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第一話 そろったピース

もう止めることは出来ない。

駒は、ピースはそろってるんだ。

あとは完成のみ。


「あいつを、あいつを潰せ・・・」


運命の歯車は廻りだした。

狂ったほうへ・・・。







第一話 そろったピース







薄暗い、部屋。

そこには一本の蝋燭と一つの影があった。

その影は椅子に座っていて、その後ろに複数の影が覆う。


「ジョーカー様。駒は揃いました」

「あとは合図のみ」


複数の影の一つが椅子の影をジョーカーと呼び、そのジョーカーは一枚の紙を投げた。

その紙は一人一人の手に渡る。


「その紙に載っている人物を潰してこい」

「ジョーカー様!?合図は?」

「潰すのが最優先だ。合図はそれから」

「御意」


一人の“御意”を合図に複数の影は散る。

残ったのは椅子に座ったジョーカーのみ。


「さて、そろそろかな。ねぇ、ノイズ?」


ジョーカーはさっきの話し方とは思えないほどの綺麗な人。

ノイズと呼ばれた男は静かにジョーカーに歩み寄る。


「楽しみですね。・・・あの日が来るのが」


不敵に笑うノイズの首元にはダイヤモンドのチョーカーが付いていた。

それは不気味に暗闇で光っていた。



時は昼。

とある町の公園に二つの影。

ひとつは右手に黒く光るもの、拳銃が握られている。

もう一つはただ、気配に気づかず読書をしている。


「お前はイタリアの強盗事件の主犯、ファイ・ターネットだな?」

「・・・誰です?そのファイ・ターネットって?」


その男は読書をやめない。

呼んでいる本は“黒魔術の本”だった。


「・・・お前、黒魔術は違法だぞ。どこでそんなもん手に入れた?」

「ふふ、闇オークションですよ。そういうあなたは何しにここへ?」

「お前を始末するために来た」


そう言って男は銃を男にむける。

男は銃をむけられても動揺しない。


「・・・せっかくだから黒魔術かけてあげましょうか?」

「!?」

「覚えたのに、使わないなんてもったいないでしょう?あなたは第一号です」


そういうと男は何か訳のわからない呪文を唱え始めた。

それと同時に苦しみだす、男。

苦しみでしゃがむとポケットから一枚のカードが落ちた。

カードに書かれているのはトランプの“スペードの1”だった。


「・・・君、あのジョーカーの下っ端ですね」

「・・知ってる、のか・・・」

「有名ですよ、特にジョーカーはね。けど、1から10まではただの下っ端って聞いていたんですが、本当に下っ端で能なしですね」

「っ!」

「まぁいいや。殺してあげる」

「ぐああぁぁぁぁぁぁぁああ!!!!!」


真昼から響いた叫び声。

公園の外はざわざわし始める。


「まずいですね。人が駆けつけてくる」


男、ファイは銃を手に取り、その場から走り去ろうとしたが、後ろの気配に気が付き去るのをやめる。


「ジョーカー」

「様をつけろ。一様、下っ端なんだから」


後ろにはジョーカーがいた。

ファイは振り向きもしない。


「すいませんね。けど、僕は君に忠誠を誓うつもりはない」

「それは知ってる、知りながら仲間にしたんだ」

「自分の下っ端が殺されてなにも感じないんですか?」

「1から10まではただの駒だ。重要なのはJ、Q、Kだけ。ねぇ、ファイ?」

「はい?」


ジョーカーは無言でファイにカードを投げる。

ファイはうまくそれをキャッチした。


「まさかあなたが“ハートのキング”だとは誰も思わないよ」

「そうでしょうね。役割は幹部ですから誰にも姿は見られていないですよ。実際、さっきの能なしもわかりませんでしたし」

「・・・そうか。じゃ私は行く」

「えぇ」

「あぁ、あと」

「?」


ジョーカーはファイの目の前まで移動し、手を出した。

ファイはそれを不思議そうに見つめている。


「その銃は私のだ。返してくれ」

「へぇ、これジョーカーのだったんですね、道理で装飾が豪華なわけで」

「もう行く。その死体は処理班に任せるから」

「じゃあ僕も戻りますよ。後で会いましょう、ジョーカー」


そう言ってジョーカーは公園から出て行く。

それと同時に入ってきたのは白衣をきた人たち。

たぶん処理班だろう。


「ファイ・ターネット。御苦労」

「えぇ、それでは」


ファイは少し早足で公園を出る。

すこし、遠目でジョーカーの後姿があった。

それを少し睨みつけ、ファイは手で銃の形をつくりジョーカーに向ける。


「忠誠を誓ってない駒は、いつか裏切るんですよ?ジョーカー。いや、遠山とおやまかなえ





ピースは揃った。

いつ裏切るかは別として。

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