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Desire Game   作者: ユーキ生物
記憶の章
24/39

第六話 悪寒

第六話

悪寒おかん


 ―――気が付いたら俺は嘔吐物ゲロ塗れだった。


「・・・俺、消化されるの?」

「ホンットにごめんなさい!!」

「いや、でも、蜜柑に吸収されるならいいか・・・」

「全然良くないわよ!いくらなんでも引くわよそれは!」

「でも、俺は吸収されるの賛成派閥だし・・・」

「そんな派閥あるの!?」

「それに、こういう形で一つになるというのも、なかなかオツなものかと・・・」

「・・・一理あるわね・・・」

「あるんですか!? ・・・もうヤダこのバカップル・・・」


 利彦さんが呆れていた・・・


「あ、レーダー・・・三人組が近くに来てるみたい・・・」


 もう、この流れでやることは決まっている。俺たちに他の参加者と接触をしない理由はないから。

 俺はセーブを行う。もしものことがあっても取り返しのつくように。


「相手は三人で徒党を組んでますから穏便に行くのではないかと・・・」

「そうですね。とりあえず攻撃の姿勢はとらない方がいいですよね。」

「ええ、もし会話に応じてくれるようなら、僕のスキルで何とでもできますから。」


 そして、その三人が目の前に現れる・・・



「えっ!?なんでゲロ塗れなの!?」

「・・・まぁ、そう思いますよね・・・」


 相手方の第一声は俺の身体にかかった嘔吐物ゲロについてのツッコミだった。


「ま、まぁ、これには深い事情があるんです。」

「あら、そうでしたか~」


 会話に応じるリーダーっぽい女性はほんわかとしている・・・なんか二次元キャラみたいな・・・キャラ作り?


「そんなことよりお嬢さん、こんな武器ものを持っていては、話し合いがスムーズにいきませんよ。」

「え

「・・・へっ!?」


 蜜柑の銃が相手の男性の手の中にあった。

 いつの間に!?


「大丈夫ですよ。僕たちは争う気はありませんから。話し合いにこのようなものがると困るんです。僕らは遠距離武器を持っていませんから。」


 男性が話を続ける・・・今の、この人のスキルか?


「・・・その身のこなし、どこで?」

「おや?あなたには見えていたんですか・・・僕もまだまだのようですね・・・」


 利彦さんが男性に尋ねる。・・・俺には状況が一切理解できないんだが・・・


「申し遅れました。僕は秋山あきやま こうと申します。」

「これはこれは、僕は米山よねやま 利彦としひこといいます。・・・秋山さんは底層区画スラムの出身で?」

「いいえ。僕は普通の家庭で過ごしました。」

「ですけど、今の身のこなしは、底層区画スラムでのスリの動きでしたよ・・・」

「そうでしたか・・・でも、本当に底層区画スラムとは縁がありません。ただ、人の手にあるものを回収しようと思って、最適な動きをしただけです。」

「・・・・・・。」


 底層区画スラム・・・俺には縁のないところだな・・・もしかして、利彦さんって・・・


「あの~私からお願いがあるんですけど~いいですか~?」

「え?あ、すみません。大丈夫です。」

「はい~。私は桃山ももやま 真白ましろと言って、このゲームでは乙女座を割り振られてます。・・・そのミッションで、皆さんの願いを知りたいのですけど・・・お願いできますでしょうか?」

「・・・そのくらいでしたら、樹さんと蜜柑さんもいいですよね?」


 確認を取る利彦さんに俺たちは同意する。


「こちらは構いません。ただ、交換条件というわけでもないのですが、こちらもミッションに協力していただきたい。」

「はい~大丈夫です~」


 これは、利彦さんのスキルなのか?

