第四話 能力の正しい使い方
第四話
能力の正しい使い方
・・・・・・・・・はっ!!
・・・・・・少し、意識を失っていた・・・・・・
「・・・気が付いた?」
「・・・兄さん・・・」
目の前には反転した兄さんの顔が・・・どうやら兄さんに膝枕されているみたい・・・昔っからよくしてくれたな・・・やっぱり安心する・・・。
「さっきはありがとう、千尋のお陰で助かったよ。」
さっき・・・あ、柚木さんの・・・
「う、うん。兄さんの役に立てたのなら・・・良かった・・・」
・・・・・・本当に良かったのだろうか・・・?
もちろん兄さんを助けられたのは嬉しいけど、本当にあのやり方で、恐怖を武器にしてしまって良かったのだろうか・・・あの時の柚木さんの顔を思い出す・・・流れてくる恐怖と、それでも身体の自由の利かない絶望で染まった様な表情・・・結果だけ見ればよかったのだけど、その過程、いや、私のスキルには疑問が残る・・・
「・・・千尋?どうかした?さっきから浮かない顔してるけど、まだどこか調子でも悪いの?」
「・・・う、ううん、大丈夫」
兄さんに心配されてしまう・・・でも、兄さんなら何かいい解決方法を知ってるかもしれないし・・・
「あの、に、兄さん・・・」
「千尋・・・?」
「兄さんは、私のスキル、どう、思う?」
「どう、って?」
「その、私のスキルって、さっきみたく、きょ、恐怖を武器にするから・・・その、悪い能力なんじゃないかって・・・」
「悪、ね・・・」
「うん・・・」
「悪かどうか、本当のところは僕にもわからないけど、僕はさっきすごく助かったよ。あの状況、僕にはどうすることもできなかったから・・・助けることができた、それじゃあダメなのかな?」
そう、だよね・・・
「それにさ、千尋のスキルは―――――――」
「あらぁ?先客がいらしたみたいねぇ」
突如、部屋のドアが開き、ふんわりとした雰囲気の女性とその後ろに男性が入ってきた。
穏やかな空気と、見たところ武装もしていないので、私達もあまり警戒しないでよさそう・・・
「あなた方は・・・?」
「えっとぉ、私は桃山 真白って言います~こっちの人は森山 樹君、折角ですしぃ、お互いの持ってる情報を交換しませんかぁ?」
桃山さんがそう言って交渉を持ちかける、一応私の手には拳銃があるのに、この警戒心のなさ、よほど自信があるのか、頭が弱いのか・・・いや、この人の話し方は演技だと感じる・・・言葉の奥に強かさがチラチラ見える・・・きっとすごいスキルを持っているのだろう・・・
「・・・・・・そうですね・・・いいですよ。僕は―――――」
兄さんが私たちの情報を伝え、代わりに二人の情報を得る・・・
ただ、その際、森山さんのミッションで必要な水瓶座の人・・・柚木さんのことには兄さんは触れなかった。
それと、真白さんのスキルは未来視と、やっぱり強力なものだった。そして、兄さんはこの二人とも協力関係を結んでいた。
・・・一番強かなのはやっぱり兄さんみたい・・・
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
真白さんに私達の願いを教えた後に、私は森山さんと二人でいる・・・兄さんと真白さんが今地図の複写と物資の情報の交換をしてるから、私たちは待機・・・気まずい・・・というか、無理・・・人見知りの私が初対面の男の人となんて・・・
「・・・ね、ねぇ、千尋ちゃん」
「・・・はい・・・」
それに、柚木さんのことを言うべきか言わないべきか、この人といると罪悪感が・・・
「俺、不安なんだ・・・もう参加者の半分以上の情報にあったのに水瓶座のことを誰も知らないのが・・・このまま見つけることすらできないんじゃないかって・・・」
うっ・・・そう言われると・・・
でも、今、水瓶座の人のことを話したら、森山さんはきっと絶望で動けなくなってしまう・・・あの時の柚木さんの様に・・・きっと兄さんは彼を絶望に落とさないようにと気を遣ったのかな・・・だったら私も・・・
「あ、あの・・・わ、私・・・兄さんに会えて、少し安心できたの・・・こ、こんな状況だけど、大丈夫って思えた・・・その、も、森山さんが、望む状況は、わ、私には作れないけど、少しだけ、気持ちの
、お、お裾分け・・・」
