シンヤ様が手を出してきましたので渡しましたら、シンヤ様が人参を切り始めてくださいましたので、わたくしは次の人参の皮むきを始めました。

 ナティルが野菜好きですので、どうしても野菜が多いカレーになってしまうのですよね。

 三本の人参の皮むきを終えて、ジャガイモを水で洗ってからこちらは専用の皮むき手袋を使って皮をむきます。

 新じゃがというものが万屋でいつも売っておりますのでそちらを購入しているのですが、これですとこの皮むき手袋で簡単に皮がむけるのでとても便利ですし、キレイにむけます。

 人参などもこの皮むき手袋を使うことが出来ると言われましたが、ピーラーが便利ですのでわたくしはそちらを使っております。

 ジャガイモの皮をむくと、またもやシンヤ様が手を差し出してくださいましたのでお渡ししました。

 この分ではいつもよりも準備が早く終わりますね。

 けれども、難敵は玉ねぎです。

 時間をかけて切ると涙が止まらなくなってしまうので注意しなければいけません。

 初めて神殿でカレーを作った際に玉ねぎを切って涙が止まらなくなって軽いパニックになってしまったのは今ではいい思い出です。

 玉ねぎの皮をむいたところで、わたくしはシンヤ様に一瞬ためらいながらも玉ねぎを渡しました。


「玉ねぎって切ると涙が出ちゃうよね」

「そうですわね」

「まあ、切れ味のいい包丁で素早く切れば大丈夫だっていう話なんだけど」

「メグミ様は平気だとおっしゃっておりましたわ」

「流石だね」


 シンヤ様はそう言いながら玉ねぎを切っていきます。

 そうしたら案の定涙が浮かんでしまっていますので、わたくしは慌ててキッチンに置いてあるティッシュを差し出しました。


「ありがとう」

「続きはわたくしが切りますわ」

「大丈夫だよ」

「でも」

「このぐらい手伝わせてよ、ごちそうになるんだしね」

「そうですか?」


 シンヤ様はその後も涙を時折拭きながら玉ねぎを切ってくださいました。

 その間わたくしは冷蔵庫からブロック状の牛肉を取り出します。


「わ、すごいね。ブロック状の牛肉なんてあんまり見ないよ」

「わたくしはよく購入いたしますわ。ツバキが肉類が好きですし、ローストビーフを作ったりもしますもの」

「そうなんだ。あ、玉ねぎは切り終わったよ」

「ありがとうございます」


 牛肉のブロックを渡しますと、シンヤ様が肉切り包丁に持ち変えまして肉を程よい大きさに切り分けてくださいました。

 鍋に油を入れて熱して、切っていただいた材料を入れて炒めます。

 火が通ったところで水を入れて沸騰させ、灰汁を取ってから、さらに中火で二十分ほど煮込んでいきます。

 その後一度火を止めて冷凍しておいたルーをレンジで溶かしてから鍋の中に入れます。


「隠し味入れないの?」

「隠し味ですか?」

「そう、ハチミツとか、ヨーグルトとか、チョコレートとか、ケチャップっていうのもあるよね」

「今までそう言った物を使ったことはございませんね」


 わたくしは言われて冷蔵庫の中を確認すると、ちょうどヨーグルトがございましたのでそれを取り出しました。


「どのぐらい入れるのでしょうか?」

「お好みで、って言いたいけど、初めてだし大匙いっぱいぐらいかな」

「わかりました」


 言われた通りに大匙いっぱい分のヨーグルトを鍋の中に入れてかき混ぜて、再び弱火で煮込んでいきます。

 そういえば、このヨーグルトは明日の朝に出そうと思っていた分でしたが、まあ大匙いっぱい分ぐらいでしたらさして問題はないでしょう。

 ライスの方はお昼ご飯を頂いた後に予約炊飯と言うものをしておりましたので、問題ありません。

 好きな時間にライスが炊き上がるようにできるなんて、素晴らしいですね。

 カレーにとろみがついたら完成です。

 お皿にライスを盛り付けるのはシンヤ様がしてくださいましたので、わたくしはそれにカレーをかけて行きます。

 ……もう少しとろみがあったほうがよかったかもしれませんね。

 ともあれ、完成したカレーライスをシンヤ様がテーブルに運んでくださいましたので、わたくしはお昼に作り置きしていたオニオンスープを温めて、冷蔵庫にデザートのメロンのタルトがあるのを確認してからオニオンスープを器に盛りつけてトレイに乗せてテーブルに運びます。

 ツバキが加わった時点でテーブルは大きい物に替えてありますし、お客様がいらしてもいいように椅子も六脚ございますのでシンヤ様がいらしても何の問題もありません。

 そもそも、シンヤ様がこの拠点で食事をなさるのは今日が初めてではありませんしね。

 テーブルにそれぞれ座りまして、神様への祈りを捧げて食事を始めました。


「しかし、毎度思うのじゃが」

「なんですか、ツバキ」

「キッチンに立って二人で作業をしているのを見るとあれじゃな、むずむずするの」

「どういうことでしょうか?」

「見ている方が照れると言うか、見せつけられている感じがすると言うか、言葉に表すのは難しいの」

「ナティルとネーロもそうなのですか?」

「ご主人様が楽しそうになさっていればそれで構いません、一応は」


 ナティルの言葉に賛成なのか、ネーロもぷるぷると縦に震えています。

 わたくしとシンヤ様がキッチンに立つとむずむずするとか、わたくしが楽しそうとか、どういうことなのでしょうか?



第二章 完

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