第一話 残念な二人
御覧閲ありがとうございます。
第三章になります。
心の章、嘘の章とはうってかわってギャグテイストでお送りします。どうかアホな私らに呆れずにお付き合いいただけたらと思います。
それでは、Desire Game 第三章 記憶の章 はじまります。
―――――――――はっはっは!やはり―――君は天才だなぁ!我々も出資してよかったよ!
―――――――――正しく、こんなに愉しいイベントは金だけじゃ手に入らんからなぁ!
――――――――さっきの二人一気に撃ち抜いたのには年甲斐もなくドキドキしてしまったわい!!
――――――――私はその前のガスで死んだ女!あのもがく姿は永久保存したいわ!
――――――――この時間を操作するマシン、実に素晴らしい!是非とも我が社にも作って頂きたいですなぁ!!
・・・・・・老獪共の下品な笑い声が聞こえる・・・こんな賛辞は欲しくなかった・・・どうして人が必死に生きようとして、そして死んでいく様を見て笑っていられるのだろうか・・・この開場に流れている映像はドラマでも何でもないのに・・・
・・・とはいえ、お金がなければ僕の願いは叶わないから、従うしかないのだけど・・・そしてまた、僕は時間を操作する。さっきとは違うゲームをこの老獪共に提供するために――――――――――
Desire Game
記憶の章
第一話
残念な二人
・・・・・・ハッ!!・・・ん?・・・どうやら寝てしまっていたようだ・・・・・・というより、ここは、どこだろう・・・俺の記憶を辿ってもこんな一面コンクリートの場所は知らないはずなんだが・・・。
なにやら小さな部屋に入れられている。部屋には高級そうなベッドと、スマホが一つ。とはいえこれは俺のスマホとは機種が違う・・・。どういうことだ・・・?
確か俺は家でいつも通りゲームに明け暮れていたはずなのに・・・ホント現実って理解不能・・・。
それとも、アレか?ついに夢叶って二次元の住人になれたのか・・・?
・・・まさかね。・・・とりあえず枕元に置かれていたスマホをいじる。枕元にあるんだからサンタクロースからのプレゼント的なヤツだろうし。
スマホの画面にはなんか神聖な感じで描かれた頭から半分がヤギで、尻尾から半分が魚の絵。・・・キメラ?
よくわからない・・・何か宗教的なヤツなのかな・・・・・・とかいじっていると、画面が変わった。・・・そこには文字がいっぱい書いてあった・・・読むのめんどくさっ!
山羊座
名前:森村 樹
年齢:22
性別:男
願い:ずっと遊び続けたい
スキル:電人化
ミッション:水瓶座を生かして目的地に辿り付くこと
アプリ:自分のスマホを犠牲に一機スマホを使えなくさせる。
・・・山羊座?・・・俺は確かに山羊座だけど・・・どういうことだろう・・・ミッションとか・・・
ん?何か他の画面もある・・・セーブと、ロード?ゲームなのかな?やっぱり願いが叶ってゲームの世界で一生遊んでいられるのかな!?それなら願ったり叶ったりなんだけど・・・
「全員準備ができた様なので、説明を始める。」
突如スマホから声が発せられる。そしてそれから、スマホを通しゲームの説明が行われた。どうやら俺はゲームの参加者として拐われたようだった。・・・ナニコレ?現実にこんなことがあるのか?
・・・まぁ、ゲームというくらいなんだから楽しまなきゃ損だよな。俺は山羊座が割り振られて、水瓶座をクリアさせればいいのか・・・
・・・ゲームを始める前に、スキルとやらの確認をしておこう。・・・電人化、セーブ、ロード・・・まぁ、そういうことだよな。説明書読まなくてもいい世代でよかったと思う瞬間。・・・とりあえずセーブをタップする。セーブ可能のデータ数は・・・無限にできそうだ。小まめにセーブしよう。今現状をセーブする。すると、データの一つに「開始後15分」と記録が残った。そして・・・
「ふぁあああああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!ぅごうふっ!!」
とりあえず全力で壁にぶつかってみた。超痛ぇ・・・でも!・・・俺はロードからさっきの「開始後15分」をタップする―――――――
―――――痛みは消え、立っている位置すら変わって完全に、いや、記憶は引き継げているから完全ではないが、こちらの都合よく巻き戻されていた。・・・これは・・・たまらない!もはや不老不死ともいえるこのスキル!ゲームで負ける要素ないじゃないか!俺はこのスキルに自信を持ってゲームに参加できる。楽しいゲームになってきた!
