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3、皇城院吹雪の日記



4月1日

あ、ありのままに今日起こったことを書くぜ。


どうやら俺は『ビター・スウィート・ラブコメディ(以下BSL)』の世界に転生したらしい。御曹司系ライバルキャラ皇城院吹雪として。前世のことは思い出したけど、今世のことは逆に全く覚えていない。とりあえず今が中三の4月1日だということはわかった。状況としては母親は失踪して、俺は繋がりのほぼなかった父方の皇城院家に引き取られたっぽい。なんというご都合主義。

な…何を言っているのか、わからねーと思うが、俺も何がどうなっているのかわからねえ。そして、今日はエイプリルフールなのに誰も嘘だと言ってくれない。



4月2日

ギャルゲーの御曹司系ライバルキャラに転生したけどスペック高過ぎワロタ。


まあそれはともかく、やはりここは異世界だ。俺の今いる国は日本という国だが、俺の知っている日本ではない。いや、そもそもここは俺の知っている地球ではない。俺の知っている地球では、第三次世界大戦なんか起こってないし、アトランティスもムーも実在しない。とりあえず今は情報が少ない。もう少し情報を集めようと思う。


4月3日

未だに自分の体の性能の高さが信じられない。間違いなくチートだと思う。でも中身が俺だからなぁ。。。

ふと思い出したのだが、中学の時、各クラスに一人くらいテスト前に全然勉強してないとか言うくせに100点近い点を取る奴がいた。奴らはだいたいこう言うのだ。「学校の授業をちゃんと聞いとけば特に勉強しなくても大丈夫」と。俺はこの言葉を嘘だと思っていた。だが今、俺はあいつらに謝りたい。「疑ってゴメン」と。



4月4日

この体の凄い所をまた一つ発見した。難しい講義が数時間続こうが、昼飯の後だろうが、激しい運動の後の授業だろうが、途中で眠くならないのだ。

もちろん疲れない訳ではない。スタミナが凄いのも間違いないが、一番凄いのは疲れが回復するのが異常に早いことだと思う。サッカーやバスケットやマラソンのように走り続けるスポーツの時「コイツらの体力ってどうなってるんだ?」と思うような奴がいた。その疑問も解けた。体力の消費速度より体力の回復速度が早いのだ。「なるほど。これがスタミナお化けの体質なのか!」と俺は一人納得した。


4月5日

俺はこの5日間で諦めたことがある。それは元の世界には戻ることだ。今の状況は異世界転移ではなく異世界転生によるものだと思うからだ。証拠はないし、死んだ記憶もないが、そんな気がする。何故かと言われてもそう感じるからとしか言えない。

とはいえ、根拠が全くないわけでもない。例えば今俺は酒が飲みたい気分だ。俺の前世の記憶は大学一年生までだ。でも当時も今も酒を飲んでいた記憶はない。にも関わらず、今まさに『こういう気分の時は飲まなきゃやってられない』と魂が叫んでいる気がするのだ。つまり酒を飲みたい気分を知っていること自体が転生である証拠だとなんとなく俺は考えている。


4月6日

この世界は老若男女問わず、顔面偏差値が異様に高い気がする。。。


それはともかく。運動神経抜群という言葉も身をもって理解した。

スポーツでも、ほとんどやったことないくせに難しいプレーを「なんとなくやったらだいたいできるし、一度見たらほぼできる」みたいな奴がいた。運動神経抜群とか、センスの塊とか言われるような奴のことだ。俺は今、間違いなくアイツらと同じ種類の人間である自信がある。アイツらってこういう感じだったんだな、生まれながらの才能の差ってほんとズルイ。

と言ったものの、今の俺も頭脳明晰かつ運動神経抜群のフィジカルモンスター。さらにイケメンでセレブ。中身が俺でなければ非の打ち所がない。なんとなく「おまえには心技体の心が欠けている」とか言われて最終奥義だけ師匠に教えてもらえないバトル漫画の悪役キャラに、いまだかつてない程にシンパシーを感じてしまう。

しかし、俺は最終奥義的な何かを極めるつもりなど毛頭ない。故に現時点では何の問題もない。


4月7日

俺はこの一週間、生きていくために何を目指すか考えていた。

そして答えが出た。

俺は高校に入ったらリアルなギャルゲー的ラブコメ生活を送るんだ!

そして、なんとかして不動産を譲ってもらって夢の「家賃収入で悠々自適なのんびりライフ」それが俺の夢だ!



