初めての夕食作り
拠点に帰って気が付いたのですが、眷属になったネーロは拠点の中にくっついてくることができるようです。
ネーロの分の夕食も作らないといけませんね。
まあ、ネーロは体積が小さいので、多少作りすぎるぐらいの量で丁度良いのかもしれません。
さて、今夜は朝に野菜とソーセージを買いましたのでポトフというコックに教えてもらった煮込み料理を作ろうと思います。
まずキャベツを六センチの角切りに、ジャガイモは洗って皮をむいて四分の一に切ります。
玉ねぎは芯を付けたまま六等分のくし形に切ってブロッコリーは小房に分けます。
鍋に水、コンソメ、切っておいた野菜、ブロッコリー以外を入れて煮立ってからさらに十五分ほど煮ます。
十五分ほど経ったらソーセージとブロッコリーを加えて五分ほど煮込んで、器に盛って粗びき胡椒をかけて完成です。
わたくしが最初の方に教わった料理でもあるのですよ。
切って煮るだけというお手軽料理なのに、栄養価もあってとても美味しいのでお勧めと言われました。
本来なら、コンソメも手作りしたいのですが、時間がかかると言われたので、いつも出来合いの物を使用していたので、こちらの世界で買えるか心配していたのですが、問題なく買う事が出来て安心しました。
一応、貰ったレシピにはコンソメの作り方も載っているのですが、作るのって大変そうなのですよね。
しかも少量作るのは難しいので一気に作ってしまわないといけないので、何人もの食事を提供する神殿では困らなかったかもしれませんが、わたくしとネーロ二人では使い切るのに時間がかかってしまうかもしれません。
万屋で売っているコンソメは異世界によくあるブロックタイプの物で水やお湯に溶かして使う物で希釈の量なども丁寧にパッケージに書かれて居りますので困る事はありませんね。
「さて、いただきましょうか」
器に盛ったポトフをネーロとわたくしの前に起きます。
椅子は一つしかないのですが、ネーロはテーブルの上に直接座っているので問題はありません。
ポトフの入ったお皿にスプーンを入れて掬い取って一口食べてみましたら、少し薄い感じがいたしました。
コンソメが足りなかったのかもしれませんね、次回からはもう一個コンソメを入れることにしましょう。
ネーロの反応は悪くありませんので、まずいという事もないのでしょうが、やはりわたくし以外が食べると思うとよりおいしいものを提供したいと思ってしまいますよね。
「そうですわ、ネーロ用のベッドを購入しないといけませんわね」
食事を終えてわたくしは食器を洗いながらふとそんなことを思いつきました。
わたくしのベッドで寝てもいいのですが、寝返りを打った際につぶしてしまったら大変ですもの、やはり専用のベッドを買うべきでしょう。
お皿を洗い終えて食器棚に戻してから、わたくしはスマートウォッチの万屋で眷属用のベッドがないかを検索しましたところ、ペット用のベッドというものが出てきまして、ネーロは手のひらサイズですので、その中でも一番小さな、けれども材質は最高級の物を購入いたしました。
「ネーロ、これがあなたのベッドですわ。寝る時はここで寝るのですよ」
わたくしの言葉がわかっているのかはわかりませんが、ネーロはベッドを確かめるように周囲を動き回ったり、ベッドの中に入ったりしておりましたが、ベッドを出ると嬉しそうにピョンピョンと飛び跳ねました。
「気に入ったのですね、よかったですわ」
そこで、わたくしは「さて」と言ってネーロを肩の上に乗せると、夕食後の腹ごなしと言った感じにまたもやダンジョンの一階層に行くことにしました。
ダンジョンの一階層にいくと、もう夜になっておりまして空を見上げると月あかりが綺麗です。
索敵でモンスターを炙り出して超音波で倒すというもはやルーティンになっている行動ですが、わたくしの場合まだまだこの一階層でレベルは上がるようですので、レベルの上がり方が鈍くなったら二階層に行くことにしましょう。
先に二階に行った勇者の情報では、一階層は草原ですが、二階層は洞窟のようになっていて、出てくるモンスターはゴブリンだそうです。
ゴブリンは元の世界でも大量発生したりと何かと厄介なモンスターでしたが、この世界ではどうなのでしょうか?
階層ごとにモンスターが違うという事ですので、大量発生はしにくいのかもしれませんが、無いとも言い切れませんよね。
なんといってもあの神様が作った世界ですもの。
こういっては何ですけれども、性格がいいとはとても言えませんし、面白そうというだけで様々な事をしでかしそうですものね。
わたくしをこの世界に召喚したのだって、わたくしの立場を思いやってのことかもしれませんが、八割がた面白そうだからという理由に決まっておりますわ。
エドワルド様やシャーレに関してはわたくしを蔑ろに扱った罰かもしれませんけれども、本来ならそれだけでいいはずで、わたくしまでこの世界に来る必要はないのですからね。




