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最強聖女!チート御一行のダンジョン生活★  作者: 茄子
第一章 いざ異世界へ
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強すぎるのも困りもの

 ナティルが仲間に加わって、一気にわたくしの攻略する階層が上がったのはいいのですが、わたくしの出番はほとんどなく、ナティルの魔法でほぼ解決してしまうのですよね。

 わたくしとネーロのする事と言えば、ナティルにわざと残してもらったモンスターを倒すことぐらいです。

 ちなみに、眷属が倒してもわたくしが倒しても経験値はちゃんとはいるようで、レベルは順調に上がっております。

 このダンジョンは、一階層にスライム、二階層にゴブリン、三階層にリザードマン、四階層にワーウルフ、五階層にワーキャット、六階層にホーンラビット、七階層にラミア、八階層にアラクネー、九階層にオーク、十階層にフォックスが出現します。

 十階層にはまだあまり人が行っていないのでそこまで詳しい情報が入っていないのですよね。

 正直、ナティルが居れば十階層に行くのも簡単だと思いますけれども、情報も少ないのに行く気はありませんので、誰かが詳しい情報を持ってきてくれるまでわたくし達は九階層のオークを狩っております。

 オークは一匹倒すと500ジニー獲得することが出来ますが、ドロップ品はぼろ布と核だけでして、ドロップ品を売った金額はさして高くないのですよね。

 まあ、ナティルのおかげで数を稼げているので何の問題もないのですけれどもね。

 もうナティル一人で狩りに出てくださいと言いたいのですけれども、生憎眷属は主人が一緒でなければダンジョンに出ることが出来ないらしく、私はもうほぼ見ているだけの状態が続いています。

 正直言って退屈です、暇です、つまらないです!


「ナティル」

「はい、何でしょうかご主人様!」

「貴方、しばらく攻撃禁止ですわ」

「え!?」

「貴方ばかりが楽しそうに狩りをして、わたくしとネーロは見学が殆ど、おこぼれをちまちまと狩っても楽しくも何ともありませんわ。だから、ナティルはしばらく狩り禁止です」

「そ、そんなぁ」


 耳と尻尾が生えていたらしおしおと垂れているのではないかと思えるほどに情けない声を出したナティルですが、これはわたくしも引けません。

 退屈は人を殺すのですわ。


「オークを相手にするのは確かにわたくしやネーロでは不安もあるかもしれませんが、わたくしだって魔法を使えますし、ネーロだって闇魔法を使えます。ナティル一人が戦っているわけではないのですからね」

「はい」


 ナティルはそういいつつもわたくしとネーロにありったけの防御魔法をかけてから一歩下がりました。

 それを確認して改めて索敵サーチを確認すると引っかかるものが数体いましたのでそちらに向かいます。

 ちょうどオークが三匹居ましたのでわたくしはすぐさま旱魃ドゥラウトを唱えます。

 この魔法は周囲の水気をなくすだけでなく、個体を対象とした場合その対象の体内の水分を蒸発させてしまうという魔法になっております。

 体内の急激な水分蒸発という状況にオーク達はもがき苦しみましたが間もなく干からびて死んでしまい、黒い煙になって消えてしまいました。


「お見事ですご主人様!」

「このぐらいできて当然ですわ」

「そのえげつない魔法をチョイスする辺り、流石僕のご主人様です!」

「えげつないって、否定はしませんけれども、火だるまにするよりは親切でしょう?」

「その二択なのですか、素晴らしいです!」


 何が素晴らしいのでしょうか?

 ともあれ、久しぶりにまともに狩りをした気分ですわ。

 やはりダンジョンに居るのですからこういう感覚を大切にしなければいけませんわよね。

 わたくしだってそれなりに強くなったのですもの、守られているばかりのお姫様ではありませんわ。

 ナティルが強いのは認めますけれども、強すぎるというのも考え物ですわね。

 ナティルの使う魔法も強力なものが多いですし、これはチュートリアルが終わって他の方とお会いすることになった場合の説明が面倒くさそうですわ。

 クインゼル様とエッシャル様以外に会わせる気も今のところないのですけれどもね。


「ご主人様、この調子なら十階層に行ってもよろしいのではありませんか?」


 十階層ですか、既に行ったことのある勇者の情報ではフォックスが登場し、ランダムで九尾の狐が階層のボスとして登場するらしいのですが、その九尾の狐が強くていまだに攻略できた方はいらっしゃらないとか。

 恐らくですがその九尾の狐を攻略するとチュートリアルが終了するのだと思う、という意見が大半ですわ。

 わたくしもその意見には賛成です。


「大丈夫だとは思いますけれど、わたくしが最初のチュートリアル突破者になるのもどうかと思うのですよね」

「いいではありませんか、ご主人様の能力をもってすれば九尾の狐など赤子の首をひねるようなものです!」

「そうですか? では明日十階層に行ってみることに致しましょう」

「はい!」


 まあ、九尾の狐はランダムだそうですので、丸一日遭遇しないというのもあり得ますものね。

 フォックスを狩るのはワーウルフやワーキャットの時よりは罪悪感がないでしょう。

 そこでちょうど十七時になりましたので、わたくし達は夕食の支度をするために拠点に戻ることに致しました。

 階層が上がっていくにつれダンジョンが広くなっていく傾向にあるようで、帰るのにも一苦労なのですよね。

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