表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強聖女!チート御一行のダンジョン生活★  作者: 茄子
第二章 動き始める人間関係
48/129

狭い価値観(テンマ視点)

 この世界にはシンヤ兄さんと一緒に居た時に召喚された。

 おれの一族はちょっと特殊で、古武道を身に着けることが義務付けられている。

 もちろん、おれもシンヤ兄さんも幼いころから古武道を学ばされていて、この世界に来る前にはシンヤ兄さんは師範代の免許まで取っていた。

 おれは、正直言ってあまり一族の中では出来がいい方じゃなかったから、家族の中では冷遇とまではいかないけれども、他の兄弟に比べていい待遇を受けていたとは言えない。

 そんな中、シンヤ兄さんだけはおれの事を平等に見てくれたし、大器晩成って言葉があるぐらいだから、そのうち才能が開花するかもしれないって言ってくれていた。

 そんなシンヤ兄さんと一緒に道場で居残り稽古をした帰りに眩しい光に包まれて、この世界にやって来た。

 正直訳が分からなかったし、ゲームみたいな状況に夢かと思ったけど、実際に目の前で人が死んで現実なんだって思ってぞっとした。

 そんな俺を元気づけるように、シンヤ兄さんが俺の肩を叩いてにっこりと笑ってくれたんだ。

 もうそれだけでおれは十分だと思った。

 おれの事をよく思っていない家族と離れて、おれの事を思ってくれているシンヤ兄さんと一緒にこの世界で過ごせるのなら、それもいいと思ったんだ。

 神様が二人一組になるようにいった時、俺はシンヤ兄さん以外と組むことは頭になかった。

 それでも、シンヤ兄さんは少し考えていたようで、真っ先に動くことはなかったけれど、おれがシンヤ兄さんに「行こう」と言えば、シンヤ兄さんは仕方がないというような顔をしておれと一緒に組むことを承諾してくれた。

 そこからは順調だった。

 おれもシンヤ兄さんも初期ステータスは高い方で、古武道を修めているという事もあって、最初からそれなりの狩りをする事が出来た。

 おれはすぐにでも十階層に行こうといったんだけど、シンヤ兄さんは慎重に一階層ずつ上がっていくべきだって言ったから、その通りにした。

 実際、徐々に強くなっていくモンスターに、最初から上の階層に行かなくてよかったと思った。

 シンヤ兄さんのいう事はいつだって正しい。

 二人でずっとこのまま組んでいけば、モンスターなんて怖くない、そう思っていたのに、チュートリアルが終わってすぐにシンヤ兄さんはおれとの別居を言い出した。

 もちろん拒否したし、絶対に認めないって言ったけれど、シンヤ兄さんは一人で出て行ってしまった。

 その後にスレッドで、おれのお守りをするのはいやだというような内容の書き込みを見て、シンヤ兄さんは嫌々おれと組んでいたのかとショックを受けた。

 おれは必死にシンヤ兄さんに追いつこうと頑張っていたのに、無意味だったんだって悲しくなったけど、そんな俺でも誰かの役に立ちたいと考えを変えた。

 そうすれば、シンヤ兄さんもおれを見る目が変わって戻って来てくれるかもしれないって思ったんだ。

 だから、スレッドに書き込んでいる悩みを抱えている人を見ては声をかけるようにした。

 もともとそうしていたし、今まで以上に積極的に動いた結果、一緒に組んだ相手と相性が悪かった勇者が何人かおれの所に移住してくることになった。

 一番気にかかっていたシャーレに関しては、メンバー内でかなりもめた。

 シャーレが戦闘も家事も出来ないことはスレッドを見ればわかる事だから、無駄飯ぐらいを同居させる気なのかと責められた。

 エドワルド君が立てたスレッドでシャーレとエドワルド君が言い合いになった後、おれの所のメンバーが参戦して同居するのなら何か簡単な事でもいいから役に立つ事をするようにと言い始めた。

 そうしなければ同居に絶対に反対だと。

 おれはシャーレにメッセージで簡単な掃除でもいいし、皿洗いでもいいからやって欲しい、そうすればおれが後はメンバーを説得するからと説得して、シャーレはリビングの掃除を請け負う事でおれの拠点に移住することが出来た。

 前の拠点から持って来た備品などで余ったものを売って、少し所持金が増えたと喜んでいた姿は可愛いと素直に思ったし、シャーレの為に新しく部屋を増築する費用も勿体ないとは思わなかった。

 シャーレは俺の部屋で一緒に寝泊まりしてもいいって言っていたけど、流石にそれはまずいって断ったんだ。

 それに、おれの部屋はシンヤ兄さんが戻って来た時の為にスペースを空けておきたい。

 シャーレが拠点に移住してきて早速メンバーともめたけど、おれが間に入ってなんとか事なきを得た。

 それにしても、シャーレは俺が疲れているから癒したいって言ってくれて、おれが寝るまでおれの部屋でその日あったことや大変だったことを聞いてくれる。

 シンヤ兄さんに戻ってきて欲しいという愚痴も、おれがそう願っているのならちゃんとシンヤ兄さんに気持ちが届くって言ってくれた。

 シャーレはいい子だ、公爵令嬢っていうお嬢様だからできないことは多いけど、それでも少しでも役に立とうと一生懸命なんだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