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最強聖女!チート御一行のダンジョン生活★  作者: 茄子
第二章 動き始める人間関係
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私だけを見て(シャーレ視点)

 ガチャン、といきなり音がして、驚いてそっちの方を見ると、リビングの床に何枚もお皿が割れて落ちていた。


「あら大変。お皿を片付けようとしたら落としちゃったわ。リビングのお掃除係さん、片付けよろしくね」

「貴女が落としたんでしょう、自分で片づけてください」

「だって、リビングは貴女の担当でしょう? 邪魔しちゃ悪いわ」

「そんなっ」

「じゃあ、私達これから誰かさんがいかない狩りに行くから、帰ってくるまでに片付けておいてよね、危ないもの」


 そう言ってリビングを出て拠点を出て行ったメンバーを追いかける事も出来ず、私は割れたお皿を憎々しげに見つめるしか出来ない。

 最近こういう事が多い。

 わざとリビングにゴミが置かれる。

 最初はなんてくだらない嫌がらせだと放置していたけれど、テンマ様に少し片づけないとねと言われてしまって片づけるしかなくなってしまった。

 それ以来、頻繁にゴミがわざと目に付くところに置かれるようになって、テンマ様がそれを見るたびに困ったような顔をするから、ちゃんと片づけなければいけなくて、そのストレスが溜まっていく。

 私は毎日リビングの掃除をするなんて言っていないのに、あんなくだらないメンバーのせいでどうしてこんな事をしなくちゃいけないの。


「うわ、これは危ないなぁ」

「テンマ様! 聞いてくださいよ、さっきわざとお皿を割って女の子達が出て行ったんですよ!」

「え、わざと? 手が滑っただけだと思うよ」

「そんなことありません!」

「うーん、それなら後でちゃんと話してみるよ」

「お願いします」

「じゃあ、おれはこれから狩りに行ってくるから、後はよろしく頼んだよ」

「え?」

「ん?」

「……これ、私が片づけるんですか?」

「他の皆は狩りに出るからね。ずっとこのままじゃ危ないだろう?」

「わざと割った人が片づければいいのに」

「それについては帰って来てから話し合おう。とにかく片付けに関しては頼んだよ」

「わかりました」


 テンマ様の言葉に私は渋々頷くと、テンマ様は笑顔で私の頭を撫でてから拠点を他の人と一緒に出て行ってしまった。

 どうして私がこんな召使いみたいな真似をしないといけないの?

 私はフォルセルド公爵家の娘なのよ。

 誰しもが私に傅いてここに居てくださいって頼むのが当たり前だっていうのに、何かの役に立たないと同居は認められないなんて生意気すぎるわ。

 テンマ様だって、もっと私の事を庇ってくれてもいいのに、あんなどうでもいい人達の事を気にして、どういうことなの?

 この私がこんな状況になるなんて、絶対に間違っているわ。

 そうだ、テンマ様が帰ってきたらちゃんと私の言いたいことを伝えなくちゃ。

 そうすればテンマ様だって私の境遇をわかってくれるはずだわ。


「痛っ」


 そんな事を考えて割れたお皿の破片を拾っていたせいか、指を切ってしまった。

 じんわりと白い指に赤い血が浮かんでくる。

 この私が怪我?


「もういやっ!」


 私はそのまま部屋に駆け込むとしっかりと鍵をかけてベッドの上に飛び込んだ。

 テンマ様にお願いして高級なベッドに替えてもらったから、スプリングが効いているマットレスは私の体を優しく受け止めてくれるけど、それだけじゃ足りない。

 どうやったら今以上にテンマ様を私の物に出来るのかしら?

 テンマ様ならエドワルド様と違ってこの世界でも十分に私を養ってくれるはずだから、どんな手を使ってもテンマ様を私の物にしなくちゃいけないわよね。

 私にはわかるわ、テンマ様の頭の中には私以外の誰かが居る。

 その誰かを忘れさせる方法って何かしら。

 そもそも、テンマ様の頭の中にいる人ってどんな人?

 忘れられない愛する人なのかしら。

 でも、もしそうだとすればテンマ様なら絶対に一緒に暮らしているはずだから、この世界に召喚されていないことは確かよね。

 どんなに愛していたって、近くにより魅力的な私のような女が居たら忘れさせることは可能だけど、それだけじゃダメ。

 もっと私の為に尽くすように、私を愛してもらわなくっちゃいけないんだから。

 とりあえず、今一緒に同居しているメンバーは邪魔よね。

 そもそも、私とテンマ様だけの二人きりの生活だったはずなのに、テンマ様の優しさに付け込んで無理やり同居しているような連中なのよ、早く追い出さなくちゃ。

 テンマ様を私だけのものにする方法、何かないかしら。

 寝るまでテンマ様の部屋にいるっていうのに、全く手を出してこないし、テンマ様ってば奥手なのかしら?

 それともテンマ様の居た世界では婚前交渉は禁止だったとか?

 エドワルド様のお母様が言っていたわ、男を手に入れるには体で誘惑するのが一番だって。

 伯爵令嬢の座から、国王陛下の寵妃にまで上り詰めて、亡くなるまで後宮で絶対的な権力を持っていたエドワルドさまのお母様は私の憧れ。

 残念だけど、国王陛下が戴冠する前に亡くなってしまったけれども、それでも国王陛下の後宮でもっとも権力を持っていたのは確かだもの、あの人に出来て私に出来ないわけがないのよ。

 だって私はあの人よりも身分の高い公爵令嬢なんだから。

 やっぱり、とりあえずは他人を蹴落とすことが必要よね。

 私以外のメンバーを追い出せば、テンマ様は私だけに目が向くはずだから、自然と私の物になるはずだわ。

 どうやってメンバーを追い出してやろうかしら。

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