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Desire Game   作者: ユーキ生物
炎の章
37/39

第五話 生きるということ

この話から客観(俯瞰?)視点になります。

第五話

生きるということ



 ―――紅い炎は才に富んでいた。それは、地図作りにおいても大いに発揮されていた。


「・・・スゴっ!!芯君も見てよ、紅君の描いた地図!」

「んー・・・すげぇ!分かれ道ごとに3Dで盛り上がって見える!しかもフルカラー!!」

「・・・お、オーバースペック・・・」


 口数の少ない菫までもが、思わずツッコミを入れるほど、彼のマッピング技術は秀でていた。


「――――!?・・・前方200メートル先に曲がり角、その先に3人ほどいる・・・話声と足音、呼吸音から察するに、男性2名、女性1名・・・雰囲気は・・・和やかな会話、恐らく危険はないかと・・・」


 優秀過ぎて、もはやレーダーだった。


「・・・わ、私・・・迎え撃つ準備した方が、いい、ですか・・・?」


 菫は指示を仰ぐ、彼女のスキルによる武装をすべきか否か―――。


「いや―――、しなくていい、凶器のにおいはしないから、もし襲われても僕が対応できるはず・・・」

「凶器の臭い?」

「血とか、火薬とか、鉄系の臭い」

「・・・わかるんだ・・・」


 もうコイツ一人でいいんじゃないか、そんな風に芯、清美、菫は思っていた。

 そして、彼らが出会う――――


「―――そこで俺は思ったわけよ、飛行機とかってどうやって自分の飛行速度を計ってるのかって―――」

「―――確かに―――確か車とかってタイヤの回転数とか円周長さとかで計ってるんですよね・・・飛行機ってどこにも触れてませんし・・・どうやってるんですかね・・・」

「きっとGPSじゃない?大体それで解決するはずだし・・・」

「・・・ん?飛行機が飛ぶようになった頃ってGPSってあったっけ?」

「・・・さぁ?」


 この気を張り詰める環境で、コイツらは何の話をしているのだろうか・・・誰もがそう思った。


「飛行機は今はGPSとか色々使ってますけど、昔はピトー管っていう流体力学の基礎的な圧力差を利用する物で流速を算出して、速度を計ってたんです。それにGPSには人工衛星が必要ですから飛行機より先にGPSは無理ですよ。」


