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最強聖女!チート御一行のダンジョン生活★  作者: 茄子
第一章 いざ異世界へ
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準備は万端です

 数ヶ月が経ち、シャーレは無事に男児を出産いたしました。

 ただ、エドワルド様との婚姻はまだしておりませんで、シャーレの体調が整い次第ドレスなどを準備して婚姻をするという予定になっているそうなのですが、それよりも早くに異世界に召喚される事になりそうですわね。

 わたくしの方は準備万端と言った感じでございます。

 神殿の厨房担当の者に、簡単な料理も教えていただきました。

 本当に基本的なものばかりで、人様に出せるようなプロの味とまではいきませんが、教え方の上手いコックでございましたのでそれなりの物が作れるようになりましたし、レシピ集というものもいただきました。

 わたくしでもわかりやすいように書いてくださいまして、本当に感謝しかありませんわね。

 今までお茶は自分で淹れておりましたけれども、火を使ったりする料理というものはしたことがありませんでしたし、包丁というものも使った事がありませんでしたので、本当に最初は大変でした。

 数ヶ月で随分上達したとコックには言われましたが、お世辞も入っているのでしょうね。

 自分で作った物よりも、やはりプロであるコックの皆様が作ったほうが数段美味しいですもの。

 あ、でも焼き菓子を作るのは我ながら上達したと思いますわ。

 先日シフォンケーキを焼いて教皇様にお裾分けしましたら、泣いて喜ばれてしまいました。

 まあ、確かに当初の黒焦げの焼き菓子に比べたら随分ましになりましたけれども、泣くほどの物なのでしょうか?

 これは親心ですかね、子供を安心して送り出せるようになったと思って感動しているという事なのでしょうか。

 ともあれ、わたくしの方の準備はほぼ完ぺきという所でございます。

 出来れば親しくしている人にはお別れの挨拶をしたいのですが、そうしますとわたくしが異世界に行く事が事前に広まってしまいますので難しく、お手紙を書いて、実際にわたくしが異世界に行った後に届けていただくようにしている所でございます。

 あと十人分書き終わったらわたくしの準備は完璧といった感じですわね。

 一人一人に思いを込めて書いておりますので、どうしても長文になってしまうというか、時間がかかってしまうのです。

 親しい令嬢はもちろんですが、お世話になった枢機卿の方々、使用人の方々へ向けた手紙を書くというのは、なんと申しますか新鮮な気持ちがいたします。

 このような事が無ければ、こうして自分の中にある彼らへの想いと向き合う機会など滅多にないでしょうからね。

 それにしても、婚約破棄されてからの数ヶ月、色々な事がありました。

 私財を換金出来る物に替えたり、教皇様から様々なものを頂いたり、部屋の掃除の仕方を教わったり、料理を習ったり、今までの自分では考えられないような事を色々と学びました。

 その反面、シャーレとエドワルド様はわたくしに関する悪い噂を広めて、聖女の座から引きずり降ろそうと画策していたようですけれども、如何に王族とはいえ、神様の啓示を曲げる事が出来るはずもなく、結果はお察しの通り無駄に終わったという感じです。

 わたくしの悪評を広めたという事で、教会側の王家に対する印象が悪くなり、王家が主催するお茶会や夜会への招待をわたくしの所に回さないようにするようになりました。

 これに関しましては自業自得といった感じですので、巻き込まれた王家の方々はお気の毒ですが、エドワルド様を制御出来なかったのも悪いですわよね。

 フォルセルド公爵家に関しても、シャーレは子供を産む前に婚姻したいと騒いだそうなのですが、日に日に大きくなっていくお腹を抱えて婚姻式など出来ないと判断したため、機嫌の悪いシャーレを養う事になり、ご機嫌取りに大変なのだそうです。

 あと、お父様はいまだにわたくしの婚約者探しを諦めていないようですが、打診があっても教会側が断りを入れているようです。

 もうすぐ異世界に行きますし、教皇様の判断はグッジョブといった感じですわね。

 他にはなんでしょう?

