第四話 分断
俺たちは先へ進むべく階段を探していた・・・と言っても地図なんてものはないから当てもなく歩いているだけなんだけど・・・
万が一、敵意ある参加者に出くわした場合に備えて警戒フォーメーションをとって進行している・・・前には未来視で危険察知のできる真白さんと交渉の際に敵意を見破る誠さん、後は身体能力を上げられる俺、そして中央に戦闘能力を持たずに、状況によって過去からやり直せる樹さんと蜜柑ちゃん、といった形になっている。
「――――そういえばさ――――」
そんな感じで歩いていると真ん中の樹さんは暇らしく――――まぁ、ほとんど真白さんに任せてる様なものだし――――適当な話題を振ってくる。
「―――そういえば、睡蓮の花言葉の一つって『滅亡』なんだよね。」
「もうちょっと適当な話題はなかったんですか!?暗いですよ!!」
「変だよね、『滅亡』なんて、花を贈られた側は『滅亡』させられるのか、自分が『滅亡』させられるのか、わかんないよね。『あなたを愛する』とか、対象とメッセージを入れてくれないとね・・・」
「すごくどうでもいいですね!」
ホント何話してるんだか・・・
「―――――――っ!?下がって!!」
突如、真白さんが叫ぶ―――!!
――――――ゴッ!!バラバラッ!!
―――――直後、建物の天井が崩れ落ちる――――!!
俺の肉体強化は間にあわず、立ち尽くしてしまう・・・
――――皆はっ!?
「あ、危なかった・・・」
「・・・あ、ありがとうございます。樹さん・・・」
「お、おう・・・ん?なんだこの柔らかいの・・・?」
「・・・へ?・・・いやあああぁぁぁ!!どこ触ってるのぉぉぉぉおおおおええええぇぇぇぇ!!」
「うわああああぁぁぁぁぁああああ!!!!」
あ、大丈夫みたいだ・・・・・・・・・大丈夫か?
真白さんと誠さんは・・・ダメだ、瓦礫で通路が塞がれていて確認できない・・・肉体強化で瓦礫をどかすか・・・?
「――――――!!」
・・・ん?今瓦礫の向こうから声が・・・
「―――――大丈夫!―――な、無事!?」
真白さんの声だ・・・あの人、普通にしゃべれるんじゃん・・・
「こっちは三人とも無事ですよ!!今、俺のスキルで瓦礫を退かします!!離れててください!!」
「―――蒼君?・・・瓦礫は待って!―――崩したところからまた天井が崩れるかもしれない―――!!」
・・・確かに、そうかもしれない・・・
「そっちは天井の穴はある!?」
「天井・・・開いてます!!」
「なら、そっちはそこから上の階に行ってて!!後で合流するから!!」
「・・・わかりました!!では、また!!」
「ええ!!」
真白さんとのやり取りを終え、俺は嘔吐物塗れの二人のもとに戻る
「俺のスキルで戻りますか?」
「・・・その手もあったか・・・いや、でも、この天井の穴は上の階に行けるチャンスなんだよな・・・とりあえずこのままでいいや、あの二人は強いし、特に、真白さんは規格外のスキルを持っているし・・・」
・・・・・・あ・・・・・・そうか、このメンツだと戦闘ができるのは俺だけなんだ・・・さっきの崩壊の時も俺のスキルは役に立たなかったし・・・
不安になる俺をよそに、蜜柑ちゃんが口を開く・・・
「これってもしかすると、このゲームを見てる人がいて、みんな仲良くしてるのがつまらないから、盛り上げようとする演出なのかな・・・」
「・・・それは、もし、蜜柑の言う通りなら、その人達にとって、この俺らが協力する状況が良くないってことだよな・・・」
「・・・だとすれば、全員が生きて帰れるっていう盛り上がらない展開は可能なのかもしれませんね!」
この少女は常に明るい方へと目を向ける・・・そうやって俺らの暗い心に光を照らし続けている・・・
嘔吐物塗れだけど・・・
こういう形で誰かの心に残る人もいるのか・・・生きた証はこんな形でも残せるのだと、俺は知った・・・それと同時に、彼女達の作る明るい空間を守りたいとも思った・・・
Another viewing
――――――天井が崩されて、僕は真白さんと二人になってしまった。
「これも、ゲームの主催者の仕業なのかしらね?」
そんなことを、すっかりしゃべり方が変わった真白さんは言う。僕のスキルが反応しないということはこのしゃべり方が本来の真白さんのしゃべり方なのだろう。
「どうしてこんなこと・・・こういう邪魔の仕方は、ズルいですよ・・・」