 あまりにアホな会話に、紅は突っ込まざるを得なかった・・・


 ―――こうして、二つの炎は流体力学で出会った。



「コホン、ところでお尋ねしたいのですが、射手座の川上誠さん、乙女座の桃山真白さん、という方とは会ってないですか?」


 そんなことを森山樹は尋ねる。それに対し、秋山紅は芯、清美、菫に目を配り確認を取る。


「いいえ、今のところであってはいません。」

「・・・そうでしたか・・・では、俺達はその二人を探しているので・・・」


 そういって別れようとした時――――


「あー!樹君と蒼君だー!!」

「真白さん!?」


 噂の二人が遠くから声をかけて、追いついた――――


「・・・あれ?あたしは?」


 柚木蜜柑は不憫な子だった。



「ここに9人いて・・・」

「あ、そうか、参加者は11人だから・・・」


 紅、芯は気付く・・・


「あら?もしかして、残りの二人に心当たりがあるのかしら?」

「はい、既にあっています。二人は兄妹きょうだいで、妹の方のミッションが“参加者の中で最下層にいる”というものなので、あえて遅れて行動しているらしいです。」

「参加者が全員いるのなら、その子のミッションはグンと簡単になるわね。」

「それに俺、牡羊座の灰上芯のミッションは“二名以上のミッション達成の手助け”です。協力できるに越したことはないので。」

「・・・そうね。みんな揃えばミッション達成も順調に行くかもしれないし、実際私も全員に会う必要があるのよ。」

「あ、あたしもですー!!」

「真白さんのミッションは・・・“参加者全員の願いを知る”ですよね?」

「え、えぇ、そうだけど、芯君、どうしてそれを・・・?」

「僕のアプリです。参加者のミッションを知ることができるんです。」


「・・・あ、あたしは・・・?」


 “参加者全員に傷をつける”そんなミッションの少女は、みんなに精神的に傷つけられていた。


「それに、みんなが揃えば全員が生きて帰る方法があるかもしれないですしね。」

「「・・・・・・・・・・。」」


 何も知らない樹の言葉に、何人かは黙り込んでしまった。


「今は無理でも、アップデートっていうことがあって、願いが置き換わると、スキルとミッションも変わるんですよ。」


 アップデート経験者である誠が場を取りなすためにフォローを入れる。


「――――でも――――」


 何かを言おうとした芯を、誠は不粋(ぶすい)だと言わんばかりの視線を送る。


「――――っ、・・・・・・。」


 誠のその視線の意味を、芯は察することができた。本来、芯は人の意思を察するのは苦手なはずだったが、誠の伝えたいことが芯の生き方と似通(にかよ)い、理解に至った。


「あのー、とりあえず、その残りの二人を迎えに行きつつ、私のミッションを進めてもいいですか?」

「あ、あたしもお願いしたいです。」


 真白の提案・・・もとい、真白と蜜柑の提案に皆が同意する。





「・・・それで、紅君は何を願ったの?」


 一行(いっこう)は米山兄妹を迎えるべく、登ってきた階段へと戻っていた。


「・・・僕は、“生きたい”と、願いました。僕は昔、恐らく皆が生まれるよりも前、様々な方面で才能に富んでいて、結構有名だったんです。オリンピックとかにも推薦されましたし・・・でしたけど、18歳の時に癌で床に付し、そのまま・・・・・・ですので、僕は“生きたい”と願いました。才能に恵まれなくたっていい、ただ生きていられるだけで、それだけでいいって・・・」

「・・・・・・。」


 紅い(いのち)の燃え方を、蒼い(いのち)は静かに見ていた。


「へー、そうだったんだ・・・生き返らせることもできたの・・・・・・それで、次は蒼君、あなたは何を願ったの?」


 紅い(いのち)を否定するように、蒼い(いのち)は語り出す。“生きる”とはそういうことではないと・・・


「・・・俺は“無色な人生に色をつけたい、生きる意味を”と願いました。・・・俺は昔からなんの取り柄もなくて、誰の印象にも残らないような人生を送っていました。そして、気付いたんです。誰からも認識されないということは、いないのと同じだと、生きていないのだと・・・だから俺は生きた証を残せる人間になりたいと願いました。もし、死んだとしても劇的な死で、誰かの心に残りたいって・・・」

「・・・・・・・・。」


 相反する“生きる”ということ、そして願い。紅も蒼も、嫉妬の感情に包まれていた。




「そういえば、誠さんのミッションがアップデートで変わったのなら、あとは、菫ちゃんのミッションさえアップデートさせちゃえば、全員生きて帰れるのかもしれないのよね?」