調子に乗って俺は部屋から勢いよく飛び出す!ドアを開け放ち―――――
「びゃぶっ!!!」
・・・開いたドアの先に人がいたらしく、その人にドアが強打した。というより俺がドアを叩きつけた形になる・・・
「だっ!大丈夫ですか!?」
「ひゃ・・・ひゃい、らいりょうふれふ・・・」
鼻血を流しながら答える女の子・・・全然大丈夫そうじゃ・・・というより、この女の子・・・小柄で、とっても可愛いんですけど!!
「お嬢さん!」
「へ?ひゃい?」
「一目見てあなたが好きになってしまいました!」
「・・・へ?」
「俺と、恋人になってください!!」
それは反射的に出た言葉、それくらい彼女が魅力的だった。俺は今まで愛の告白とかしたことなかったけど、運命を感じたら案外すんなり出てくるもんなんだな。
そうして、俺のラブロマンスはコンクリートしかない空間で、告白相手にドアを強打して、相手は鼻血を流している中で始まった・・・。
「・・・ところで、あなたは・・・?」
「おっと失礼、俺としたことが君があまりに魅力的だったもので名乗るのを忘れてしまった。Sorry・・・」
「・・・え?なんて?」
「お婆ちゃん!耳遠い!」
「えっと、聞こえてたんですけど・・・言ってる意味が・・・英語、ですか?」
「ただのおバカさんだったー!!アチャー!」
「ホント何なのこの鬱陶しさ!」
「それで俺は・・・」
「あたしは無視なの!?数秒前にあ、愛のこ、告白をしておいて・・・・」
「俺は山羊座の森山 樹」
「あ、はい。進めるんですね。」
「麗しの君、お名前を伺ってもよろしいですか?」
「人の話を聞かないってよく言われません?」
「ヒトノー・華・シォキカナィ?海外の方でしたか。」
「何なの!?ツッコミ待ちなの!?ボケてるんでしょ!?」
「いやぁバレましたか。やっぱ告白の後って照れ臭くて、どうやって間を持たせたらいいか困っちゃいますから・・・」
「面倒な照れ隠しですねぇ!?・・・あたしは、水瓶座の柚木 蜜柑っていいます。これで満足ですか?」
「み・・・み、みず・・・」
「ミミズ?失礼な!?蜜柑です!!」
「水瓶座!?もうこれは運命としか思えない!!」
まさかいきなりミッションのために必要な水瓶座に出会えるとは!しかもこんなに可愛い子とか!
俺は感極まって蜜柑ちゃんを抱き締める。うん、感極まってだよ。下心とか全然・・・あぁ!柔らかくて暖かい!!スゲー良い匂いするし―――――――
その瞬間、俺の何かが弾けた気がした・・・・・・
―――――目の前には顔を赤らめた見知らぬ少女が・・・
「お嬢さん!一目見て心奪われてしまいました!俺と恋人になって下さい!!」
あまりに魅力的だったので、突発的に愛の告白をしてしまった。
「もーっ!!」
何か怒ったように僕に触れる少女―――――
また、俺の中の何かが弾ける・・・
―――――目の前には顔を赤らめた見知らぬ少女が・・・
「お嬢さん!一目見て心奪われてしまいました!俺と恋人になって下さい!!」
あまりに魅力的だったので、突発的に愛の告白をしてしまった。
「何で何回やっても惚れるのよ!」
・・・何回も?俺は生まれて始めて愛の告白をしてるはずなんだけど・・・
「あたしは水瓶座の柚木 蜜柑、スキルは触れた相手の記憶を消す事ができるの。それで、あなたがあまりにも恥ずかしいことするものだから、何回か記憶を消したの。」
あぁ、それで・・・
「ということは、俺は何度記憶を消されても、蜜柑ちゃんに惚れていた、と?」
「え、えぇ、まぁ。」
「俺の本気が伝わったかな!?」
「ま、まぁ。それなりに。・・・それより樹さんのミッションは・・・?」
「え?俺まだ話してなかったの?」
「何か私の星座を聞いたら急に抱きついてきて・・・」
「いきなり女の子に抱き付くとかとんだ変態野郎だな!」
「あなたですよ。あなた。」
「なんか今の『あなた』って新婚っぽくていいな!」
「もう、まともに会話させてぇ!!」
蜜柑ちゃんはイジっても可愛い。
「俺のミッションの前に、蜜柑ちゃんのミッションは?」
「・・・その・・・えっと、大変申し上げにくいのですけど・・・『参加者全員に傷をつけること』です。」
「傷をつける・・・」
なかなか厄介なミッションだな・・・刃物持って「傷つけさせてください」なんて言ったところで・・・ねぇ?
