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好き放題に生きてやる

「ほー。エントロピーねぇ」

 私は家にある本を読み漁っていた。


「私の『祝福』は多分このエントロピーだの、エネルギーだのなんだろうなぁ」


 人の命を吸い取っても大した効果は得られない。

 だが、嵐や、地震などの生命エネルギーを吸い取ると絶大な効果を得られる。


「しかし、面白いなぁ。これ読むと、色々私の祝福改良できそうだなぁ」


 祝福。

 エネルギーを吸い取り、なにかに還元できる能力。


 誰かの生命エネルギーを吸い取り、誰かの生命エネルギーに還元することもできる。


 この身体の病を治したのもそれ。


 だが、山や、天候の生命を吸い取る方が力が強かったのだが


「エントロピーという考え方は、重要だな。前の世界ではこんな考察されなかった」


 結局寝落ちするまで本を読んでいた。



 翌朝、シャワーを浴びる。


「シャワーってのもすごいよねぇ。電気、ガスかぁ」

 これだけ恵まれていれば、私の力なんて要らないじゃない。


「まあ、好き勝手に生きますか」



「魔法が科学みたいなもんかねぇ」

 この世界では魔法はないらしい。

 変わりに科学がある。


「しかし面白いなぁ。こっちの世界の方が色々進んでるの多いし」

 もっとも、転移が出来なかったり、色々出来ないことも多い。


「国語も面白いけど、とりあえず科学だね」



 昼休み。

 嫌がらせされた。


 机に落書きである。

 こういうの、世界が違ってもやること一緒なんだなぁと呆れる。

 そして、その対処法も変わらない。


 私をニヤニヤ見てる女共に向けて


「……え?」

 机を投げた。


「きゃ!キャアアアア!!!」


「警告しておこう! 誰がやったかは問わない! 私は、私を舐める奴を許さない! 私の報復を恐れない人間を許さない! 実行犯でない傍観者でも罪は同じだ! その様をニタニタ笑う人間には、実行の有無を問わず報復する!」


 その発言に、クラスが凍る。


「私は、過去の報復などなんの興味もない。私は新しく人生を歩む。だから、その前の事などなんの意味もない。だが、今の私に対する侮辱は、確実に返す! 理解しろ! しなければ! その顔を潰すだけだ!」


 すると

「ギャハハハハハハ!!! お前最高だよ!!!」

 大川が笑う。


 そう。こいつもクラスにいた。

 だが、止めていない。

 そう言うものだ。


 弱者は見捨てられる。

 強者にならねばならない。


「次は問答無用で顔を潰す。分かったな」


 そう言って机を元に戻した。



 授業が終わったら先生に呼び出された。

「今日、机を投げたと」

「ええ。嫌がらせの落書きをされたもので」


「嫌がらせ、ですか。ですが、机を投げて、誰かにあたったら」


「あれを放置しておけば、以前のように舐められ、顔を焼かれたり、腕を折られたりしていました。私は変わった。こいつに手を出したら大変な目に合うと分からせないと止まりません」


「や、焼かれた、なんて」

「担任の先生や校長先生にもご報告済みですが、対応されませんでした。ですから、自分の身は自分で守ります」


「対応はしたのです。まずは事実関係の確認を」

「そんなもん、してないと言い張ればいい。周りに聞いても、わざわざ勇気だして、弱者に寄り添う生徒なんていませんよ。それがバレたら次の標的は自分ですもん」


 青ざめる先生に


「弱者が弱者のままでいるには、この学校は厳しすぎます。私は、生き残るためにも、強気で生きますよ」



 その後も、色々言われたが、まあ先生の立場ならそうなのだろうな、と理解はした。

 私も学園運用側だったしね。


 ただ

「別にいじめがあったっていいじゃない。あれが自然よ」



 帰りは図書室に寄る。

「科学の基礎が分かる本どれ?」

「え?まあ、科学辞典かな?」

「ありがとう」


「おお、図が多い。というか、写真って知識では知ってても、見ると感動するね」

 まんまが写るのか。


 知識は楽しい。


 しかしだ。

「……ご、ごめんね、もう閉館時間て」

「え?もう」

 早いよ。


「五時までなの」

「そっかー」

 残念だなぁ。


「町の図書館もあるけど、7時までかな?」

「まあいいや。ありがとう」

「あれ? 借りないの?」

「借りていいの? あ、そっか。借りれる。うん、借りる」

 知識はあっても、引き出すのにタイムラグが生まれる

「はい、どうぞ」

 貸し出し帳に書いて借りる。


「さ、家で読みますか」



 帰り道。

 夕方だ。


「ふむ。足の感覚が慣れないな」

 固い。

 石畳がずーっとあるみたいな感じ。


 すると

「キャアアアア!!!!!!」

 叫び声


「な!? なんだ!? コイツは!?」

「なに!? 映画の撮影!?」


 そこには

「あら? 魔獣じゃない?」

 魔獣。


 前の世界にいた、強力な獣。


 巨大な狼だ。

 結構危険で、人が餌。


 食われるのはごめん被る。

 やられる前にやる

 目立つのはあれだ。


 離れながらやろう。


「生命よ。我が糧となれ」

 儀式を行うと


「GYUGYAAAAAAA!!!!!」

 魔獣は力尽きた。


 うん。まあまあかな。しかし、力溜まんないな。天候エネルギーからもらうか。


 なにしろ、力は急に必要になるからね。

 儀式には時間がかかる。

 出来るだけ貯めておきたい。


 見上げると雨が降りそう。

 雷も起こるかもしれない。


 雷のエネルギーは莫大だ。

 頂いておこう。


「天候の力よ。我が糧に」

 雪崩れ込む力。


 うん。これなら大抵の事ができる。


 私は、満足して帰った。



 夜。

 テレビのニュースが大変な事になっていた。


『確認された事がない巨大な狼が、街に突然現れました! 確認されただけで5人の方が死亡、20人が重軽傷をおっています! 狼は突然倒れたとの事です! 死因等は分かっていません!』


 女性が興奮して叫んでいる。


 リモコンで番組を変えると


『雨雲が上空で突然消えました。このような、大規模な雨雲が突然消滅というのは、あまり例がなく、異常気象の前触れとも…』


 うむ。大騒ぎだ。

「窮屈な世界だなぁ。『祝福』やったら、すぐばれるのかよ」

 あー、やだやだ。

 まあいいや。


 借りてきた本読もうっと。

 せっかく違う世界に来たのだ。

 私は、好き放題に暮らす。

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― 新着の感想 ―
[一言] 本当に好き勝手やってらっしゃるwww エントロピーかぁ…………黒い魔剣の秩序と混沌でもいいけど、女の子ならやはり ぼくと契約して魔法少女になっt(ぐちゃぐちゃにされる宇宙生物)
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