 清美は以前芯のアプリで見た情報をもとにそう推察する。


「え?そうなんですか?」


 全員をミッションを知らない樹や蜜柑はそれを聞き安堵する――――


「一概にそうとは言えないけど――――もがっ!!」


 否定する真白を誠が強制的に制し・・・


「アップデートした後の新しいミッションはどうなるかわかりませんからね。」


 そう、フォローを入れる。


 しかし、一行はその情報に光を見出だせずにはいられなかった・・・そうして、全員生還を目標に、米山兄妹を迎えに向かった。







「・・・そろそろ上に行っても大丈夫かな?」

「・・・どうだろう、僕らがここで階段を見張ってから上に行ったのは6人・・・絶対大丈夫とは言えないからな・・・」


 米山兄妹は先へ進むべきか迷っていた。


「・・・菫ちゃん、無事かなぁ・・・」

「そうだね、さっきの人達は皆親切だったよね。」


 底層区画(スラム)で育った二人は、実力だけで生きてきた。だから、他者の優しさに触れることなんてなかった・・・


「また会ったら、今度はこっちからも彼らの力になれることをしよう。損得抜きで。」


 そんなことを思う中、利彦は集団で向かってくる足音に気が付いた。


「―――――誰か来る・・・千尋、下がってて―――――」


 その物々しい雰囲気は戦闘とは縁遠い利彦でさえも警戒させるほどに――――

 見えてきた集団は黒づくめで、手には銃、武装集団、兵団ともとれる集団だった―――


「僕のさっき抜けた髪の毛をあげますから答えてください。誰ですか、あなた方は何者ですか?」

「・・・・・・。」


 利彦の強制交渉成立スキルは集団に効果を発揮しなかった・・・


「え・・・!?そんな!? ・・・このペットボトルの水をお渡ししますので、これ以上僕達に近付かないでください!」


 利彦の声はただの声となり、無情にもただ大気を震わせただけだった・・・


(・・・僕のスキルが効かない!?)


「・・・っ、兄さん!!」


 取れる手段を失い、ただ立ち尽くすことしかできない利彦を庇うように、千尋が集団に向き合い、相対した。


 無論、立ち向かう手段など持ち合わせてはいなかった。




お読みいただいている皆様、いつもありがとうございます。ユーキ生物です。


調べても主観視点に対してこういう視点をなんていうか出てきません・・・神の目視点はダサいので×。こういうのって学校で教わるんですかね・・・?今更ながら、私の自己紹介になりますが、私、ユーキ生物は高校一年の頃から理系です。もうガチガチの。文系ができなかったわけではないですけど、人文教育はかなり雑でした。現国とか高2から論文の書き方とかやってないし・・・日本史も半期だけ、開国からだったし・・・そんなこんなで小説とか趣味で書いてますけど、完全に土俵の外の趣味です・・・。細かいルールとかわかってませんが、ご勘弁ください。・・・まぁ、30話以上書いてから言うことでもありませんが・・・


 さて、五話が終わり、残すところあと二話となりました。・・・ハイ、最終章も七話構成です。佳境にですね。読んでくださってる方は紅と蒼、どっちの“生きる”派ですか? もちろん“生きる”とはそんな一概にいえるものではないのですが・・・この後の物語で、私なりに“生きる”ということを表現できたら、と思ってます。


 続いて、前々回から続いている次作のチラ見ですが、今回はざっとした内容と、タイトル(仮)を晒そうかと思います。タイトルは若干変わるかもなので、(仮)です。「あ、前に言ってたタイトルと違うじゃん!」っていう楽しみ方ができるのは、このDesire Gameを読んでくださった方のみ!(ジャパ○ット風)


 内容的には冒険もの(?)になります。異能力ガンガン使います。具体的には炎の章七話のあとがきで。Desire Gameに比べると比較的明るい雰囲気です。・・・というよりビルから出られないDesire Gameが暗過ぎるだけかもですが・・・。王位継承のための旅で、二人の王子が主人公(?)です。こっちはちゃんとダブル主人公をやる予定です。きちんとしたあらすじは七話のあとがきか、その辺でやりますが、目標は「熱い話」です。互いの主張がぶつかり合う感じを上手く表現できたら、と思っております。

 そして、そのタイトル(仮)は「戦士達ハ世界ニ其ノ名ヲ謳ウ」です!

・・・読みにくい?「戦士達は世界にの名をうたう」です。


 ちなみにこの後書きを書きながら「こっちの方が字面いいじゃん」とタイトル変更しました。・・・その程度の(仮)です。


そんな感じで、「Desire Game」の残り二話、そして「戦士達ハ世界ニ其ノ名ヲ謳ウ」もよろしくお願いします。


 次回更新は7月15日(金)20時くらいを予定しております。

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