ナティルが目覚めました
「まあ、ナティル! やっと目が覚めましたのね。どこか体に異常はありませんか?」
「ご心配おかけしましたご主人様。体に異常はありません」
「それはなによりですわ。えっとステータスは」
『異界の禁書:ナティル
レベル:34(特)
生命力:1024▲、魔力量:1324▲
攻撃力:854▲、防御力:764▲
魔法力:4215▲、知識力:5214▲
俊敏性:734▲、幸運力:99
主人:ティタニア』
なんでしょう、このチート。
もう能力が高いとかそういう次元じゃないような?
「これからもより一層ご主人様のお役に立てるよう、努力いたします」
「そうですか。よろしくお願いいたします」
わたくしの顔、引きつっていませんわよね?
レベルが下がったとはいえ、グロウエレメントを倒すのに特に問題はなさそうですし、明日から早速二十階層の狩りに復帰していただきましょう。
「今日のお昼はポトフに致しますわね」
「それはいいですね」
嬉しそうなナティルの顔に、わたくしも思わず嬉しくなってしまいます。
野菜好きのナティルには沢山野菜を食べていただきたいですからね。
ナティルも起きたことですし、少し早いですがわたくしは早速昼食の準備に取り掛かることに致しました。
まあ、野菜を切って煮込むだけなのですけれども、最近ではコンソメを固形状の物から粉末状の物に致しまして、微調整が可能なようにしたおかげか、好みの味付けにすることが出来るようになりました。
あと、味付けというわけではないのですが、神殿のコックにも言われたのですが調理中に味見をし過ぎると味がわからなくなってしまうという事なので、味見はわたくしではなくツバキやナティルにしていただくようにしております。
最終的な味見はわたくしがしておりますけれどもね。
張り切りすぎてしまったせいで、いつもよりも量を多く作ってしまいましたが、ツバキとネーロが居ますので残るという事はないでしょう。
器に盛りつけてトレイに乗せてテーブルの方に持っていきます。
「作りすぎてしまいましたので、おかわりは好きなだけしてくださいね」
そういって神様に祈りを捧げて食事を始めました。
ナティルが眠っている間の事を話したり、逆にナティルが眠っている間に夢を見たのかなどと話したところ、眠っている間に特に夢を見たわけではないとの事でした。
むしろ眠いと感じて眠りに落ちて、気が付いたら目が覚めていたとの事でしたので、本当にただ眠りに落ちていただけのようです。
何か夢を見ていれば話の種にもなったのかもしれませんが、特にないのでしたら話題にはなりませんね。
とはいえ、このような事をスレッドに書き込むわけにもいきませんので、勇者の誰かが同じ状況になるまでの内緒ですわね。
「あら、シンヤ様からメッセージが来てますわね」
昼食を食べ終わってナティルがお皿を洗っている間にいつものようにスレッドを眺めていると、メッセージが点滅していたことに気が付き確認してみるとシンヤ様からのものでした。
内容は、本日が休養日である事を知っている為、お茶に行ってもいいかという話でしたので、わたくしはすぐさまお茶の準備をして待っていると返事をいたしました。
「シンヤ様がいらっしゃるそうです。お茶の準備をしないといけませんわね」
「あやつ、ぬしさまに気があるのではないか?」
「お茶をしに来るだけでそのように疑うのはよくありませんわよ。それに、頻繁にいらしているわけではないではありませんか。頻度で言えばクインゼル様とエッシャル様の方が頻繁に訪れておりますわよ」
「女人ではないか」
「女の子同士のお茶会って楽しいですわよね」
にっこり微笑むと、ツバキは呆れたという感じに肩を竦めました。
わたくしは気にせずに茶器などを出して準備をしていきます。
おやつの時間にいらっしゃるという事ですので、なにかお菓子も準備したいのですが、今から何か作るとなりますと何がいいでしょうか?
あまり時間のかからない、けれども美味しい物……。
「焼きプリンなんてどうでしょうか?」
「良いのではないか?」
「では早速準備をいたしましょう」
キッチンに立って必要な材料がそろっているかを見て、大丈夫なことを確認してから早速焼きプリンを作り始めます。
最近ではオーブンレンジの扱いにも慣れてきまして、失敗することもなくなりました。
牛乳を耐熱容器に入れてオーブンレンジで20秒ほど加熱。
ボウルに卵を入れて泡だて器でよく解きほぐして、加熱した牛乳に砂糖を加えさらに混ぜ合わせて行きます。
よく混ざったら茶こしでこしながらココットへ入れて行きます。
ココットにはアルミホイルで蓋をします。
フライパンに布巾をのせ、その上にココットを乗せてから、フライパンの底から2cm程度の高さまでお湯を注ぎ入れまして、フライパンの蓋を閉じて弱火で15分加熱を行い、その後火を消してそのままの状態で10分間置いておきます。
次はカラメルを作ります。
小鍋に上白糖を入れ、耐熱性のヘラで混ぜ合わせて弱火で加熱をし、色が変わったら火からおろします。
水を入れ混ぜ合わせたら、余熱が完了したココットに注いで出来上がりです。
その頃にはちょうど約束した時間になりましたので、待ち合わせの十一階層に向かいました。




