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宿敵登場

「おはようございます!」

 朝、家の前。

 葉島が待っていた。


「なにごと?」

「鞄持ちをしようと思いまして!」

 まあ、真面目。


「じゃあよろしく」

「はい!」

 嬉しそうに笑う葉島。


「葉島、今度髪切った方がいい。葉島が虐められるのは、その髪も原因」

「え?」


「似合ってないし、だらしなく見える。短髪にしなさい」


 葉島と歩いて行くと、石倉が来る。

「なに、こいつ」

 葉島を見る。


「虐めないで。私の部下になったから」

「部下ねぇ。お前もプライドねーのかよ」


「ぼ、ぼくは」

「まあ、いいや。玩具みたいなもんだろ?」

 石倉は馴れ馴れしく触ってくる。


 さわるな。


「それより今日は午前しかないからさ、遊びに行こうぜ」


「別にいいけど。大川と一緒?」

「……まあ、それがいいなら」

「別に拘らないわ。どこ行く?」


「そ、そうか! そうだな。どうしようか」

「決めてないなら、街をぶらつかない? 食べ歩き」


「ああ、いいな。そうしよう」

 石倉は嬉しそうにしていた。



 授業は本当に面白い。

 学びがいっぱいある。


「しっかし、よくこんな面白い話をみんな苦痛まみれな顔で聞いてるわね」


 強制なのが良くないんだろうな。

 分かるよ。

 やり方の問題だ。


 どんなに楽しい行いでも、強制されたら面白くないからね。



 授業を受け休み時間、突然頭に念話が飛び込んできた


『ふぁっくゆ~♪』

『いきなりなんだ、豚』


 そう言えば、龍姫は私のこと豚って呼んでたな。

 龍姫はスマートな体格で、私は豊満な身体だったから。


 なのだが、豊満加減は、あの二人の方がヤバかった。


 ソレイユとフェルライン。


 そして、念話飛ばしてきた、このフェルラインソックリな女も、身体付きは豊満だった。



『ご機嫌いかがかな? 殺してもらいたい魔物がいてね』

『勝手に殺せ。私は知らん』


 だが

『ご主人様が見たいって言ってるのよ』

 ご主人様。


 フェルラインの主人など一人しかいない。

 こいつが、もどきだろうが、なんだろうが関係無い。


 間違いなく、龍姫だ。

『会わせろ』

『は?』

『お前の主人に会わせろ。なら、殺してやる』


『話が早くて素敵だわ! もちろんよ!』

『どいつだ』


『フロリダの』

『待て、地図を用意する』

 急いで図書室に行く。


 その地図を広げながら、位置を確認し


「こいつか」

 魔獣の生命エネルギーを感じる。


『いいか、殺すぞ』

『どうぞ』


 吸い取る。

excellent(素晴らしい)!』

 フェルラインもどきの絶叫。


 そして


『ふふふ。ご主人様から挨拶があるわ』


 念話が途切れ、新しく繋がる。


 すぐに分かった。


 そいつの顔を確認する。


 ああ、まさに


『貧乳』

 真っ先に出た言葉。


 だが、そいつはなんの感情も変えなかった。


『黙れ猿』

『貧乳貧乳貧乳貧乳貧乳貧乳貧乳貧乳貧乳貧乳』

『デブデブデブデブデブデブデブデブデブデブ』


 言い争い。


『まあまあ、Alevtina(アレフティナ)様、取りあえずお話を』


『ロシア人か』

 人名と容姿から推測。


『そうよ』

『記憶はあるのか?』

『なんの記憶?』


『ドラゴン』

『なにそれ?』

 記憶の継承はないのか、まあいい。


 なにものであれ、フェルラインもどきと、龍姫もどきが組んでいるのだ。


 ヤバいのは間違いない。


『そっちに、豚そっくりで、性格劣悪なクソババアいない?』


『さっきから何を言っているのだ、お前は』

『あんたの部下に、人が苦しむのを見るのが大好きな性格破綻者はいないかって聞いているのよ』


『……まさか、可馨(グェアシン)の事言ってるの?』


 やっぱりいるのかよ、ソレイユ。

 マジで厄介だな。


『あと、優秀だけどよくサボる女と、真面目なんだけど、やたらドジですげー怒られる女』


『……よく調べているのね』

 エールミケアと、カリスナダもいるのか。最悪だな。


 特にエールミケア。


 前の世界ではこのエールミケアに好き放題動かれていたのだ。


 こいつの補足は不可能。


 隠し事とかできないのだ。

 誰にも気付かれず情報を盗んでくる。


 こいつにサボリ癖が無かったら、そもそも、エールミケアという存在自体気付かなかった。


 よりによって、うちの大陸の聖都で、諜報途中で、立ち食いしまくっていたのだ。


 見慣れない美人の大食漢がいると報告を受けてエールミケアの存在を知ったのだ。


 フェルライン、ソレイユ、エールミケア。

 この三人は本当にヤバい。


『んで、なんの用よ』

『別に』

『あん?』


『なんか面白そうな玩具が見つかったって言われたから』


 この貧乳。

『退屈なのは嫌いなの。魔物が現れて大はしゃぎしたわ。もうちょっとで革命でも起こしてやろうかと思ってたの。可馨(グェアシン)がもうじき起こすけどね。きっと、楽しい、楽しい花火になるわ』


 こっちの龍姫は随分楽しそうだな。

 向こうの龍姫は、色々辛そうだった。


 多分

『お前、神様信じてないだろ?』

『当たり前よ。私が神様』

 この差だ。


 龍姫は本当は自らが神に等しい存在だと誇れる立場だった。

 なのに、神教という、信仰していた宗教に捕らわれ、自らを律していた。


『それはいい。私もその意見には賛同だ』

 前の世界では、本当に不満だった。


『私の宿敵はね。神に等しい存在以外はあり得ないの』


 何故ならば、私は聖女。

 神に等しい存在。


『素晴らしいわ。退屈しないで済みそう。あなたの国のお隣の爆発は見ておいてね。きっと楽しいわよ』


『ええ。楽しみにしているわ』

 ソレイユが暴れるのか、地獄だな。

 中国には心から同情申し上げる。


 さて


「授業サボったな」

 チャイムがなっていた。


 まあ、そういう時もあるさ。

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― 新着の感想 ―
[一言] あばばばば 龍じゃなくても十二分に有能なのに……いや龍なのか? そして、そっかー。メイルに律する基準が無かったらこうなっちゃうのかー。苦しいのも暴れるのも中庸を歩けませんかね?(ミラーと歩ん…
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