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最強聖女!チート御一行のダンジョン生活★  作者: 茄子
第二章 動き始める人間関係
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もう一人の聖女

「マリア様ですか?」

「そう、召喚された勇者の中で最もステータスが高い女の子」

「まあ、初期ステータスを晒した中でっていう前提なんだけど、珍しい亜人種の子でね、ほら、ティタニアさんと同じ異世界の聖女だから気になるんじゃないかなって。もう一年もこの世界に居るんだし、接触があってもおかしくないんじゃないって思ったの」

「生憎、お会いしたことはございませんね」

「そっか、まああの子ってば大魔法をバンバン使うからソロで活動するのが殆どだし、接触無くてもおかしくはないか。スレッドにはよく顔を出してるけど、実際に会った人は殆ど居ないって話だもんね」

「食事会にもいらっしゃらないのですか?」

「生肉が主食だから自分の拠点で食べているみたい。私達の前で食べるのは気分が悪くなるんじゃないかって配慮しているんだって」

「生肉ですか」


 確かに目の前でいきなり調理されていない生肉を食べ始められたら少し、いえ、かなり驚きますね。

 けれども、そう言えば亜人種は各世界から様々な方が召喚されていますが、確かに珍しいのですよね。

 皆様基本的には同じ人間(に見える)ですもの。

 マリア様にお会いした方がスレッドに書き込んだ容姿ですと、赤い髪に羊の角、背中には黒い骨格のような翼が生えている、でしたか。

 確かに世界が違うとはいえ、聖女という立場にある者同士ですので、全く興味がないと言えば嘘になりますが、無理に会いたいとまでは思っていないのですよね。


「それで、そのマリア様がどうかしましたの?」

「うん、スレッド上でシャーレさんと揉めているんだけど、知らない? ほらこれ」


 そう言ってエッシャル様がスマートウォッチで該当のスレッドを見せてくださいました。

 タイトルは『一年経ったし皆の成果を話し合おう』という普通の物ですし、途中までは特に問題があるようには見えないのですが、テンマ様とシャーレ様が加わってから内容が可笑しな方向に進んでいるようです。

 マリア様が『70階層まで到達できた事が一年の成果』という書き込みをした後、シャーレ様が『なにそれ、自慢ですか? テンマ様だって貴女に負けません』と書き込んで、テンマ様が『おれだって58階層には到達している』と書き込みました。

 その後はひたすらシャーレ様によるテンマ様が如何に素晴らしいかという自慢の書き込みと、それに対するマリア様の煽り書き込みが続いております。

 マリア様、聖女なのにこんな煽るような書き込みをして、大丈夫なのでしょうか?

『テンマ様は私の事を愛してくれていて、元のとまではいきませんけど、ちゃんとした暮らしをさせてくれているんですよ』

『わぁお、一年前に別の人と真実の愛とか言っていたのに笑えるぅ』

『あれは間違いだったんです。テンマ様への愛こそが真実の愛です』

『真実の愛とか簡単に言っちゃっていいのぉ? 他の人に言えなくなっちゃうよぉ?』

『テンマ様一筋なのですから、他の人へ愛を語ることなんてありません』

『そんな事言っちゃってぇ。より生活力があってつよぉい人が居たら簡単に乗り換えるんじゃなぁい?』

『ありえませんね。テンマ様以上に私の事を愛してくれる人なんていませんから』

『本当に愛してくれているのかしらぁ? 貴女以外居ない状況を作り出して依存させているんじゃないのぉ?』

『酷い事を言いますね。私はテンマ様を癒して差し上げたいだけです。テンマ様は孤独に苦しんでいるんですから、私が必要なんです』

『それってぇ、自分のせいでそうなったんじゃないのぉ? この世界では能力値が高い方でも、上には上がいるものでしょぉ、わたしとかぁ。それにぃ、もぉっとすっごい人とかいるのよぉ、誰とは言わないけどぉ。言ったら貴女泣いちゃうかもぉ』

『意味が分かりませんね』

『言ったところでお花畑ちゃんにはわからないでしょぉ。そういえばぁ、貴女の最初の相手のエドワルドって人、随分ダンジョンの攻略に苦戦してるみたいじゃないのぉ。旦那様はぁととか言ってたのにぃ、それこそ手を貸してあげなくていいのぉ?』

