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最強聖女!チート御一行のダンジョン生活★  作者: 茄子
第三章 手に入れる者、失う者
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婚姻式ですか

「まあ、結婚式ですか? それはおめでとうございます」


 メグミ様に言われた言葉に素直にそう答えましたら、呆れたようにため息を吐かれてしまいました。

 どうなさったのでしょうか?

 一緒にお茶会をしているクインゼル様とエッシャル様も呆れたような視線を向けていらっしゃいます。

 喜んではいけなかったのでしょうか?

 けれども結婚式とはわたくしの元の世界での婚姻式の事ですよね? それでしたら御祝をするのが普通なのではないでしょうか。


「私達の話を聞いていなかったの? 合同結婚式よ、合同」

「お聞きしましたわよ?」

「それでなんでティタニアとシンヤが結婚式をするっていう考えにならないわけ?」

「わたくしとシンヤ様が?」


 それは考えたことが無かったと言うか、思いつきもしませんでしたね。


「あれだけ皆の前でいちゃついておきながら結婚しないとか、ないでしょ」

「いちゃついておりますでしょうか?」

「食事会の時に膝の上に乗ってたりとか」

「食べさせ合いっこしたりとか」

「二人の世界を作ってるとか」


 続けざまに三人に言われてそのような事をしていたかどうか首を傾げてしまいます。

 確かに、シンヤ様の膝の上に乗って食事をしておりますし、両手がふさがっているシンヤ様の口にサンドイッチを運んだりしておりますけれども、それがいちゃついているという事なのでしょうか?


「それは、申し訳ありません?」

「謝る事じゃないのよ。ただ、そこまでしておきながら結婚っていう発想に至らないティタニアが不思議だっていう事」

「そうおっしゃられましても」


 婚約者というわけでもありませんし、プロポーズをされたわけでもありませんので、わたくしが勝手に婚姻式をしたいと盛り上がってしまったらシンヤ様にご迷惑をかけてしまうのではないでしょうか?


「指輪まで貰っておきながら、何遠慮してるのよ」

「そうね、あれはあからさまに周囲へのけん制だったと思うわ」

「そうなのでしょうか?」

「そうだよ。ティタニアさんとシンヤさんはお似合いのカップルだと思うよ」


 そうなのでしょうか? そうであれば嬉しいのですけれども、シンヤ様にやはり意思確認をすべきだと思うのですよね。

 あのマジックリングも牽制とか独占欲だとは言われましたが、プロポーズの意味があるとは言われておりませんもの。

 わたくしの早とちりでシンヤ様にご迷惑をかけるわけにはいきません。


「ティタニアさんって変な所で堅物よね」

「妙な倫理観って言うか、貞操観念って言うか、純粋培養極まれりって感じよね」

「悪い事じゃないと思うけど、シンヤさんをあんまり待たせるのも悪いと思うよ?」

「そういうものなのでしょうか?」


 シンヤ様とは性交もしておりますが、婚姻式を行いたいと思ってくださっているかはわかりませんよね。

 教皇様は年頃の男の人は性欲に忠実だとおっしゃっておりましたし、シンヤ様がそうだとは思いたくはありませんが、その可能性がまったくないというわけではありませんよね。

 婚姻するともなれば、互いに責任を持つことになりますし、それを重荷に感じてしまうかもしれませんもの。

 それに、婚姻ともなれば子供を作る事が普通ですが、この世界では子供が生まれるという事も無さそうですし、果たして婚姻することに意味があるのでしょうか?


「メグミ様はハク様とどうして婚姻なさるのですか?」

「愛し合っているからよ」

「愛し合っていると婚姻するものなのでしょうか?」

「まあ、例外はあるけど、結婚したいと思っても不思議じゃないわよね」

「わたくしの元の世界では、ともうしますか、わたくしの居た階級では親の決めた婚約者と婚姻をして、そこに愛と言うものはまた別の話になるのですよね」

「それはそれで独特の価値観よね」

「ティタニアさんの倫理観念って、元の世界の物でしっかり固定されちゃってるから、難しそうだよね」

「シンヤに結婚したいかって聞くのが一番なんじゃない?」


 クインゼル様の言葉にやはりそうすべきなのかと考えてお茶を頂きます。

 最近ではこの抹茶と言うものにもだいぶ慣れてきまして、抹茶ラテにしなくても飲めるようになりました。

 クインゼル様達は相変わらず抹茶ラテにしておりますが、苦湯だと思えば苦にはなりません。

 それに、中々に香りも良いですし、悪くはないと思います。

 シンヤ様も抹茶は好きだとおっしゃっておりましたし、同じものを頂けるようになるのは嬉しい物ですよね。

 もっとも、シンヤ様は一緒に出されるお菓子が目当てかもしれませんけれどもね。

 最近では和菓子作りにもチャレンジしておりますが、中々に難しいものがありまして、メグミ様に教えていただいているのですが、失敗率の方が高いのが悩みどころです。

 メグミ様は魔法の手のように和菓子を作り出していきますのに、わたくしはなかなかうまくできません。

 ああ、でもスアマと言うものは作ることが出来るようになりました。

 シンヤ様の好物だそうですので一生懸命練習したのですよ。

 お茶と一緒にシンヤ様にお出しした時は驚かれてしまいましたけれども、喜んでいただけましたので練習した甲斐がありました。


「とにかく、ティタニアはシンヤに結婚したいか聞いてみるのよ」


 小豆のロールケーキを切り分けるためのフォークをさし向けられて、わたくしは思わず肩を竦めてしまいます。

 聞くのは構わないのですが、もし断られてしまったらどういたしましょうか?

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