4月10日

家庭教師が全員揃った。もう増えることはないらしい。

文系科目担当、理系科目担当、礼儀作法担当、芸術全般担当、帝王学担当(経営者側の人間としての心構えや振る舞いの勉強のことだ)、武道担当(明らかに護身術の範囲を超えているが)。この5人はまあ理解できる。だが、銃火器担当と、ドライビングテクニック全般担当、諜報員の技術担当って何だ? 誘拐された時に役に立つからって言われるんだが、そんなにこの世界は危険なんだろうか? と疑問には思うが、帝王学を教えてくれる筆頭執事の瀬場さん以外はみんな綺麗なお姉さんなので、そんな疑問は無視して一生懸命頑張ろうと思う。

俺は綺麗なお姉さんが好きなのだ。もうちょい詳しく言えば、年上の綺麗なお姉さんに掌の上で転がされたい願望があるのだ。


4月11日

BSLについて思い出してみた。主にどんなエンディングがあったかを。

普通にゲームを進めれば、部活に入ったり、生徒会とかに入ったりして学園内を中心に物語が進む。これが正規ルートだ。だが、マイナールートと呼ばれるルートも多数存在していた。

例えば、部活しまくって日本代表に選ばれないと付き合えないキャラが各部活にいたり、必死で口説いた結果、ヒロインの実家の漁船に乗せられて一年くらいの遠洋漁業に出発して、ほとんど釣りゲームと化すようなことがあったり、ただでさえ長いゲームなのに留年しないと会えないヒロインがいたり。。。

そういえば町に仕掛けられた爆発物を解除するために走り回ったり、ハイジャックされた修学旅行の飛行機を解放したりする通称ダイハード・ルートとかもあったな。あとは謎の組織の手先になるミッション・インポッシブル・ルートとか。ちなみにこの二つのルートは失敗するとゲームオーバーになる。悪い金持ちから美術品を怪盗ルートとかもあった。怪盗四姉妹が可愛くて人気があった。


思い出したら不安になってきたので、家庭教師の言うことをよく聞いておこうと改めて思った。



4月12日

俺の住所は、東京都の新京区という場所らしい。どこだよ、それ。

というわけで地図で見てみた。なんか日本がでかい。というか、微妙に形が違う。

そもそも地球そのものが俺の知ってる地球よりでかい。アトランティスとムーは大陸ではなくて大きめの島サイズだけど、その分地球がでっかくなっている。。。文系の先生に地歴公民を重点的にやってもらうようお願いしてみようかと思う。ある程度わかってきたらこの日記にも忘備録として記録しておきたい。

だが、これだけは先に書いておく。


日本の正式名称が「聖☆日本国」でわろた。



4月15日

これまで集めた情報をまとめてみた。日本について。の前に第三次世界大戦について。

まず、古より国民全員が殺し屋である伝説の暗殺者国家ムー、かつて海賊国家として栄え、近年は脱獄犯が集まってできた犯罪者国家アトランティス。この二つが第三次世界大戦を引き起こしたという。

細かいことは省くが日本は戦時中は中立国を称して徹底的に鎖国をし、寄ってくる国はあくいがあろうがなかろうが自衛隊の攻撃対象だったらしい。戦争の終わった現在、日本は中立国の立場を貫いている。が、そのせいで日本は各国のスパイやらなんやらの怪しい人たちが自由に出入りできる国となっている。


俺の知ってる日本よりだいぶ治安悪い。あのゲーム、こんな殺伐とした世界でラブコメしてたんだなぁ。



4月16日

衝撃の事実が発覚した。

親父には現在、七人彼女がいて月火水木金土日でローテーション組んでるらしい。

思わず親父の書斎に行って直接問い正してしまった。親父は悪びれることなく、昔はもっといたが七人がちょうどいいと悟ったから今は七人だ、と断言した。


ハーレムとは、夢物語ではなく現実に存在するものなのだと知った皇城院吹雪、精神年齢18歳の春。


4月17日

今度は兄貴に9人の彼女がいるということが判明した。しかと全員おっぱいが超デカイらしい。さらに兄貴の会社の女子社員もみんなGカップ以上だそうだ。兄貴の会社の就職試験において、A〜Eカップの女性はもちろんノーチャンス。仮にFカップでパットをしてきても絶対に就職試験に合格しないため、これを「Fの壁」と言うらしい。そのため兄貴は爆乳ハンターとして業界ではたいそう有名なんだそうだ。

なお、俺の家庭教師で芸術担当をしている涼宮音色さんは、うちに来るたびに兄貴にナンパされるらしい。もちろん爆乳だからである。


どうでもいいけど、日記って毎日つけるの面倒くさいな。



4月23日

先日、礼儀作法の先生に褒められた。もう社交界に出ても大丈夫だ、と。

というわけで、今日俺は社交界にデビューした。大統領主催のパーティーだ。聖☆日本国は大統領制らしい。大統領は阿倍野橋十三(あべのばし じゅうそう)という人でコテコテの大阪弁だった。アベノミックスなる政策で聖☆日本国は今景気がいいらしい。なお、アベノミックスのミックスはエコノミクスではなく、ミックスジュースと同じ意味のミックスだそうだ。なんかいろんな政策をミックスしてるからそう呼ぶんだそうな。


それはともかく、社交界ではBSLのヒロインたちを10人くらい見かけた。お嬢様という設定のヒロインが多いからパーティーに参加していたのだ。そこで俺は結構なショックを受けた。