『エドワルド様はもう赤の他人ですから』

『ひっどぉい、初めはあんなにラブラブ()だったのにぃ。生活環境って本当に人を変えるわよねぇ。もっともぉ、文句だけいって変わらないどこかの公爵令嬢様もいるみたいだけどぉ』

『私は出来ないものは出来ないと主張しているだけです。悪いように言わないでもらえますか』

『やだぁ、別に貴女の事だなんて言ってないけどぉ、自覚あるんだぁ、へぇ』

『私の事を馬鹿にしているんですか』

『えぇ? 言わないとわからないのぉ? 公爵令嬢様ってどんな教育を受けていたのかしらぁ』

『貴女のような下品な教育は受けていません』

『姉の婚約者を寝取った挙句に妊娠して婚約破棄させた人に下品とかいわれてもぉ、笑えるぅって感じぃ』

『私は犠牲者です』

『犠牲者は貴女のお姉さんでしょぉ。あ、縁を切られちゃったんだっけぇ。そりゃぁ、縁も切りたくなるわよねぇ、こぉんな妹がいるなんて、恥、だもん』

『恥って何ですか! お姉様だって今頃私と縁を切ったことを後悔しています』

『どぉしてぇ? わたしだったらぜぇったいに後悔なんかしなぁい』

『貴女に何がわかるっていうんですか』

『普通に考えればわかるでしょぉ? まあ、普通じゃない人に何言っても無駄だろうけどぉ』

『失礼な人ですね。碌な人生を送っていなかったんでしょうね』

『あはぁ、わたしもぉティタニアさんと同じ異世界で聖女してましたけどぉ』

『聖女? お姉様といい貴女といい、聖女って碌なものじゃないですね』

『貴女にだけは言われたくなぁい』

『マリアさん、シャーレを責めるようなことを言うのはやめてくれ』

『なぁにぃ、目覚めちゃった真実の愛の相手を馬鹿にされて顔真っ赤ぁ?』

『シャーレの事は、真実の愛とかそういうのはまだ考えられない』

『へぇ、そうなんだぁ。残念ねぇ、シャーレさぁん』

『テンマ様は照れているだけなんです』

『ふぅん、そうなのぉ。テンマさんにはぁ、他に大切な人がいるんじゃないのぉ?』

『どういうことですか』

『そんなのぉ、真実の愛で結ばれてるんでしょぉ? 本人に聞いてみればぁ?』

『テンマ様、どういうことですか?』

『彼女が何を言っているかおれにはわからないよ』

『自分の心に素直になってみればぁ? 依存している相手ってぇ、そんなに変わらないわよぉ』

『依存なんてしていない』

『だぁい好きな依存相手に捨てられちゃったものねぇ。依存しているなんて思いたくないわよねぇ。でもぉ、残念だけど事実だからぁ。まあ、相手からはとぉっくの昔に捨てられてるけどぉ』

『どういうことだ』

『わからないのぉ? 他を見ろって言われたんでしょぉ。その時点で捨てられてるのよぉ』

『そんなはずない!』

『テンマ様、落ち着いてください。こんな女の言葉、信じるに値しませんよ』

『確かにそうだな』

『信じる信じないは貴方達次第だけどぉ、現実を見ることが出来ないお花畑はぁ、いつか死んじゃうよぉ』

『私、貴女の事が大っ嫌いになりました』

『そぉ? わたしは元から貴女の事なんてどぉでもいいわぁ』

『じゃあ私達に絡んでこないでください』

『先に絡んできたのは貴女でしょぉ? もう忘れちゃったのぉ?』

『もういいです! 貴女と話している時間が無駄です』

『偶然ねぇ、わたしも同じことを考えていたわぁ』

『もうこのスレッドも終わりですね』

『貴女が来なければすむ話でしょぉ? そんな事もわからないのぉ? お ば か さ ん』

 この後はシャーレ様とテンマ様の書き込みはなく、マリア様が『ごめんなさい、続きは皆で楽しんでください』と書き込んでいます。

 シャーレ様とテンマ様相手以外には普通に話すのですね。

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