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Desire Game   作者: ユーキ生物
炎の章
33/39

第一話 Cancer

―――――折角、舞台を用意したのに・・・妹の方はつまらんかったなぁ・・・

―――――(しか)り、まったく・・・兄を殺すくらいしてもらわんとなぁ・・・


 この悪魔共は何を欲しているのだろうか・・・


―――――あと、まだよく見てない参加者は・・・!?・・・おい・・・この名簿にある秋山紅って・・・

―――――そんな、まさか・・・

―――――誰なんです?その秋山って・・・?

―――――若い人は知らないかもしれないが、昔、各業界を制した天才・・・彼が中学時代には運動系の大会では全国優勝、悪くても準優勝を、柔道、剣道、陸上、水泳、卓球・・・個人競技全てで成し遂げた、才能の塊・・・

―――――高校の頃には財界にも進出して、経済界もかなりのところまでかけ上がった・・・万能とは彼のためにある言葉だろう。

―――――そんな人がいたんですね・・・

―――――だか、彼は数年前に大病を患って・・・


「そうです。彼は一度亡くなっています。」


 僕は事実を会場に告げる。


「・・・なので、僕が生き返らせました。」


 ―――――――!?


 ざわつく会場・・・


―――――君、まさかそこまでできるとは・・・

―――――いったい、どうやって・・・


「皆さんは生命(いのち)とは何だとお思いですか?・・・“生きる”とは、単に生命活動を再現させればいいわけではありません。・・・俗に言われる“魂”・・・これがこの蘇生の技術の肝です。・・・魂を含め“生命(いのち)”とは、炎なんです。・・・消えてしまった炎を元通りにするには、(まき)をくべるだけではダメで、酸素を送り、そして、点火をしてあげなくてはいけません。逆にいえば、それさえすれば(いのち)はまた灯ります。」


 僕は蘇生の概要を説明する―――


「彼は『生きたい』と願ったので、それを叶えたまでです・・・ちなみに、同じ理屈で身体強化のスキルもできました。生命の燃やし方を、(ほのお)でいうところの、酸素を調節できるようにすることで、可能です。」


―――――いやぁ、さすがですな。我々には到底理解できませぬ。


 このゲームを開催するにあたって、一つ、気になっていたことがあった・・・“あの二人”の願い、僕には理解ができなかった・・・それを、本人達に聴いてみたい・・・どれだけ勉強しようとも、人の願うことは本人に聴くまでわからないのだから・・・




Desire Game


(いのち)の章



第一話

Cancer




 ――――――何を欲する―――――





「生きたい」





 ――――――――――――――長い間、眠っていた気がする――――――


 目が覚めたのは、コンクリートで囲まれた部屋だった・・・


 「・・・僕は・・・どうして目が覚めたんだ・・・」


 それ以前に、これは現実なのだろうか・・・でも、この身体の感覚は覚えがある・・・

 僕はやたらと豪華なベッドに寝かされていた・・・


 もしかして、既に性的な意味で襲われた後なのか・・・!?


 屍体愛好者(ネクロフィリア)!?怖っ!!


 ・・・まぁ、僕の貞操の安否より、この状況を理解しないと・・・


 コンクリートの部屋にベッドと画面のある電子機器・・・何だこれ?


 ポケベルの次世代機とか?

 ・・・(ふち)にボタンのような物が少しついている・・・


 そうやって薄型の何かを観察していると―――――


 「君がこの機器の事を知らないのも無理はない、これは君が死んだ後に出回る様になった、スマートフォンという所謂(いわゆる)携帯電話の発展系の品だ。」


 突如喋りだした。・・・携帯電話の(たぐ)いなら、喋りだしても不思議じゃないけど・・・スマートフォンねぇ・・・

 そうこうするうちに、再びスマートフォンから声が発せられる・・・


 「全員の準備が整った様なので、説明を開始する。」


 なんとも事務的な声で、僕はこの願いを叶えるゲームについて説明を受けた。僕の願いは叶えられている、これは参加以外はあり得ない。無論、生きて帰らなければ、生き返ったことにはならないが・・・


 ・・・それにしても、僕の星座・・・Cancer(かにざ)とは、なんとも悪意を感じる・・・僕が一度死んだ時の病がCancer(がん)だと知っての嫌がらせだろうか・・・

 とりあえず、僕は他の項目も見てみた―――――


名前:秋山 紅

年齢:18+α

性別:男

願い:生きたい

スキル:蘇生

ミッション:武器を所持、使用することなくゲームの終点までたどり着く。

アプリ:なし


 ―――――この条件は他の参加者と比べて、どの程度の難易度なのだろうか・・・僕の条件はシンプルだ・・・「身体一つで生き抜け」ということだろう。アプリは無いし、スキルもこれは生き返ったことを指しているだろうし・・・他の参加者がどういうスキルとアプリ、そして、ミッションなのかで、僕の条件の難易度は決まるだろう・・・


 上等だ・・・これでも腕には自信がある・・・。


 ――――――僕は、昔から何でもできた。・・・何でも、というと言い過ぎかもしれないが、他の人にできることなら僕に出来ないことはなかった。例えば、僕が中学生の頃、体育で柔道をした時だ。僕は初めて柔道をした、にも関わらず、試合を何度か行って、20分後には県大会覇者のクラスメイトを投げていた。


 何でもできた・・・・・・だけど、短命だった。


 満開に咲き誇った花が待つのは散る運命であるように、才気の咲き誇った僕の人生は、呆気(あっけ)なく散っていった・・・。


 その僕の最も足りなかった部分、命をくれたのだから、このゲームの主催者には感謝しかない。主催者が何を欲しているかはわからないけど、このゲーム、喜んで参加しよう。


 そうして僕は、扉に手をかけた。




 ―――――扉の先もコンクリートの通路しかなかった。さて、まずはどうしようか―――――――!?