「コイツら、二次元の方が絶対かわいい。。。」

いや、三次元も十分すぎるくらいではあるんだよ? ただ、一度そう思うとなんか残念な目で見てしまうというか、喋り方とかも中の人の方がいい仕事してたとか思ってしまったりとか。。。。いや、演技じゃないからこっちの方がリアルなはずなんだけど、やっぱり不自然じゃない程度に演技力によって誇張されたセリフの方がグッとくるじゃん? そして、そのバージョンを知ってしまってると、なんか物足りない、いう気持ちが消せない。


そんなわけで、俺は攻略キャラ達とは本気の恋はできないと本能で悟ってしまった。攻略方法を知ってるから1人くらい口説き落としてやるぜ!という気持ちもどこかへ霧散してしまった。とはいえ、攻略方法もわからずにリアルな実力で女の子を口説くなんて俺にはハードル高い。俺はコミュ障(女子限定)なのだ。

やさぐれた俺はその日の社交界で「あ、俺って隠し子なんです」と初対面の人々に無気力な挨拶を連発して家に帰って親父と兄貴に激怒された。だって喋りたくない気分の時に初対面の人間と談笑なんかできないもん。隠し子って言ったら勝手に何かを察して居なくなってくれて楽だったんだもん。


ちなみに姉貴は爆笑していた。


4月24日

「コイツら、二次元の方が絶対かわいい。。。」そんな思いから発生する違和感がどうしても消せなかった昨日から一夜明け、俺は少し冷静になった。

つまり、しばらくしたら慣れるかも、と考えることにしたのだ。だって、どう考えても攻略法のわかってる女の子たちを諦めるのは惜しいと思うのだ。

すべては俺の目指すラブコメ的学園生活のために!

とゆーわけで、積極的に社交界のパーティー的なものに出席しようと決意を新たにしたタイミングで、親父に呼び出され、しばらくパーティーは出入り禁止と言い渡された。


………ふぁっく!



4月27日

そろそろこの世界の国際情勢がわかったので忘備録として記録しておく。


まず、この世界にアメリカは存在しない。でもUSAはある。

どういうことかというと、アメリカナダ合衆国というでっかい国があるのだ。領土は名前から連想される通り。世界の警察を自称しているが、エリア51という軍事基地が独立宣言をして大変らしい。エリア51は異様に高い技術力があり、影で同盟を結んでる組織や企業も多いという。一部では宇宙人から技術を買ったと噂されているらしい。まあエリア51なんて名前だから仕方ない気もするが。

次にロシアノニマス連邦。世界最高のハッカー組織を持っているらしい。。。まあ、そんな国名だよね。すべての国にいい顔しているが、国有のハッカー組織のせいで全く信用されていない。ただコンピューターに関する技術は凄いらしく商売をせざるを得ないため、どの国も表立って敵対しないのだそうだ。噂ではエリア51ととても仲が良いらしい。

そしてアジアには巨大なアジア太平天国がある。アジアには日本とアジア太平天国しかない。アジア太平天国もまだできて間もないようで、諸子百家なる組織が各地で独立運動を煽っているらしく、安全な地域と危険な地域の差が激しいらしい。


なんか疲れたので他地域については次回書こう。



5月18日

前回、自分の忘備録として、USAことアメリカナダ合衆国。ロシアノニマス連邦。そして、アジア太平天国の情報を簡単に書いた。以下はその続きだ。


まず、ヨーロッパには神聖ヨーロッパ帝国なる国があるらしい。シーザーナポレオン・アレクサンドロス35世なる人が今の皇帝らしい。その皇帝については名前以外知らないが、俺はその名前だけでチートな皇帝だと確信している。ヨーロッパ帝国は皇帝の力が強大で基本的に平和らしいが、オカルト系宗教の狂信者たちの集団「ノストラダムス教国」という組織に手を焼いているらしい。なにかが空から降ってきそうな名前だが、海底にトンネルを掘る要領で海底都市を作り、本拠地にしているらしい。

中東とアフリカ大陸はアフリカ大同盟という大国の支配下にあるらしい。アフリカにのみ生息する恐竜たちを狙う密猟者が今の一番の問題らしい。てか恐竜生き残ってんのかよ。なお、ティラノサウルスのお肉は超おいしいそうだ。肉はともかく生の恐竜をいつか拝見したいものだ。



5月20日

国際情勢を日記につけているわけだが。知れば知るほど、書けば書くほど、結構荒れた世界だなぁ、と思う。

さて、それでは忘備録に戻ろう。まず中南米にはエルドラド・カルテルという国があるらしいが、サッカーとフェスティバルが大好きな人々の楽しい国とされている。マフィアもいるが国内では慈善活動しかしておらず、悪事は他国でやるのがポリシーとのこと。農業のほか、政府とマフィアの主導で鉱物資源が盛んで金やらダイヤやらサファイアやらを大量に発掘しているのでお金持ちなんだそうだ。そのため第三次世界大戦で標的にされて大変だったらしい。

オーストラリア大陸は、国連の本拠地。というか、オーストラリアという国は国連そのものに最近なったらしい。なんでも第三次世界大戦の難民政府とか全部受け入れて、弱った国連と吸収合併する形で新しい国家が成立したとのこと。なお、国連は国際連邦の略だそうだ。

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