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部下ができた

 翌朝。

 両親は微妙な顔をしていたので

「おはよう」

「ああ、おはよう。美佳」

「ええ、朝ご飯出来てるわよ」


「ありがとう」

 程々の距離感。

 変になれ合うとボロが出る。

 反抗期で変わったことをしてると思わせるのが一番実害がない。


 そんな事を思っていると、ニュースが流れる。


『また! 大きな獣が現れました! 今回は、大きな羊です! 非常に獰猛で、被害が出ているとの……』

「でかっ」

 テレビすげえな。


 前の世界でも、似たような効果な投影の魔法あったから、さほど驚きは無いけど。


 場所は岩手県。

 うん、岩手、岩手。

 ああ、このあたり。動いてるのいますね。お、こいつか。


 部屋に戻り、祝福の儀式。

 事前にテレビをつけておく。


「さて、効くかな?」

 効くに決まってる。


 そんな確信のもと、儀式を行うと、テレビに写る羊はぶっ倒れた。



 学校に登校。

 羊の話で持ちきり。


 私は、なんか当たり前のように、あたらし、大川、石倉の四人グループになっていた。


 まあ、トラブルが起こるよりかはいい。


 他の連中とも、普通に挨拶するようになった。



 昼休み。

 葉島がやってくる。


「あ、あの」

「なに?」

 葉島は震えながら


「昨日の話、考えたんだ。僕は遠藤さんみたくはなれない」

「冷静ね。そう思うわ」


「だから、誰かにつく。もう虐められたくないから。だけどそんな人いなくて」

「それは残念だったわね」

 まあ、適当に選んでも地獄が待ってるでしょうしね。


 理想的な上の人間に出会うのって意外と難しいもの。


「だから決めたんだ! 僕は遠藤さんにつく!」

 は?


「遠藤さんなら、虐められた気持ち分かるし、そ、それに」

 顔が真っ赤。


「……き、綺麗だし」


 まあ、本能に直結。

 まあそう言うのは嫌いじゃない。


 人も囲った方が、色々便利だ。


 前の人生のように、世界救おうとかはもうしない。

 あれは無駄だった。


 人の欲望は果てしなく、やればやるほど、皆が怠ける。


「好きになさい」

「あ、ありがとう!」

「とりあえず鞄持ちとかよろしく」

 重いのよ、鞄。


「うん!」

 嬉しそうにする。

 こういうのは虐めにならないのかね?

 まあ、ならない。


 ならないという事にしよう。



 放課後、私は図書館に行くことにした。

「知識が足りないのよ、前の身体」

 勉強が足りんよ。

 肝心な知識がない。


 前の身体はインターネットがあるから、知識を無理に得る必要はないと思っていたらしい。

 愚か者。


 物を調べるには教養が必要なのだ。

 物を理解するにも教養が必要。

 教養がないと、なにが書いてあっても理解できない。


 その教養は、行き当たりばったりに検索しても分からない。

 一から学ばないと理解出来ないのだ。


 だから、成績悪かったんだよ。

 と、前の身体に散々悪口言っていると。


「遠藤さん。いえ、聖女?」


 また来たのか。

 黒ずくめと、もう一人。

 確か。

有川愛菜ありかわまな

「ヘリーナって呼んで」

「ヘリーナと、神崎だっけ?」


「そう。協力して。私達は魔物に立ち向かわないといけない」

「戦いたきゃ、勝手に戦ってこいよ」


「仲間が必要。私達では力が足りないの。あなたからは、凄い力を感じる」

「知らん。私に同士などいらない。仲間などいらない」


「あなたの友達が死ぬかもしれないのよ?」

 友達?


「いないわよ、そんなの」

 対等な立場の奴なんていない。

 龍姫ぐらい。

 そしてあいつは


「いるのは宿敵だけよ」

 フェルラインもどきがいるのだ。

 絶対に龍姫もどきがいるはずだ。


 そいつに会う前に手の内を見せる気はない。

 今は、魔獣のエネルギーを吸い取り、力を蓄えよう。




 夜。

 またあたらしからのLINE。


 そして、女子のグループに招かれ、そっちにも参加することになった。


 なんか楽しそうに話しているのを、特に止める必要もあるまい。


 私も要所要所でスタンプを送り込んだが、雰囲気は悪くなっていないようだった。


「楽ねえ、これ」

 何事も曖昧にするのが美徳らしいこの日本では、実に便利なツールだ。


 感心していると


『なんか、葉島が変なこと言ってたんだけど』

『あいつ、いつも変でしょ?』

『いや、なんかね。遠藤の部下みたいになったからって。いきなり言い出して』


 部下って。


『(知ってる)』

 熊が頷いてるスタンプを送る。


『なんなの? それ?』

『虐められなくないから、保護して、だって』


『なにそれ』

『うける』


 スタンプが乱舞される。


『鞄持ちしてくれるみたいだから』

『えー、いいなー』

『いいねぇ』

 またスタンプ乱舞。


 何人いるんだ。このグループ。


『遠藤変わったよねぇ。羨ましい』

 羨ましいねぇ。


『肌一つで人生観変わるって言うのも怖いけどね』


 私のメッセージに


『手入れ、手入れしないと』

『わかるー』

 みたいなスタンプ乱舞。


 ああ、おっかけるのも疲れる。

 止めよう。


 それよりも、本ですよ。

 科学の知識は正確に捉えないとね。

 科学の知識があれば、私の祝福は、もっと効率良くなるはずだ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 全く違うジャンルの知識が合わさると、お互いの知識で理解できないことが一気に深くなるから楽しい。 うん。巻かれるのも惚れるのもいいが、その宣言をわざわざ相手にするのはどうなんだ少年w そう…
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