 前方の通路から話し声が僅かに聞こえる・・・男の声と女の声が一つずつ・・・僕のミッション的に別段接触が必要ではないけど、今のままだと情報が少な過ぎて埒があかない・・・そこまで緊張感のある声色じゃないし、もし何かあっても僕のポテンシャルなら・・・とりあえず、温厚に接してみよう。


「あなた方もゲームの参加者なのですか?・・・あっ、僕はあなた方に危害を加える必要性もそうする気もありません。ただ、情報が欲しいだけなんです・・・あっ、申し遅れました、僕は秋山(あきやま) (こう)と申します。」


 温厚に、そして、少し頼りなく、警戒されないように話しかける。


「これはこれはご丁寧に・・・俺らも特に害を与える必要ないので、ご安心下さい。俺は牡羊座の灰上 芯っていいます。」

「私は魚座の月白 清美。」

「あ、僕は蟹座です。」

「蟹座・・・でしたら、大丈夫そうですね。」

「・・・?」

「えっと、俺のアプリは参加者のミッション一覧なので、紅さんのミッションが本当に害を与える必要がないか確めさせてもらいました。あなたは武器を使用せずにいればいいだけですから、信用できると判断させていただきました。」


 ――――――なるほど、アプリって、そういうものなのか・・・

 僕は今、アプリを持たないことの不利さを理解した。


「お詫びと言っては何ですが、僕らの持つ情報は全てお教えします。」


 そういって、芯さんは僕に全員のミッションや、彼らのスキルなどを教えてくれた・・・

 武器とはどの程度の物があるのかわからないが、ミッション的に、そこまで難易度が高い訳ではないことはわかった。そして、生きるために、僕らの命を狙う参加者がいることも・・・


「俺らは清美さんのミッションを達成させるためにチェックポイントを廻りながら行くのですが、紅さんもご一緒にどうですか?俺らとしてもありがたいので。」

「・・・芯さん、結構やり手ですよね。この提案にも何かまだあるのでしょう?」

「ははっ、バレてましたか。はい、一緒に来ていただけるなら、清美さんの地図アプリからフロアマップの情報が得られます。闇雲に階段を探すよりはいいと思いますが、どうです?」

「オーケー、その提案、受けさせてもらいます。」


 そうして、僕は、芯さん、清美さんと行動を共にすることとなった。


「ちなみに、紅さんのスキルって何なんです?」

「えーっと、一応“蘇生”ってことになってますけど、恐らく誰かを生き返らせる様なスキルではないかと・・・」

「・・・そうなんですか?」

「ええ、お二人もスキルは、願いにリンクしていることはわかっていると思います。」

「はい。」

「ええ。」

「僕は別に生き返らせたい人がいたとか願ったわけではありませんから。」

「と、いうと?」

「僕はもう、何年も前に、死んでるんです。・・・死んだ時、僕は18歳でした。その短命さを呪いました。だから、僕は願ったんです。“生きたい”って・・・」


 そう、本当に、生きてるだけで儲けもんだと、そう思えた・・・





Another viewing

大人の恋心


 一度亡くなった紅さんの話を、私と芯君は黙って聞いていた。そして、私達の生きている、という、たったそれだけのことを、とても幸福だと思えた。


 芯君も何か思うところがあるのだろう。


 だって、芯君は出会った時からずっと私のために動いて来てくれた。私を一人にしないでいてくれた。それはどこか使命感があって、そして、彼は他者を生かすために生きているようだった。

 ・・・まぁ、それを察っせたから、私は芯君を信じられた訳だけど・・・


 もちろん、そんなこと、彼に言うことなんて、できやしないけど・・・

 だって、私、もう良い歳なのよ!? そんな、そんな青春っぽいことなんて・・・無理っ!!


 ・・・はぁ・・・私がもう少し若かったら、素直に感謝を言えたのかしら・・・


ご閲覧ありがとうございます。ユーキ生物です。


 さて、Desire Game 最終章 (いのち)の章が始まりました。このゲームの結末がどうなるのか、まだ誰にもわかりません・・・まだ、誰にも、わかりません・・・えぇ、まだ、最終話のプロット詰めが終わってません・・・クオリティよりも納期を優先する職業病的なものですハイ。


 6月下旬(次回の更新以降)には忙しさから解放されると思うので、それまではローペースなのをご勘弁下さい。


 次回は6月17日(金)の更新予定です。

 

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