「あ、じゃあ、俺の指見て」
「?・・・はい。」
「中指にささくれあるじゃん、取ってみてよ。」
「え、それで、ミッション達成になるわけ・・・」
と、疑いつつも蜜柑ちゃんは俺のささくれを取る。
すると、彼女のスマホには残り9人と表示が変わっていた・・・
「え!?嘘でしょ!?こんなんでいいの!?」
「いいみたいだね。」
「・・・うれしいけど、釈然としない・・・」
このタイミングでなら・・・
「というわけだから、俺と手をつないで回らない?」
「何が『というわけ』なのかわかりませんし、そうするメリットあります?」
「俺が嬉しい。」
「何よりあたしと回ると、きっと樹さんのミッションの邪魔になりますよ。あたしは他の参加者から見たら害を与える存在ですから。」
「そんなことないさ!だって俺のミッションは『水瓶座をクリアさせること』だから!もうこれ運命だよね!このゲーム、二人とも無事だったら、結婚しようか。」
「そういう死亡フラグはやめてください。結婚する気もないですし。」
「・・・・・・・・・。」
「そんな捨てられた子犬みたいな目で見てもダメです。そもそも樹さんみたいな成人男性がそんな目しても大して意味はないですから。」
・・・ツンデレというヤツかな。
「何考えてるかわかりませんけど、たぶん違います。」
「・・・なんでそんなこと言えるの?」
「目がエッチでした。」
「おっと、失礼。蜜柑ちゃんがあまりに可愛かったから」
「・・・はぁ・・・なんでこんな人となのかしら・・・」
可愛い女の子とゲームをできることに俺は歓喜していた。何という幸運だろうか!願いは叶うし、ホント、このゲームに参加できてよかった。
このとき俺は、そう思っていた。
Another viewing
滑り芸
樹さんのささくれを引き抜いたら、ミッションクリアまでの人数が減った。まさか、こんな簡単でいいとか。
「蜜柑ちゃん、蜜柑ちゃん」
「はい、なんでしょう?」
「好きだ!」
「・・・・・・。」
さっきからずっとこの調子・・・私なんかに好意を持ってくれるのは正直嬉しいけど、私には誰にも言えない秘密があるから・・・この気持ちには答えることはできないの・・・
と、私のアプリ「自分と同じフロアにいる人に対するレーダー」を見ると、かなり近くにもう一人いることがわかった。私のミッションは全員に遭遇しなきゃいけないから、そちらへ歩を進める。
ちょっと行くの、レーダーに表れていた人がいた。温和そうな男性だ。でも樹さんと違って真面目そうでもある。
「あの・・・すみません。」
「おや?・・・失礼、いきなりだけど、キミたちの星座を教えてはくれないだろうか?」
「え?あ、はい。あたしは水瓶座で・・・」
「俺は山羊座。」
「・・・そうか、すまない。僕は双子座の米山 利彦と申します。ミッションの関係で天秤座の方を探しているのですけど・・・」
あたしたちは首を振る。・・・というより樹さんはこの人の前ではふざけないのね・・・
「・・・あ、でも、私のアプリは人の位置がわかるんです。天秤座かはわかりませんが、いくらか見つかるのが早くなるかもしれません。よろしければ一緒に行動しませんか?カサブランカ?」
「カサブランカ?」
「あ、いえ、お気になさらず・・・」
突発的なボケは空振りに終わる・・・ヤバい、吐き気がする・・・
「それで?何か見返りが欲しいのかな?」
「見返り・・・まぁ、そう言えるかもしれません。」
「俺の蜜柑ががめつくてすみません。」
「樹さんのものではありませんし、がめついって言わないでください。」
「大丈夫ですよ、僕は別段気にしてません。」
「・・・えっと、あの。あたしのミッションは参加者全員に傷をつけることなんです。でもそれはささくれを取る程度でいいので、協力してほしいんです。」
「・・・いいですよ。そのくらいでしたら。」
「俺思ったんだけど、バナナの皮で転ばせたらミッションクリアになるのかな?」
「何でそんなベタなことしなきゃならないんですか!」
ホントにこの人は・・・ふざけてないと生きられないのかしら?
「そもそもぉ!」
樹さんに真面目にやって欲しくてあたしは彼に詰め寄r――――――
トゥルンッ
あたしの足下にはいつの間にかバナナの皮が――――
ドサッ
あたしは尻餅をついてしまう。
・・・・・・正面には樹さん、尻餅をついたあたし、思いっきり開かれたあたしの脚、あたし、スカート・・・
「Good!!」
樹さんはあたしのパンツをガン見して、親指を立てる・・・
「・・・ィ、イヤアアアァァァッ!!!ウオエエエェェェェッッ!!」
とりあえず、樹さんの記憶を消すために飛び掛かる。その際、あたしの嘔吐物が樹さんに降りかかるけど、そんなことは気にしてられない。
―――――激しく動揺すると、思わず嘔吐してしまう・・・それが、あたしの誰にも言えない秘密――――