 詳しくはわからないけども、相手はこちらの条件の中身を知らずに同意した・・・。可能性としては十分にあり得る。


「では先に、僕らの方から・・・まず、皆さんの星座を教えてください。」


 これは・・・間違いない、スキルを発動している。今まで主導権の探り合いみたいな感じだったけど、今は完全に、理不尽なほどに利彦さんが主導している・・・


「はい~、私は、先ほども言った通り、乙女座で―――」

「僕、秋山は蟹座―――」

「・・・俺は火口ひぐち そう・・・獅子座・・・」


 後ろで地味にしていた男、火口さんが初めて発言した・・・

 そして、利彦さんが探していた天秤座は彼らの中にはいなかった・・・


「・・・そう、ですか。では、次に、蜜柑ちゃんのミッションに協力してもらいます。みなさん、蜜柑ちゃんの近くで指先に切込みを入れさせてあげてください。」

「「「はい。」」」


 ・・・なんだろう・・・もしかして、利彦さんって敵にするとかなり怖い人かも・・・


 蜜柑が三人に切込みを入れる。・・・すると蜜柑のスマホの残り人数は2人になっていた。


「それでは、次に、僕らの願い、ですよね。僕は――――」


 今度はこちらが願いを教えていった・・・



「―――以上です。」

「はい、ありがとうございました~。」

「ちなみに僕達が来た道を戻ると、蠍座の人がいるかと思います。少し好戦的ですけど、痛手は負わせてあるので、そこまで危険ではないかと。」

「・・・はい。情報ありがとうございます。」

「・・・ところで~、米山さんはぁ、どなたか探しておられるのですか~?」


 ―――――直感的にヤバいと感じた。何がかまではわからないけど、悪寒が走った―――――


「ええ、天秤座の人がミッションに必要なんです―――」

「・・・え・・・天秤座って確か・・・」


 桃山さんが驚いた顔をする・・・


「ええ。既に―――亡くなっています―――」


 火口さんのスマホのアプリを見せらせる。そこには生存者と、死亡者が記されていた・・・

 生存者は、牡羊座・双子座・蟹座・獅子座・乙女座・山羊座・水瓶座・魚座。死亡者は、牡牛座・天秤座・蠍座・射手座。

 蠍座の子が死んでいることもそうだが、既に利彦さんのミッションの達成確率がガクッと下がったことに驚愕した・・・。



 ――――どう声をかけるべきかわからなかった。

 先ほどの三人は天秤座にあってはいないらしい・・・俺たちと別れる際にそう告げた。そして、射手座の人は男性だったとも、亡くなっているところをスマホを回収に行った、とのことだった。


 一つ、可能性が生まれた。・・・俺らが一階の階段で、蠍座の子に撃たれた少女だ。彼女の星座は確認することができなかったから・・・50%の確率で蜜柑ちゃんがとどめを刺したこと、そしてスマホを回収しなかった俺らに責任がある、といえるかもしれない・・・


 気まずい空気が流れる・・・


 階段の時まで戻るか・・・いや、そうしたらまた蠍座の子とやり合わなければならない。それに、こっちが勝った事実を相手のアプリで知られてしまう可能性もある・・・となると、また勝てるのか、という懸念がどうしても生まれる・・・


 どうすればいいのだろう・・・


 利彦さんは、今、何を思っているのだろうか・・・


 俺はこの人が怖くて、何もできなかった・・・




Another viewing

意識防御


 私たちは先ほどの三人組と別れた。・・・あの米山さんという男性・・・何かヤバいスキルを持っていたみたいね・・・どうして会話の主導権が握られてしまったのだろう・・・

 それはそれとして、私たちは今、さっきの情報で得られた蠍座のもとへ向かっていた。


「私のミッションのためにぃ、付き合わせちゃって、ごめんね~」


 穏やかなキャラを作って接する。害がないって思わせるためについた嘘だけど・・・


「いいんですよ。僕は桃山さんのスキルをあてにしてますから」

「俺は、スマホを多く持って入れば、いざというときの保険になるから・・・」


 紅君も蒼君も文句ひとつ言わない・・・優しい人たちね・・・


 ―――――!? 前方から二人組が来る未来が視えた・・・その二人組・・・何か口論でもしているようだった・・・


「二人とも、前から来るわよ」


 緊張が走る・・・


 その二人の人影が近付いた時、片方の、男性と思わしき人の声が聞こえた。


「誰かいるのか!?助けてくれ!!この人に操られて、自由に動けないんだ!!」


 さらに近付いてきて、その姿が鮮明に見えた。二十歳くらいの男性とそれより少し年上のようなスーツを着ている女性・・・男性の身体の動きは確かにぎこちなかった・・・


「あら、さっきまでおとなしかったのに、人に会ったと思ったら、いきなり助けを求めちゃうの・・・」

「すみません、失礼ですが、あなた、本当に彼を操っているのですか?」


 紅君が話しかける。・・・それにしても随分とストレートな聴き方・・・

 それと同時に私と蒼君でこの女性を囲む。


「・・・あぁ・・・そんなに私って、信用ないのね・・・いや、やっぱり、私はひとり切りだっただけ・・・」


 なにやらブツブツ言っている・・・奇妙ね・・・

 未来視にも、あまり変化は見られない・・・


「・・・して・・・を・・・くれないの・・・」


 消え入りそうな声でつぶやく女性・・・一人で負のスパイラルに入ってるみたい・・・


「・・・信じてよっ!!」


 突如キレた!私たちは戦闘態勢に・・・あれっ!?おかしい、彼女に向き合って、構えることができない・・・蒼君も、紅君もそのようで、キョトンとしている・・・


「あれ・・・?拘束が、解かれた・・・?」


 操られていた男性が不思議そうな顔をする。どうやら操りの拘束が解けたっぽい・・・けど・・・事態は好転していない・・・!!


 さっきの男性を含んだ4人で女性を囲むが、誰一人として、攻撃をしようともできない・・・これは・・・


「アップデートした私のスキル・・・対象は全人類、操る効果は『私に危害を加えようとすることができない』あなた方はもう、不要だわ・・・・私、独りでいいから・・・」


 ・・・その話を信じるなら、私たちは彼女に攻撃ができない!!私たちのスキルでは、この人は・・・


 ッパンッ!!


 軽い銃声が響き、さっきの男性が倒れる・・・


 私も、紅君も、蒼君も、彼女に近付くことすらできなくなっていた・・・


 ッパンッ!!

 ッパンッ!!

 ッパンッ!!


 乾いた銃声が、3つ鳴った・・・


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