表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

第三話 舞踏会

「舞踏会のどこかに吸血鬼がいるのか?」

「間違いないわ。名簿を見せてもらったときに、名前が書いてあったから」

「名前が!?」

「えぇ。本名でね」

「誰だ、一体・・・」






第三話 舞踏会






ある、伯爵のダンス広間。

そこでは膨大なパーティーが行われていた。

派手なドレスからシンプルなドレスを着た様々な女性たち。

スーツを着た人から燕尾服までと幅広い。


「今日が一番、盛り上がってるんじゃないか?」

「そうですね。あ、名前はどう呼べばよろしいんですか?」

「アリスとでも呼んでろ。ノイズは私の執事」

「一夜限りですが」

「ふ、一夜で十分だ」


ところでマリアは?と周りを見渡しながら聞く。

さっきからマリアとファイの姿が見当たらない。


「マリア様は伯爵にご挨拶へ。ファイ様はあちらで」


ノイズはしっかりと執事の役をこなす。

ファイの行動をみて、ジョーカーはため息をついた。


「なにやってるんだ、あいつは」

「ファイ様の女癖をどうにかしないといけませんね」

「そうだな」


ナンパをしてるファイにジョーカーは二回目のため息をついた。

そしてマリアが戻ってくる。


「女の子がため息をついたらダメよ。今はとくにね」

「ファイの行動を見てるとため息がでる」

「・・・確かにあれはね・・・」

「あ、口調を直さないとな。あと、マリア」

「ん?」

「私のことはアリスと呼べ」

「エプロンドレスはいやでも名前は好きなのね」

「・・・・・・」


アリスは無言でマリアから離れ、ウェイトレスの元へ。

その時誰かとぶつかった。


「あ、申し訳ございません。大丈夫ですか?」

「大丈夫だ」

「では急いでいるので」


そう言ってその場から去る、ジョーカー。


「あの、すいません」

「はい?」


呼ばれて振り返ると、品のいい青年が立っていた。

手には二つのレモネードが。


「飲みますか?」

「ありがとうございます。頂きますわ」


一口飲んでアリスは切り出した。


「どうかなさいました?」

「いえ、マリア夫人とご一緒の姿が見えたので」

「そうですか。私はアリスと申します」

「僕はジュロと申します。マリア夫人とは顔見知りでして」

「そうでしたか。知らずに申し訳ございません」

「固くならないで。年も近いことですし」


年が近いと言われてよく見ると、確かに少し幼さの残った顔立ち。

私と同じか一つ上くらいか。


「私は17歳ですわ。ジュロ様は?」

「僕は18です。やはり、近いですね」

「そうですね」


そこからは小さな話題で盛り上がった。

やはり年が近いからだろうか。

ジョーカーの組織はジョーカー以外成人ばかり。

同じ10代で嬉しいのだろうか?


「アリス様。マリア様が呼んでおられます」

「わかりましたわ。それではジュロ様、お話が出来て楽しかったです」

「僕も」


そう言ってノイズとアリスはマリアの元へ戻る。

残されたジュロは

「あれがジョーカー、まだ幼いとは・・・」

誰にも聞こえないような消えそうな声で呟いた。


「ファイ、やっと戻ってきたか」

「いや、可愛い娘ばかりで困っちゃうな」

「困るのはこっちだ」

「そうよ、吸血鬼を見つけるためにここに来たのに」

「ファイ、勝手な行動は困ります」


みんなから説教されるファイ。

これで少しはおとなしくなっただろうか。


「でも、吸血鬼ならもう見つけちゃった」

「私もよ、普通に過ごしていたもの。吃驚しゃった」

「どこにいる?」

「アリスも会ってるわ」

「アリス?」


ファイは知らない単語に首を傾げる。

ジョーカーはファイに説明をする。


「アリスね。僕はどんな役かな?」

「ファイは私の家庭教師でも名乗っとけ」

「適当だね」

「あまり重要な部分でもない」

「そうだけど」

「どうした、マリア?」


ジョーカーは一か所を見つめて動かない。

それを不思議に思ったジョーカーはマリアに問いかける。

目線の先には一人の男性。


「あそこの人物が吸血鬼よ。一見普通だけど」

「あれは獲物を探してるね。この中から」

「ファイ、黒魔術を使って捕えろ」

「こんな人がいるのに使えって言うのかい?」

「あぁ」

「・・・はぁ・・・」


ファイは諦めたかのように溜息をつく。

本を取り出して、再び吸血鬼を見ると、そこには姿がない。


「いない!?」

「きゃあぁぁぁぁぁぁぁああ!!!」


いきなりの悲鳴があがる。

自然と目はそちらに行く。

そこには血だらけで死んでいる女性の姿が。


「やられたな」

「吸血鬼はどこに消えたんだろうね」

「あの服装は変装だったのか?」

「外よ、外にいるわ」


ここから外にでるには入り口とバルコニーのみ。

すでに入り口は封鎖されていた。

残すはバルコニー。


「どこにもいない?」


封鎖された入り口はマリアとノイズ、ファイに任せていて、バルコニーにはジョーカーただ一人。

さっきの悲鳴で全員中にいるようだ。


「誰をお探しです?」

「!?」


ジョーカーの後ろに男が立っている。

殺し屋のジョーカーは気づくはずの気配に気づかなかった。


「(気配がなかった?)」

「吸血鬼をお探しなのでしょう?闇組織のジョーカー」

「知ってるのか」

「有名ですから」


そう言って男はジョーカーを後ろから抱きしめる。

背中あたりに感じた痛み。


「貴様、何を・・・」

「おやすみなさい、ジョーカー」


ジョーカーは気を失った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