知った顔がワンサカ現れる
『この度の事態をうけ、我が国は、周辺国との連携を密にとり、いかなる状況でも、適切に対応すべく……』
日本の首相が記者会見している。
要は「情報収集中です」
「まあね。他に言えないわな」
さて、どうしましょうね、私は。
しかし、おかしくない?
なんで、龍姫や、フェルラインやソレイユが、超金持ち・権力者の娘で、私は庶民なのよ。
むかつく。
『ふぁっくゆ~♪』
フェルラインからの念話。
『ちょうど、なんでお前らだけ金持ちで、私は庶民なんだとキレていたところだ』
『あらあら、まあまあ。生まれなんてクソクラエよ。そのための革命だもの』
革命ねぇ。
『ご主人様の読み通りに物事は進んでいるわ。貴女はどうするのかしら?』
『さあ? 取りあえず、ソレイユ、あ、可馨とは殴り合うがな』
あの豚。この世界ではやっつけてやる。
前の世界では勝手に引退しやがって。
『ソレイユ? そう、その事が聞きたい。貴女は、なにを知っているの?』
『私は前の世界で聖女と呼ばれていた』
『前の世界。とてもamazingな話ね』
『信じる、信じないは勝手にしろ。そこで私はある連中と抗争していた。それが龍姫率いる、龍族という連中だ』
『龍族。ドラゴン。それでご主人様に、ドラゴンと聞いていたのね』
『ご主人様というのも、なんかアレだな。私の知ってるお前は、フェルラインと言う名前だったが、龍姫へは、姫様と呼んでいた』
『まあ、素敵な呼び名ね。今度からそう呼ぼうっと』
『その龍族の中の最悪な連中がいた。
まず、リーダーのフェルライン。こいつの掌握能力は脅威だったし、やること為すこと、破滅的だ』
『私の事ね。光栄だわ』
『そのフェルラインの、師匠格にあたるのが、ソレイユだ。もう、表現し難いほど劣悪な性格で、人の苦しむ顔を眺めながら、芋食べるのが趣味とかいう化け物だ。悲鳴と怨念こそが、アイツの好物。どんなに言葉を尽くしても、なお足りない。化け物』
『可馨ね。正確な分析恐れ入るわ』
『こっちの世界だと、あまり年齢変わらないのか?』
『ええ。師匠格とかではないわね。後は合ってる』
『あと辛かったのはエールミケアだ。お前のお気に入りでな。とにかく優秀な諜報だった。完璧に気配を消し、完璧に情報を抜き取る。こいつの前では隠し事など不可能だ。
なのだが、こいつ、サボり癖があってな。
よく、諜報先のうちの国で、食べ歩きしてたもんだ。しょっちゅうフェルラインに怒られてた』
『ええ……今ので信じたわ。完璧に該当者がいてね』
『他にも色々いたけど、まあいいわ』
『ふーん。今度聞かせて。楽しそうだわ。それで、貴女にも味方はいたのでしょう?』
『まあな』
『姫様に刃向かう連中がいる。もしかして知ってる顔?』
『誰だ? 名前を言え』
『ネットでは無理かもね。こちらを覗けるのでしょう? どうぞ、この写真』
念話先を手繰ると
『おい、なんで裸なんだ』
フェルラインは裸だった。
『戦争映像見ながらオナ○ーしてたの』
意味分からねえよ。相変わらず。
そして、その写真
『ああ、分かった。分かった』
顔を布で覆っている少女。
目だけでわかるよ。
『こいつはメルーシャだ。もう一人近くにいるはずだ』
『そう。もう一人いる。大正解。本当なのね。素敵だわ』
メルーシャの近くにガジャロブがいないわけがない。
『コイツはイスラムの過激派。色々厄介でね。でもね、主に恵まれてないのよ。滑稽よね。どんな優秀でも上がアホだとなんの力も発揮できない』
『それで? わざわざ私に教えた理由は?』
『退屈なのよ! この革命はね! 姫様と、私が考えて、可馨が実行するのよ! 確実に成功するわ! 世界は私たちの物になる! でもね、それじゃあ退屈なの!抵抗無いとダメなのよ! それも、理外の抵抗が!』
『それで、私が動けと』
『あなたは理外の人間。きっと楽しいことが起こるわ。期待しているわよ』
念話が途切れた。
メルーシャにガジャロブか
「あの二人には悪いことしたなぁ」
償いもこめて、会いにいくか。
携帯を見るとLINEでスタンプが乱舞してた。
『明日は学校休み!!!』
世界情勢混乱につき、全国の学校は臨時の休校をするらしい。
「じゃあ、メルーシャに会いにいくかな」
イスラム、イスラム
どこのイスラムだ。
念話こっちから繋げるかな?位置はこっちで合ってるはずだが
『おーい、豚』
『……?あら、なに?』
『メルーシャ、どこの国だ』
『言ったでしょ、イスラムって』
『いっぱいあるじゃねーか。イスラムの国』
『ちがうわよ。イスラム国。そう名乗ってる、ウンコのテロ集団よ』
「イスラム国行きたいんだけど」
と言う一言で、両親が卒倒した。
ちゃんと調べてから話せば良かったんだな。
うん。
悪いのはフェルライン。そういうことにしよう。
「凄い危険な場所よ!」
と興奮して止められたので
「ごめん。よくわからず言った」
と謝った。
両親はかなりホッとしていたが
「渡航禁止じゃねーか」
我が国、日本からは、イスラム国と名乗るウンコ集団近辺には渡航しないように、通達が来ている。
「メルーシャ、こっちきてー」
そうだよ。お前らが来い。
私に足を運ばせるな。
うん。
そう思っていたら、来た。
メルーシャではない奴が。
正確には我が家には来てない。
『この国際情勢ではありますが、予定通り、台湾から総統とその家族が来日されました』
台湾総統の娘の顔
「ハロー、ジュブグラン」