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最強聖女!チート御一行のダンジョン生活★  作者: 茄子
第二章 動き始める人間関係
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お茶会のお誘い

「まあ、シンヤ様。二十階層にようこそ」

「まるで君がこの二十階層の主のようだね」

「そうですわねえ、数ヶ月間もこの階層に居りますのであながち間違ってはいないかもしれませんわね」


 いつものように二十階層でエレメント狩りをしていると、索敵サーチにシンヤ様の反応があったので周囲のエレメントを一気に片付けてシンヤ様をお迎えいたしました。

 シンヤ様はご自身が身代わり人形を買ったこともあるからか、たまにこうしてグロウエレメントのドロップ品目当てで二十階層にいらっしゃるのですよ。

 それでなくとも、魔法が使えるのであれば、二十階層はとても美味しい狩場ですから。

 といっても、他の勇者がいらっしゃることは殆どないのですけれども、なぜでしょうか?

 エレメントの魔法攻撃は中々に強く、防御魔法が無ければ身の危険もある事は確かですが、防御魔法さえ使えれば大丈夫なのですけれどもね。

 そもそも、召喚された勇者の中に魔法適合者が少ないというのもあるのかもしれません。

 シンヤ様は殺した相手が魔法を使うことが出来たため、魔法の才能が開花して魔法を使えるようになり、元の世界での遊戯の中に出て来た魔法をどんどん取り込んで今ではかなりの魔法を扱えるようになったそうです。

 やはり努力は報われるものですね。

 どうもシンヤ様のいらっしゃった元の世界の現実的遊戯(VRMMO)にとても近いのがこの世界なのだそうです。

 シンヤ様は友人に誘われていくつかのそういった遊戯をしたそうなのですが中々に面白かったとおっしゃっておりました。

 わたくしの世界で遊戯といえばカードやボードゲームでしたが、やはり文明の違いというのは色々あるのですね。

 もっとも、若干ルールは違いますが、シンヤ様の世界にもそういった類の遊戯はあったそうなので、今度拠点にいらっしゃった時には対戦してみるのも楽しいかもしれませんね。

 わたくしが元居た世界にはない遊び方を教えていただけるかもしれません。

 この世界に来るために、そして来てから色々と学ぶことがありますけれども、何よりも学んだのはやはり人間関係でしょうね。

 シャーレ様と縁を切り、エドワルド様と疎遠になったことでわたくしの人生は今までと全く違ったものになっております。

 もし、あのままわたくしだけ元の世界に残っていたのだとしたら、神様にわたくしがお願いして二人を世界から消し去ったと非難されていたかもしれません。

 神様はその事を前もって考えてわたくしもこの世界に呼び寄せたのかもしれません。

 詳細に関しては、神様に聞かないとわかりませんが、きっと教えてはくださらないでしょう。

 きっといつものように「気まぐれだよ」などとおっしゃるに決まっております。

 わたくしの信仰している神様というのは、そういう方なのです。

 そんな神様に振り回されることもありますが、確かに先が読めないという点では元の世界に居た時よりも楽しいといえますね。

 お茶会も開こうと思えば開けますし、元の世界と違うのは友人や親しい人が変わった事、そして元の世界であった縁が切れた事、そしてほぼ毎日モンスターと戦う事になった事。

 かなり違うといえば違うのですが、ささやかな違いと言えばささやかな違いです。

 けれども新しい友人が出来、わたくしも自分自身で今まで以上に身の回りの事をして、それまで自分で出来ていると思っていたことも、それでもたくさんの人のお世話になっていたのだという事がわかりました。

 それだけでも十分な収穫だと思いませんか?


「ティタニアちゃん、今度メグミちゃんが開くお茶会に参加するんだってね」

「ええ、わたくしの元の世界にはない抹茶というものを振舞ってくださるそうなのです。苦いものだから覚悟しておいてと言われました」

「抹茶か、俺は好きだよ」

「そうなのですか?」

「うん、一緒に出される甘いお菓子なんか特に」

「まあ、そちらがお目当てでしたか」


 クスクスと笑ってわたくしは肩に乗ったネーロを撫でます。

 話している間に沸いたエレメントはネーロが闇魔法で対処してくれているので安心して会話を続けることが出来ます。


「最近のティタニアちゃんは男性にも女性にもモテモテだ」

「社交術はしっかりと学んでおりますもの」

「そういえば君も公爵令嬢なんだよね」

「ええ、公爵令嬢として、聖女として、そして王妃になる為の教育を受けておりました」

「忙しくなかった? その、嫌だとかは思わなかったのかい?」

「思いませんでしたわね。学ぶことは苦ではありませんでしたもの」

「偉いんだね」

「そうでしょうか? 学ぶことを嫌う人もいますけれども、神殿の中には少なくともそのような人はいませんでした。皆様勤勉で、とても優秀な方々ばかりでした」

「そっか、そういう人たちの影響もあるのかもしれないね」

「そうですわね」


 わたくしを育ててくださった方々には今でも感謝しかありません。

 もし、聖女に選ばれずフォルセルド公爵家にずっといることになったら、どのような運命が待っていたのかすら想像もつきませんもの。


「シンヤ様はお茶会には参加しますか?」

「生憎今回招待状は貰っていないんだ」

「そうでしたか、それは残念です」


 もしシンヤ様がいらっしゃれば、初めての抹茶なるものを頂く時でもフォローしていただけると思いましたのに、残念ですわね。

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