 そうですわね、夢見という形で神様より異世界で使用する道具の使い方などの説明を受けておりました。

 とある世界の現実的遊戯(VRMMO)なる物を参考にしているのだそうで、使用するアイテムもその世界の物をベースにしている物が多いのだそうです。

 錬金術はこの世界にもありますが、科学という物が発展した世界というのは、めまいがしてしまいそうなほどに色々な物があるのですね。

 その分、逆に魔法の文化などは発展していないようで、異世界で魔法を使う際は本当に現実的遊戯(VRMMO)のような感覚になるのかもしれないとおっしゃっておりました。

 魔法がない世界なんて、わたくしの常識では考えられませんけれども、世界が違うのであれば常識も違うのだと言われまして、科学が発展している世界からしたら、科学なしでどうやって生活していくのか不思議で仕方がないように思われるとの事でした。

 神様は本当に色々な世界を作っていらっしゃいますわね。

 えっと確か、この世界に似ているけれども、普段使用する道具(ハイテク機械)は異世界の物をベースにしている、のでしたか?

 ハイブリット? なるものだそうで、変わったマジックアイテムだと思えばいいと言われました。

 あと、アイテムボックスの中身は引継ぎで持って行けるけれども、流石にレベルは引き継げないのだそうです。

 この世界にもレベルという概念はありませんけれども、それを持ち込んだらそれこそチートなるものになってしまうと言われてしまいました。

 まあ、この世界から様々なマジックアイテムを持ち込んでいく時点でかなりのチートなのだそうですけれども、その点はご容赦いただいております。

 聖女特権という物ですわ。

 異世界に言ったら一番使うと言われているスマートウォッチなるマジックアイテムの使い方に関しては、特に詳しく説明を受けました。

 そのスマートウォッチ一つでステータスという物の管理や、拠点となる場所の改築、物の売買、他の召喚された方々との交流が取れるのだそうです。

 メッセージ機能にチャット機能、という物は使って行けば慣れていくと言われましたが、実際に神様相手に何度か練習をしておりますが、音声入力型というのは魔法の詠唱のような物だと思っているのですが、若干違うようなのですよね。

 確かに、神様とスマートウォッチを使って会話をするときは詠唱などしませんし、普通に会話をする感じですのでマジックアイテムに向かって話すというのに慣れれば何とかなるかもしれません。

 メッセージ機能というのはお手紙を書くような物なのだそうですが、これに関しては思考入力でも可能という事で、訓練している最中です。

 二人一組で行動するということですので、チャットなる物での会話は聞かれるのは仕方がありませんが、お手紙のようなメッセージまで音読して聞かれてしまうのは少々恥ずかしいですものね。


「ティタニア様」

「まあ、教皇様どうなさいましたの?」


 部屋でお茶を淹れる練習をしていましたら、教皇様がいらっしゃいましたので、ちょうどよいと淹れたてのお茶をお出ししましたらまた感涙されてしまいました。

 涙を流しながら嬉しそうにお茶を飲む教皇様の図、なかなかにシュールですわね。


「それで教皇様、本日はどのようなご用件でいらっしゃったのでしょうか?」

「ああ、あまりにもティタニア様の淹れる茶に感動して肝心の要件を忘れるところであった。……これを差し上げようと思ってな」


 そう言って教皇様がアイテムボックスから取り出したのは明らかに禍々しい雰囲気の鍵付きの書物です。


「教皇様、そちらは?」

「禁書庫に封印されていた書物だが、扱いに困っていてね、異世界に行くのに何かに役に立つかもしれないから持っていくといい」


 思わず浮かべている微笑みが引きつりそうになりました。

 まさかとは思いますが、今までわたくしに下さっていた物は全て扱いに困っていた物の処分だったのでは?

 いえ、教皇様に限ってそのような事を考える方ではありませんわよね、疑うのはよくありませんわ。

 それにしても、手に取るのもおぞましい雰囲気の書物ですわね。


「ちなみにどのような内容が書かれておりますの?」

「さて、数百年封印されていてな、記録にもほとんど残っていないのだが、かつてこの世界を支配していた古き神々の事が記されているそうだ」

「今存在している神は一柱ですわよね?」

「うむ、かつて神々で戦争があり、生き残ったのが今の神という事らしい」

「そうだったのですか」


 初耳ですわね、この分だとわたくしの知らないこの世界の情報が山のようにありそうで恐ろしいですわ。

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