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Desire Game   作者: ユーキ生物
記憶の章
20/39

第二話 ラブロマンスは突然に――――

第二話

ラブロマンスは突然に――――


「・・・・・・っ、ん?」

「おや?樹さん、気が付きましたか?」


 目が覚めたら、目の前に見知らぬ男性がいた。


「え!?誰っ!?つか臭っ!!」


 鼻を刺す酸気のある臭い・・・


「・・・・・・・///」


 えっ!?え?・・・見知らぬ男性と顔を赤らめる蜜柑ちゃん。どういう状況これ?


「あのー。どちら様でしょうか?」

「・・・あぁ!なるほど、本当に記憶が消せるんですね。」


 記憶消されたのか俺・・・


「えー、では改めまして、僕は米山 利彦と申します。星座は双子座、ミッションが天秤座のスマホを破壊すること、スキルは僕が交渉を持ちかけるとどれだけ偏った取引でも成立する、といったものです。樹さんと蜜柑さんと一緒に行動することで天秤座に会い易くなると思い一緒に行動しています。」


 ・・・まったく記憶がない・・・これが記憶を失うってことなのか・・・


「早速ですけど、お二人に進言したいことが・・・」

「え・・・と、利彦さん、そ、そんな畏まらなくていいですよ。」


 ヤバい・・・記憶が無くなる前、どういう接し方していたかわからないから、利彦さんとの距離感が掴みにくい・・・


「・・・それで、進言、というのは?」

「はい、僕のアプリは僕がいるフロアの物資の情報が得られるのですが。その中に武器がいくつかありまして・・・他の参加者が武装していないとも考えにくいですし、僕達もある程度の武器は所持しておくべきかと。蜜柑さんのミッションにも、このボウガンとか役に立ちそうですし。」

「あ、確かにそうかもしれないですね。」


 利彦さんの提案に同意する蜜柑ちゃん・・・まぁ、俺も武装はした方がいいとは思うけど・・・

 利彦さんのアプリにはナイフ、長刀、パチンコ、ボウガン、楊枝等の武器の名前と食料の名前が結構な量書かれていた。・・・シュールストレミングとかまであるのかよ。誰が食べるんだこれ?


「どこにあるとか、そういう情報は・・・ないんですよね。」

「残念ながら・・・」

「そうですか・・・ところで蜜柑ちゃん」

「・・・はい?」

「言ったか言ってないか微妙だから言うけど・・・」

「はい?」

「好きだ」

「・・・・・・へ・・・」

「だから、俺、蜜柑ちゃんが好きだ。」

「そ、そうじゃなくて!何で人前でそ、そんなこと言うのよ!バカッ!信じらんない!デリカシーなし男!」


 ・・・好きな人になら罵倒されるのもアリだな・・・


「・・・聞いてない・・・もうっ!知らない!」


 そっぽむく蜜柑ちゃん。うん、かわえぇ・・・




 ―――――――武器を探しつつ建物を進む。

 建物はコンクリートだらけで所々に金属製のドアがある。無彩色で構成された空間で、雰囲気がどんよりとする・・・その暗い雰囲気に似つかわしくない、かわいい声が発せられる。


「そういえばさっき、あたしのレーダーから三人分のポイントが消えたんだけど・・・」

「・・・死んでしまったか、あるいは・・・」

「別の階に行った?」

「その線が濃厚でしょう。三人も特殊なスキル持ちです、一瞬で全員殺される、何て考えにくい、三人で殺しあったなら一人は残るはずですから。」


 ・・・利彦さんの推測に俺と蜜柑ちゃんは同意する。そして蜜柑ちゃん可愛い・・・


「ん?・・・何です?樹さん?」

「いや、蜜柑ちゃん可愛いなー抱きしめたいなーって」

「・・・・・・。」


 蜜柑ちゃん睨まれる。蜜柑(ロリ)ちゃんのジト目!たまんねぇ!!


「今なんかスゴく嫌な呼ばれ方した気がっ!!」

「気のせいだよロリちゃん」

「アンタって人はっ!!」


「あのー、仲睦まじくしているところ申し訳ないのですが、これからどうしましょうか?」

「仲睦まじくないですけど、利彦さんの言う通り早く行動しないと」

「階段か死体かはわかんなくても行かない手はないでしょ?蜜柑ちゃんのミッションは全員に接触しなきゃいけないんだから」

「そうですね。では、武器を探しつつ先程のレーダーが消えた方へ進む、ということでよろしいですか?」

「はい。」


 ということで、俺らはその進路を取った。



「あ、これじゃないですか?ほら、ボウガンありましたよ。」


 目的地につくより先に武器の方が見つかった。


「この弓みたいな銃ですか?スミマセン、あたし武器とか詳しくないので・・・」

「そうだね、利彦さんの持っているのがボウガンっていう武器。」

「あたしでも扱えるのでしょうか?」

「どうだろう?ボウガンに限らず射撃という意味で、そんなに簡単じゃないんじゃ?」

「とはいっても、少なくともこの階のまともな長距離武器はこれだけですから、我慢してください。」


 蜜柑ちゃんはとりあえずといった形でボウガンを武装する。

 後はナイフが見つかったのでそれも。


「・・・結構重いですね。」

「まぁ、金属だし、仕方がないよ。俺も持ってあげて、お礼に蜜柑ちゃんからチューされたいけど、それじゃあ一瞬のチャンスを逃しかねないから・・・わかっておくれ、マイハニー」

