第二話 人のぬくもり
第二話
人のぬくもり
重い、というか、妙な空気が僕らの間を流れていた・・・
「・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・。」
僕が既に死んでいる発言をしてからというもの、ずっとこんな感じだった・・・。それぞれ思うところがあるのだろう。
そんな沈黙を破ったのは僕・・・もとい、彼女の放った香りと、殺意だった。
「・・・すんっ・・・火薬の匂いっ!?それに、この視線――――」
振り返った先にいたのは――――――!?
「伏せてっ!!」
僕の声が届くと芯さんは清美さんを床に押し倒す、それと同時に――――――
ッズガアァァァァンッ!!
―――――――――轟音が鳴り響いた―――――――――――
僕はその轟音の中狙撃手に接近する。銃弾の軌道上にいなければ弾丸は恐くない。
「――――――えっ!?」
轟音の中近付いてくる僕に、狙撃手の少女は驚きの声を上げていた。
距離にして百メートルほど、時間としては十数秒、狙撃手が撃てる弾数は限られていた。ましてや彼女は僕を見て数秒停止していた・・・十数秒後、少女は僕の拘束に捕らわれていた。
小柄でニット帽とマフラーで顔を隠している少女。僕は彼女のスマホを奪い、表示される情報を確認する―――――
Another Viewing
「伏せてっ!!」
紅さんが叫ぶ―――――
俺は咄嗟に清美さんを庇うように床に伏せる――――その直後、俺らの頭上を弾丸が通る―――――
俺らは動けないでいた・・・次の弾丸に襲われる恐怖に奥歯が震える・・・・・・しかし、次の弾丸は来なかった・・・
紅さんが狙撃手を組伏せる様子が見える――――。
「・・・清美さん、怪我はないですか?」
「・・・う、うん・・・大丈夫・・・」
俺達はのそのそと起き上がり、紅さんの元へ向か――――――
キュ―――――
―――――向かおうとしたら、清美さんに袖口を掴まれ、引き止められた―――――
「・・・どうしました?」
「芯君・・・守ってくれて、ありがと・・・」
「・・・・・・はい。」
「・・・でも、だけど・・・そういう自分を大切にしないことはしないで・・・」
――――――えっ?
「私は、生きて帰りたい。でも、私の願いは、私が欲しいのは“揺るぎない味方”・・・・・・私は芯君と一緒に生きて帰りたい、芯君を失いたくないの・・・だから、お願い。芯君自身も大切にして。」
――――それって・・・
俺は人の心は読めないけど、清美さんの想っていることが、なんとなくだけどわかった気がした・・・
Original viewing
僕はこの少女のミッションを見て、現実を思い知らされた――――
“自分以外の参加者が死亡している。”
それが彼女が生きて元の生活に戻るための必要条件だった・・・
余計なことをされる前に、殺すべきなのだろうか・・・
僕は彼女の首を掴んだ手に力を入れる――――
「―――――っ――――――かはっ―――――!!」
彼女に供給される酸素が減り、炎が揺らぐ――――
「紅さん、待って下さい。」
芯さんが駆け寄り、それを遮る。
「彼女を、許してあげられないですか?」
「・・・芯さん、彼女のミッションは――――」
「大体わかっています。わざわざ殺しに来るくらいですから。」
「それに、今芯さんは撃たれたんですよ。当たらなかっただけで。その相手を、いいんですか?」
「ええ、確かに彼女の行いはよくなかった。でも、人は間違うものだから、そうやって許されて、変わることができる存在だから・・・」
・・・どうやら芯さんも訳アリみたいで・・・
「俺は、許された側の人間で、その償いを行うために生きてるんだ・・・キチンと生きてれば、また人から信頼されることもできたし、俺のことを大切だと言ってもらえた・・・そうやってやり直せるんだから、彼女にも、そのチャンスを・・・」
・・・まぁ、この蠍座の少女は銃の扱いに慣れていたわけでもなさそうだし、また同じ様に拘束することは可能だろう・・・
僕は彼女の首から手を離す。
「すまなかった。僕も君と同じで死にたくなかったから・・・」
「・・・ゴホッ!・・・ッ、ハァ、ハァ・・・い、いえ・・・私が、あ、あなたの立場なら、同じことをするでしょうし・・・」
随分と聞き分けのいい方で・・・殺されかけたというのに・・・いや、それは芯さんも同じか・・・
――――――――――!?遠くから慌ただしい足音が聞こえて、こっちにむかって来る・・・。僕は少女―――蠍座の、忍野 菫さんを起こし、迎撃の準備に入る――――
「大丈夫でしたか!?」
走って来たのは好青年、といった雰囲気の男性とおどおどした少女だった―――――――
――――――「そうでしたか、それなら良かったです。」
とりあえず事情を説明した。二人、米山兄妹は銃声を聞いて駆けつけて来てくれたとか――――
二人も色々抱えていそうだったが“生きて帰る”という目標を持っているようで、ミッションを達成することを優先しているようだった。
そして、妹の千尋さん、彼女のミッションは“参加者の中で最下層にいること”害も無さそうなので協力できるように話し合い、僕ら四人は先行し、先の階の情報を二人に伝えることとなった。
こうやって協力体制を整えればかなり平和的にゲームクリアができるんじゃないかと思う。何より蠍座の菫さんを擁することができたのが大きい。このまま何事もなくクリアまで行きたいと、切に思った。
Another viewing
――――私は許された――――殺意の対象から許されて、少し混乱する―――――この気持ちを、状況を整理しよう。
この人たちは殺さなければならない人たちで、ただ、殺したいわけではなくて、むしろ、私を受け入れてくれた人たちで、できるのなら今後も一緒にいたいと思う―――
――――なら、私がすべきことは―――――できることを―――――
―――間に合いませんでした――――申し訳ございません――――
しかしながら、リアルでのゴタゴタは良い方向でキリが付きました。ですので、今後は週一ペースで更新できたらと思います。今後ともよろしくお願いします。
次回投稿は6月24日20時を予定しております。