そう言って、私は森山さんに触れる。私の感情転移で少しだけ安心感を与えられるように・・・
「・・・・・・うん、お陰で、少し、落ち着いたよ・・・ありがとう・・・」
「・・・うんっ」
よかった、私のスキルには、こういう使い方もできるんだ・・・もしかしたら、二人が来る前、兄さんが私に伝えようとしたのはこういうことだったのかも・・・
私の能力は、人を幸せにもできる・・・
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兄の苦悩
僕と真白さんでマップをコピーする、そのために千尋とは会話ができない距離を置いたが、それには別の理由がある。
・・・ゲームが始まってずっと引っかかっていることを桃山さんに相談するためだ。
「桃山さん、少し、いいですか?」
「?何かしらぁ?」
「僕のミッションについて、桃山さんの見解をお聞きしたくて・・・」
「利彦さんのミッション・・・天秤座のスマホの破壊、よね?」
「ええ、天秤座、つまりは千尋のスマホを壊すことが僕が生きて帰るために必要なことです。でも、このスマホはこのゲームにおける個人そのものに等しい気がするんです。これがゲームの参加証明の様な・・・」
「うん、確かに・・・」
「もし、そうだとすると、僕のミッションは『天秤座の殺害』と同義ではないのかと考えられませんか?」
だとしたら、僕達は二人で生きて帰ることができない・・・
「絶対大丈夫、なんて言えないけど、私には、うっすらとだけど、二人が笑いあっている未来が視えるわ」
笑い合う未来・・・僕たちは今までそうやって幸福ことがあっただろうか・・・
「桃山さん・・・それは―――」
「おっと、詮索は野暮ってモノよ」
「・・・そうですね・・・それと、やっぱり桃山さん、キャラ作ってたんですね。」
「うっ・・・」
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生きている実感
芯さんと僕は三階のマップ作製をする・・・さっき部屋を出る前の千尋ちゃん、少しぼーっとしてたから心配だけど、僕らにできることはやはりこの地図を作ることだから・・・
あの兄妹、どうも気になるんだよな・・・というより、このゲームの参加者の気が知れない、命を懸ける願いなんてあまりにも・・・
とりあえず、この芯さんにでも聞いてみるか・・・
「芯さんはどうしてこのゲームに参加したんですか・・・?」
「ん・・・えっと、過去の失敗を悔いて、自分を変えたいって思ったからかな?」
「それは、命を懸けるほどのものなんですか?」
「どうだろう・・・でも、贖罪、という意味も込めて、って面もあるんだよね・・・」
「そうですか・・・」
やはり、人は生命を軽視する・・・そりゃそうか、死んだことがないのだから、生きるとは何か比較ができないから・・・
「そういう紅さんは・・・?」
「僕は――――――」
ズガアァァァァンッ!!
自分の過去を見ていて注意力が散漫だった・・・明らかな不覚・・・僕は腹部を射抜かれていた・・・
「紅さん!!」
ズガアァァァァンッ!!
あぁ・・・やっぱり、死と生の間にいるときが、一番生きてるって感じるよ・・・
今回のあとがきは後日編集で書き足します。ホント申し訳ナス。
次回の更新は4月28日20時を予定しております。
追記
・・・社会のしがらみってツラいよね、ってしみじみ思ったユーキ生物です。
先程は失礼しました。
社会のしがらみとは、上司とか先輩とか同僚とかに捕まって真面目な話、相談をさせられてました。
さて、別にこんなところで愚痴る気はないのですが、せっかく三時間拘束されて話題を得たので使わない手はないかな、と。
私が先程まで拘束されていた人間関係、まさに「絆」だな、と思いました。なんでも、「絆」とは美談になるような繋がりだけでなく、そういった切りたくても切れないしがらみなんかも含めて「絆」っていうらしいですね。
思わず「絆の章」を作りたくなるような話題でして、ご紹介を・・・
まぁ、私は上司も先輩も同僚も尊敬して、それなりに好きなんで、繋がりを切りたいとは思いませんけどね。
そんな感じの豆知識を交えて今回の後書きはお茶を濁していただければと・・・何卒!!
繰返しになりますが、次回は4月28日20時更新予定です。