「キスはどのみちしませんけど、そういう理由があったことはわかりました。お気持ちだけ受けと―――――やっぱり気持ちも重そうなのでやめておきます。」

「上手い!武器が重いと俺の気持ちが重いってかけたんだね!面白い!」

「そんな解説いりませんよ!しかも別にかけてないですし!」

「それじゃあ、折角ですし、そのナイフで僕を切っておきましょう。」

「何が折角何ですか利彦さん!?」

「いや、ミッション進めようかと・・・」

「そうだぞ蜜柑ちゃん、利彦さんは蜜柑ちゃんと違って切り刻まれる趣味はないんだ。一緒にしないであげて。」

「別にあたしだってそんな趣味無いわよ!」

「あ、あんまり興奮しないでもらえます?さすがに刃物向けられて叫ばれると僕も怖さを感じます・・・」

「え?あ、ごめんなさい!」


 そういうことで蜜柑ちゃんは利彦さんを傷物にし――――


「ちょっと切っただけ!!」


 ネコが引っ掻いたような傷をつけ、ミッションの残りの数が8になった。

 武器も手に入れ、俺たちはガスの進行も気になり出したので先を急ぐことにした。


「もうすぐでさっきの場所です。」

「さて、階段か、死体か・・・」

「樹さんは楽しそうですね?僕は結構臆病者なので少し気が引けるのですけど・・・」

「んー、楽しいというか、まだこのゲームが現実で起こってるっていう実感がないんですよね。」

「・・・あれ?・・・近くにもう一人、と少し離れた所にもう一人いますね。二人とも多分同じ方へ向かっているみたいです。」

「・・・どのみち全員に会うのだから、好都合、と考えましょう。」


 目的の場所は階段だった。そのことに安堵して、反対の道を見ると、レーダーに映っていた近い方の人影が見えた、その時―――――


 ズガアアアァァァンッ!!


 轟音が鳴り響き、その人影が倒れた。


 俺は慌ててセーブする。


「っ!!」

「くっ・・・!」


 人影にナイフを構えて近付く蜜柑ちゃん、その場で動けずにいる利彦さん。

 俺は判断に困るが、蜜柑ちゃんを追う。そこまでの速さではなかったからすぐに追い付いた――――


「蜜柑ちゃん、ボウガンを!」

「んっ!」


 蜜柑ちゃんからボウガンを受けとる。

 あの倒れた人影は恐らく遠くから撃たれたのだろう。だとすると、その場に行っては俺たちも撃たれる。だから俺は蜜柑ちゃんが倒れた人に傷を付ける間だけでいいから時間を稼ぐために、ボウガンでの牽制を行うことを決めた。


 倒れていたのは蜜柑ちゃん位の少女で、その床は彼女の血で染まっていた。その場を確認する、倒れている場所はT字路になっていた、ということは――――――――


 俺はボウガンをもう一人がいるであろう方向に向ける


 ズガアアアァァァンッ!!


 響いたのはボウガンを撃った音ではなかった。


 俺の腹部が熱くなる。


 ・・・俺が、撃た・・・れた・・・?


 意識が薄くなって・・・


 ・・・・・・・・・・・・・・


 ・・・・・・・・・


 ・・・



 まだだっ!!まだゲームを終わるには早すぎる!!

 俺はスマホを手に取り、ロードするっ!

 



 ―――――――ロードした先では、蜜柑ちゃんが少女に向かって駆け出していたところだった。俺は蜜柑ちゃんを追う。


「蜜柑!行っちゃダメだ!まだ彼女を撃ったヤツが待ち構えてる!」

「え!?で、でもそれだとミッションが・・・!」

「ボウガンだ、もうどのみち彼女は助からない!悪いとは思うけどボウガンで撃つんだ!」


 蜜柑ちゃんの脚が止まる。そして数瞬葛藤し、ボウガンを構えた。


「――――――――ごめんね―――」


 カシュッ!


 静かな音で矢は飛んで行き、少女に命中した。

 目的を達成した俺らは狙撃手が来る前にと急いで階段へ戻り、利彦さんと合流して、上の階へと向かった。




「・・・うっ・・・ひぐっ・・・あ、あたし・・・ひ、人を、殺、しちゃった・・・・っ・・・!!」


 二階に辿り付き、一安心した時、蜜柑ちゃんが人を殺してしまったという自責の念に駆られ、泣き出してしまった。そりゃそうだ、ゲーム内で法は適用されなくても、自分が人を殺した、その事実は違法とか合法とか関係なくのしかかってくる。

 ・・・蜜柑ちゃんは殺していない、既に少女は手遅れで、致命傷だったのだから、蜜柑ちゃんの矢は関係ない、実際そうなのだけど、それを伝えたところで意味はないのだろう。人に矢を放ち、それが当たった、そしてそれは故意にやったこと、自分を責めるには十分過ぎるだろう。


 ・・・ダメだな俺は・・・かける言葉が見つからない・・・目の前で好きな少女がこんなにも苦しんでいるのに、何もできない・・・


 ・・・本当に何もできないのか・・・?


「―――――っ!! ・・・・・・ん・・・・・・」


 蜜柑ちゃんが驚く、が、すぐに落ち着いてくれた。

 どうしてこんなことをしたのだろうか?こうすることで蜜柑ちゃんに何か影響を与えられるのか?そんなことはわからなかったけど、思わず、俺は蜜柑ちゃんを抱きしめていた・・・

 

 落ち着いた蜜柑ちゃんは俺の腕で涙をぬぐ


 冷静になって現状を把握し始めたのか、頬を赤く染め




「オエエェェェェェッ!」


 吐いた。俺の腕の中で。


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