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第二話 殺人吸血鬼

「吸血鬼がいる?」

「えぇ、死体に血は一滴も残っていないそうで」

「じゃあ、そいつが次の駒だ」

「スペードのキングでよろしいですか?」

「あぁ、キングを殺しておけ」

「了解しました」






第二話 殺人吸血鬼






一つの大きな部屋。

そこには大量の書類を読むジョーカーと紅茶を出すノイズ、ソファーで呑気に読書をするファイの三人がいる。


「ジョーカー、スペードのキングは見つかったの?」


ファイは読書をしながら書類を読むジョーカーに話しかける。

ジョーカーは書類から目を離さず、答えた。


「吸血鬼のことか?」

「うん」

「まだ見つかってない。それどころか殺人もなくなった」

「へぇ。警察に捕まったんですかね?」

「いやそれはない。捕まればニュースになるし、私にも連絡が来るはず」

「連絡?」

「警察に私のスパイがいる」

「さすが」

「これでも読んどけ」


そう言ってジョーカーはファイに書類を投げる。

少し多く感じたファイだったが表紙に吸血鬼情報と書いてあったので読むことにした。


「これって例の吸血鬼の情報?」

「あぁ。性別は不明だが、現場とかの写真も載ってる」

「スパイくんの情報ですね」

「彼女の情報は伊達じゃないですよ。なんせハートのクイーンですから」


“くん”つけしたファイのもとへ訂正を兼ねてノイズは話す。

ファイは女だったのかみたいな顔をしたがすぐ書類に目をおとした。


「ハートのクイーンは最強だ。彼女の名前は“しゅん峰明ほうめい”中国の殺人鬼だ」


書類を読んでる、ファイにさっきのクイーンの話をする。

ファイは書類を読んでいるようだが、ちゃんと聞いているようだ。


「中国ね。かわいいの?」

「そんなことばっかりだな。ノイズ」

「はい」

「あれをみせてやれ」


ジョーカーがそういうとノイズは棚から一つのファイルを取り出す。

それをファイに渡した。

「これは?」

「峰明の情報です」

「顔写真あるの?」


無言でうなづく、ノイズ。

ファイはファイルを開いた。


“惇 峰明  女 23歳”

あとは細かくファイルに書かれていた。


「ジョーカー様、新しく紅茶を入れてきます」

「わかった」


ノイズはワゴンをもって部屋を後にする。

それを見計らったかのようにファイはジョーカーに近づく。

そしてジョーカーの首に腕をまわした。


「・・・何の真似だ?」

「確かに峰明ちゃんは美人で可愛らしいけど僕的にはジョーカー、君がいいな」

「は?」

「ねぇ、和?」


“和”と聞いて驚いた顔をするジョーカー。

ファイは少し笑い、ジョーカーの顎を持ち上げ自分に近づける。


「なぜ、本名を知ってる?」

「誓ってないと動きやすいんだよね」

「答えになってない」

「それに見た目は外人でも中身は日本人じゃ・・・ね」

「確かに私は日本人だ」


やっぱりね、とファイは呟く。

それでもジョーカーから身を引かない。


「だが日本人にしか知らないこともあるだろう。相手が日本人ならそれ相応の対処もする」

「恐ろしいね、ジョーカー」


そう言ってやっとジョーカーから離れるファイ。

それと同時にノイズが紅茶と三人分のデザートを持って戻ってきた。


「ノイズ、デザートが一人分多くないか?」

「お客様がお見えになりますので」

「客?」

「お手紙が届いております」


ワゴンに置かれている、封筒を持ちジョーカーに渡す。

封筒を裏返すとそこには薔薇の紋章。

ジョーカーは紋章を確認したあと、封筒を開いた。


「薔薇、マリア・ローズティック」

「マリア?」

「裏社会の一番の情報屋だ」

「情報屋? へぇ、ジョーカーの情報源はマリアからか」

「彼女は“ダイヤのキング”情報も殺しも完璧な奴だからな」

「そういや、“クローバーのキング”は見たこともないんだけど」


ファイはそう言って、ぽつりと独り言を漏らす。

ダイヤはマリア、ハートは僕、スペードは吸血鬼くん、じゃあクローバーは?と。


「クローバー?」

「そう、クローバーだけ口にしないよね」


溜息をつきジョーカーはノイズを指さす。

ファイは指さした場所を見て少し考えわかったようだ。


「ノイズがクローバーのキング?」

「そうです」

「以外。ノイズはジョーカーの執事かなんかかと思ったよ」

「いや、彼はれっきとしたクローバーのキング」

「そしてダイヤは私よ」


ジョーカーでもノイズでもファイでもない、高いソプラノの声。

三人は一斉にドアを見る。

そこには赤くゆるいパーマのかかった髪を結った女の人。

立っていたのはマリア・ローズティック。


「やっと来たのか。マリア・ローズティック」

「遅くなったわね。それといきなりの訪問でごめんなさいね」

「いやちょうどよかった」

「?」


ジョーカーはさっきの手紙を持ち上げ、言う。


「これについて話してもらおうか?」

「えぇ」


マリアは吸血鬼の情報を新しく掴んだのだ。

そのことをジョーカーに伝えた。


「予告状が来たの。今夜9時にって」

「どこでだ?」

「ふふ、教えないわ」

「何?」


ジョーカーは不機嫌さ丸出しだ。

そんなジョーカーを見てマリアは楽しんでる様子。


「条件があるの」

「条件?」

「その条件がのめるのなら教えてあげるわ」

「いいだろう」

「ジョーカー、あなたは女の子なんだから口調と服装を直して」

「「「は?」」」


おとなしく聞いていたノイズとファイも声を出す。

三人とも間抜け顔だ。


「服装は、そうねぇ、おとぎ話のアリスみたいなエプロンドレs「却下」・・・」


マリアがエプロンドレスと言う前にジョーカーは遮る。


「せめて、ドレスは着ましょ」

「装飾が派手じゃなければ、いいだろう」

「口調も戻すのよ」

「はいはい」


これは?と言ってマリアはケースから沢山のドレスを出す。


「・・・マリア、このために来たんじゃないだろうな?」

「いやだわぁ。ちゃんと情報も持ってきたじゃない」


そう言い、マリアはポケットから一枚の封筒を出した。

裏の紋章が見えるようにして。


「・・・これは?」

「舞踏会の招待状。ジョーカーたちを誘って行こうと思ってね」

「さっき女らしくしろって言ったのは、これだったのか」

「えぇ。それにこの舞踏会、吸血鬼が来る可能性が高いの」

「!!」


ジョーカーは目を丸くして驚く。

ノイズもファイも驚いているようだ。


「行こうか、その舞踏会」

「ふふ」


ジョーカーの決意にマリアは微笑む。

舞踏会は全員の参加が決まった。


「いつだ?」

「明後日よ。だから、ドレスも持ってきたの」


ドレスが散らばったカーペットを見つめるジョーカー。

そこから一着を取り出す。


「ジョーカー?」

「これを着ていく。ノイズ、これに合う装飾を探せ」

「はい」


ノイズはドレスを持ち、部屋を出ていく。


「ジョーカー、あなたがそれを選ぶなんて思わなかったわ」

「ジョーカーだってバレたらやばいからな。あれにした」

「傑作だよ、ジョーカー!」


隣でファイはケラケラ笑っている。

舞踏会はどうなることやら。

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