ロールキャベツと共に
さて、ここでわたくし達の今のステータスを確認いたしましょう。
『名前:ティタニア
性別:女
レベル:26
生命力:42▲、魔力量:70▲
攻撃力:24▲、防御力:60▲
魔法力:70▲、知識力:70▲
俊敏性:50▲、幸運力:96
ポイント:0、所持金:1,024,954ジニー
称号:異世界の聖女、経験値四倍入手
眷属:黒スライム(ネーロ)
禁書』
『黒スライム(特殊変異種):ネーロ
レベル:35
生命力:57▲、魔力量:61▲
攻撃力:59▲、防御力:68▲
魔法力:71▲、知識力:69▲
俊敏性:73▲、幸運力:67
主人:ティタニア』
『異界の禁書:ナティル
レベル:67
生命力:845▲、魔力量:964▲
攻撃力:621▲、防御力:539▲
魔法力:3057▲、知識力:4856▲
俊敏性:458▲、幸運力:99
主人:ティタニア』
もうチート集団過ぎて笑ってしまいますね。
他の勇者の方はまだ行っている方でレベル10とかですのに、これはもう、なんと申しますか発覚したら嫉妬の嵐でしょうね。
まあ、言うつもりはありませんけれども。
わたくしは夕食のロールキャベツを作りながら明日行く十階層の事について考えます。
九尾の狐を倒すことによってチュートリアルが終了するというのはいいのですが、そうなりますと何かが変わるのでしょうか?
確かに現時点では十階層以上を選択しても行けないようになっておりますので、十階層以上に行けるようになるという可能性は大いにありますし、他の勇者と遭遇することがあるかもしれないということですよね。
正直、他の勇者の方にお会いしたいとは思えないのですが、そこのところはどうしましょうか。
クインゼル様とエッシャル様にはお会いしてみたいですけれども、万が一エドワルド様やシャーレに会ったら面倒な事になりそうですわよね。
シャーレはただでさえこのダンジョン生活に不満がありそうですので、わたくしに会ったらその不満をぶつけてくることは間違いないでしょう。
エドワルド様だって、そんなシャーレを宥めるのにストレスをためているはずですから、わたくしに会ったらそのストレスのはけ口に何を言ってくるかわかったものではありませんわ。
まあ、実力行使をされたところで、レベルが5でしかない二人の攻撃など大した影響は受けないでしょうし、最悪ナティルが反撃して殺してしまう可能性もありますよね。
うーん、死んでほしいとまでは思っていないのでそれは困ります。
ナティルには今のうちに二人を殺さないようにと命令しておくべきでしょうか?
「ナティル」
「はい、ご主人様」
「このダンジョンにはわたくしの妹と元婚約者がおります」
「存じております」
「その二人の事をナティルが殺すことは許可しません」
「ご主人様を愚弄した人間を殺してはいけないのですか?」
「ええ、わたくしは二人に死んでほしいとまで思っておりませんので」
「わかりました。ご主人様がそう言うのであれば、僕が手を下すことはしません」
なんだか若干引っかかる言い方ですがまあいいでしょう。
ナティルはわたくしの眷属ですので一人でダンジョンに行くことは出来ませんものね、見張っていれば問題ないでしょう。
十階層ですが、九尾の狐に遭遇したという方はいますが、倒したという方はまだいないのですよね。
倒すとどのような事が起きるのか全く分かりませんので、やはり十階層に行くのは情報が揃ってからの方がいいのでしょうか?
けれども、ナティルに十階層に行くと言ってしまいましたし、嘘はいけませんわよね。
うーん、九尾の狐を発見したら即座に撤退するのがいいのでしょうか。
なんでも人の倍の大きさのある存在だそうで、爪での攻撃や尻尾での攻撃の他、今までのモンスターは使ってこなかった魔法での攻撃もしてくるのだそうです。
火と風の魔法だそうですけれども、厄介ですわね。
単体ではそれほど恐れる者ではないかもしれませんが、組み合わせて魔法を使われたら威力は倍以上になってしまいます。
それでも、ナティルに比べれば雑魚扱いなのでしょうけれどもね。
ロールキャベツを煮込んでいる間スマートウォッチで九尾の狐について検索をしてみました。
どうやら十階層ではボスとして扱われているようですが、他の階層では通常のモンスターとして出現するようです。
他のモンスター同様、倒しても一定時間で復活するようで、経験値上げに最適、と記載されております。
確かに、九尾の狐というボスなのでしたら、他のモンスターよりも経験値が多く入るでしょうし、経験値稼ぎにはいいかもしれませんが、どれほどの強さなのかがわからないのが難しいところですね。
九尾の狐に遭遇した勇者の方々も、魔法を前に撤退を余儀なくされ、今は九階層でレベル上げをしている最中という事ですし、やはりわたくしが真っ先に倒してしまうのは気が引けてしまいますね。
ロールキャベツが出来上がったところで、器に盛りつけてテーブルの上に三人分置きます。
「ご主人様の料理はどれも美味しそうですね」
「普通だと思いますわ。プロの方には勝てませんもの」
「いいえ、僕にはご主人様の手料理が何よりのごちそうです」
「そうですか?」
うーん、この考えは眷属だからでしょうか?
ロールキャベツを食べてみますが、料理を教えてくれたコックの味に比べるとやはり劣ってしまうのですよね。
何が足りないのでしょうか?
経験値と言われたらそれこそどうしようもありませんし、才能と言われたらもう諦めるしかありませんね。
「ナティルは料理をしないのですか?」
「料理と言うものに触れたのがご主人様にこの姿にしていただいてからですので、料理というものはしたことがありません」
「そうですか」
わたくしも人に教えることができるほどに料理が上手なわけではありませんし、やはり料理はわたくしが作るのが一番効率がよさそうですね。
食事が終わって食器を片付けようと思いましたら、そのぐらいはさせて欲しいとナティルが言いましたので任せることにしたのですが、お皿を割られないかハラハラして見守ってしまいました。
案外器用なもので、ナティルはお皿を割る事もなく、きちんと戸棚にしまうところまで完遂することが出来ました。
わたくしなんて初めてお皿を洗ったときは何枚駄目にしたかわかりませんのに、ナティルってば器用ですわね。
その間に紅茶を淹れて休憩をしてから、わたくし達は再度ダンジョンの九階層に向かいました。
ナティルには相変わらず余程の事がない限り手を出さないように言っていますので、わたくしとネーロにありったけの防御魔法をかけて一歩引いたところから観戦しているといった感じです。
多少過保護な気もしますけれども、わたくしにだけでなく、ちゃんとネーロにも保護魔法をかけてくれる辺り、きちんとしていると思います。
さて、索敵に引っかかったオークに向かって駆けだして、視界にとらえた瞬間、旱魃を唱えて干上がらせます。
他のオークにも同じようにしていきまして、日付が変わるまでわたくし達は狩りを続けました。




