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最強聖女!チート御一行のダンジョン生活★  作者: 茄子
第三章 手に入れる者、失う者
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大丈夫でしょうか?

 平和な日々を過ごしている中、休養日に食事会に参加いたしましたら、エドワルド様が姿を現しました。

 なんと言いますか、そのお姿はくたびれていると言うものを通り越してかなりみすぼらしくなっており、何があったのか気になってしまうほどです。

 お顔もやつれているようですし、もしかしてろくに食事を召し上がっていないのでしょうか?


「ティタニア、話がある」

「わたくしにはございませんわね」

「なんでもする! だから俺とのよりを戻してくれ!」

「普通にお断りすると何度言えばお分かりいただけるのでしょうか?」

「ダンジョンに出るのが怖いんだ! またあんな目に合うかもしれないと思うと、足がすくんで動けなくなる! 貯蓄ももう無くなりかけている。もう頼れるのはティタニアしかいないんだ!」

「それって、やはりわたくしがエドワルド様のお世話をすると言う事ですわよね? お断りですわよ。そもそも、わたくしは今の状態に何の不満もありませんもの」

「この俺に死ねというのか!?」

「狩る階層を下げて無理をなさらなければよろしいのではありませんか? 皆様そうなさっていますわよ?」

「ダンジョンに出ること自体が怖いんだっ。食事会は他の勇者が居るから何かがあっても大丈夫だと思えるから来ることが出来るが、一人で戦うなんて、そんなこと出来ないっ」


 ほとんどの勇者があのモンスター大量発生事件の心の傷を癒すことが出来ているというのに、エドワルド様は相変わらず大きな傷を負っているのですね。

 とはいえ、わたくしがそれのケアをするとなれば、どうせ同居しろと言ってくるに違いありませんので、ケアをする気が起きないのですよね。

 それにしても、エドワルド様のフォローをしてくださる方が居ればいいのですが、普段の行いからエドワルド様と絡みたいと思う方はいらっしゃらないのですよね。

 反応しないわたくしに、エドワルド様は何を思ったのかブツブツと何かをつぶやき始めました。


「やっぱりあの誘いを受けるしかないのか?」


 あの誘いとはどういうことでしょうか?

 エドワルド様に救いの手を差し伸べるような方がまだ残っているというのでしょうか?


「あの男の世話になるのは癪だが、生きていくためなら仕方がないよな」


 あの男、ですか。

 なんだか嫌な予感がしますが、まさかテンマ様などとは言いませんよね?

 わたくしがそんな事を思っていると、エドワルド様はスマートウォッチを操作してなにやらメッセージを作成しているようです。

 そのまま食事をとりながらエドワルド様の様子を見ておりますと、熱心にスマートウォッチを見続けておりまして、返信があったのか顔を輝かせました。


「これで俺も勝ち組だ」


 そう呟くとエドワルド様は拠点に続く方向を向いてどなたかを待っているようです。

 そうしますと、テンマ様が姿を現しました。

 え、まさかとは思いますが、テンマ様と同居なさるおつもりなのでしょうか。

 シャーレ様がいますのに?


「やあ、待たせて悪かったね」

「大丈夫だ。今日からよろしく頼む」

「もちろんだよ。困った時はお互い様だからね」


 テンマ様はそう言ってにっこりと笑うとスマートウォッチを操作して同居の手続きを終えたようです。


「元の拠点から持ち出す物はないってメッセージにあったけど、本当に大丈夫だったのかい?」

「ああ、売れる物は全部売って生活費に充てていたからな。ベッドすら残っていないんだ」

「そうか、それは苦しい生活をしていたんだな。もっと早く声をかけるべきだった、すまない」

「かまわないさ」

「さあ、拠点に戻って君の部屋を作って備品も揃えないといけないな。シャーレはきっと驚くだろうけど、色々あっても昔馴染みなんだ、きっと仲良くできるよ」


 本気で言っているのでしょうか?

 テンマ様は殆どの時間をダンジョン内で過ごしているそうですし、つまるところ、拠点にシャーレ様とエドワルド様が二人きりの時間が長くあるという事になりますよね。

 何も起きないわけがないと思うのですが、大丈夫なのでしょうか?

 不安しかありません。

 テンマ様はエドワルド様がやつれた顔をしていることに気が付いたのでしょう、おばんざい屋様で食事を購入するとエドワルド様に渡しました。


「これからの生活は俺に任せてくれていいよ。困っている人に手を差し伸べてこそ、本当の勇者だからね」


 テンマ様はそう言った後にこちらを、と言いますか正確にはシンヤ様を見てにっこりと笑います。


「テンマの奴、一体何を考えているんだろうね」


 シンヤ様がボソリとそんな事を呟きましたが、本当に何を考えていらっしゃるのでしょうね。

 その後、食事を終えたエドワルド様を連れてテンマ様は拠点に戻って行きました。

 シャーレ様と修羅場にならないといいのですが、難しいですよね。

 テンマ様はシャーレ様からエドワルド様の悪口を散々聞かされていてよい印象を持っていないはずですのに、どこで気が変わったのでしょうか?

 まさか、他人に優しくという部分だけを考えて、シャーレ様とエドワルド様の確執を軽視しているというわけではありませんよね?

 昔馴染みだから大丈夫などと言っておりましたが、あの二人の場合それで済まないと思うのですが、テンマ様は本当に何を考えているのでしょう?

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