「ズルい・・・まぁ、誠君の言うことも確かにわからなくもないけど、いいじゃない、折角なんだし、観てる人達を楽しませてやれば・・・」
彼女の言葉に僕のスキルが嘘だと告げる。・・・この人、真白さんをとても強いと思った。
それは彼女の未来視のスキルとかじゃなくて、この状況で強がりを言える彼女を、そう思った。
僕のスキルが彼女は強がりを言っていることをハッキリと報せてくれていた。
本当は不安なのに、他者を思いやれる強さを尊敬するし、そういう嘘の使い方もあるのだと知り、そして、愛おしいと、そう、感じた。だから・・・
「・・・そうですね、ヤツらの手のひらの上で踊るのも・・・騙されても、楽しませられればいいかもしれないですね・・・いや、むしろこっちが騙して、驚かす意味で楽しませてやりましょう。」
だから僕は彼女に同調する、少しでも不安を取り除けるようにと・・
そう言った直後、僕の世界から、音が消えた―――――
「―――――――――――――――?」
真白さんが何か話し掛けてくれている・・・しかし、その内容を聞き取ることができない・・・
「ま、真白、さん――――――ぼ、僕、耳が―――――」
音が聞こえないと喋り難い・・・
真白さんは僕のたどたどしい声を聞くと、スマホを取り出し、僕にスマホを指差してきた――――そうか、何か主催者側の仕掛けなのかもしれない・・・
僕のスマホに表示される画面は変化していた。アップデートの文字、そして変化したスキルとミッション、スキルが“感覚器官の支配”となって・・・ミッションは“聴覚を失った状態で蠍座を殺害する”となっていた。
感覚器官の支配・・・借りることもできるのかな・・・
「スマホ、何か変化あった?」
そんな風に真白さんは聴いてくる。耳聞こえないって言ったのに・・・
しかし、どうやら他者から聴覚を借りることはできるようだった・・・
「なんか・・・耳が変な感じね・・・」
「それは、僕の新しいスキルの効果です。」
「新しいスキル?」
―――――――そうして、僕は真白さんにアップデートしたスマホの画面を見せた。
「―――――そう、耳が聞こえないの・・・」
「はい、こうやって真白さんの片耳の聴覚を借りないと・・・」
「なら―――――」
真白さんは僕の手を取り、引っ張る。
「こうやって私が連れていってあげる。耳聞こえないと不安でしょ?」
いや、まぁ、目は見えるから別に引っ張ってもらわなくても・・・
それに、真白さんは嘘つきだし、この人のガイドは信じていいものか迷うけど、この手の震えとぬくもりは本物で、強がっているけど、僕を想ってくれている優しい人、それはスキルがなくてもわかる。そんな真白さんなら、きっと僕を悪いようにはしないだろう・・・
なんとなくわかった気がする・・・嘘だの悪だの思ってたけど・・・正しいって、こうやって人のためになることなんだろう・・・
―――――――いやぁ、今の分断は見事でしたな。
―――――――これでまた面白いものが観られそうだな。
どうやら少し満足してもらえたようで・・・でも、まだだ、これからもっと盛り上げなくては・・・
それと、この全く異なる意味で生に執着する二人をぶつけてみたい。何を思うのか・・・そこにはボクが考えていた“願い”の帰結点、その答えがあるだろうから。
どうも、ユーキ生物です。
第四話いかがでしたでしょうか?なんかもう誰の話になってるのか迷走してる感ありますね。ちなみに割と最後までこの章は誰が主人公?みたいな感じになります。そして、今まで主観視点で物語を書いてきましたが、都合上、次回から客観?俯瞰?まぁ、そんな視点で書きます。主に六話の所為。あっちこっちしますがどうかお付き合いいただければと思います。
ちなみに物語の結末は、作者の私はほぼ知ることができました。・・・えぇ、プロットの方が98%仕上がりました。もう手直しをしても結末の筋は変わらないかと・・・なかなか納得できるまとまり方をしたかと思います。あとは頑張って文に起こしますので少々お待ちください。
この作品を通して反省し、次作に活かせればと思います。・・・前回から次作の情報を流す、といったので・・・次作はDesire Gameとは全く別のお話となります。詳しくは七話あたりの後書きにて。
えぇ、「次作は」です。とりあえず先に温めておいた作品から、といった感じです。
それでは今回はこの辺で、
次回は7月8日金曜日20時くらいの更新を予定しております。




