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Desire Game   作者: ユーキ生物
嘘の章
15/39

第四話 嘘と嘘

 ―――――嘘と願いは似ている――――――


 どちらも善とも悪とも言えない。


 他者の不幸や破滅を願うことがあるように、誰かを想いやって吐く嘘もある。



第四話

(うそ)(おもいやり)



「うわあぁぁ!!いやだあああぁぁっ!!」


 コンクリートの空間に男性の悲鳴が響く


「やだやだやだやだああぁぁ!!俺はこのベッドと共に死ぬんだああ!!」


 芯君がベッドから離れない・・・

 そこそこ大人の男性が駄々こねるとか・・・

 なんか、この部屋に来てからの芯君の株の下がり方が半端じゃないわ、ドン引きじゃ言葉が足りないわ・・・


「人生とは何とも儚いものよ・・・あぁ、ベッドよ、俺は君の温もりを忘れない・・・」

「芯さん、布団は熱源を持ってなくて、保温機能しかないからその温もりって、芯さん自身の体温なんですよ。」

「知ってるよ!そういう愛しさと切なさを表現してるだけだよ!誠君はロマンが足りないなぁ!」


 ・・・この男達はいったい何について語っているのか・・・


 私達が部屋を出ると、一人の男性が向かって来ていた。


「おや、はじめて会う人かな?」


 フランクに話しかけられる。私達の中でこういう外交的な役割は芯君が担当となっているため、芯君が対応――――――


 !?


 ―――――その時、私の未来視が危険を告げる。この人は私達にフランクに接し、懐に潜り込んで、殺すつもりなのだと。

 ・・・ただ、今突如危険を告げることで誠君と芯君に危険が及ぶかもしれない。・・・私は誠君に手でサインを送る。もちろん打ち合わせなんてしていないから、何を伝えたいかわからないだろう。でも、何か伝えたい、それさえ解れば、ここはよし。


「あの、私、桃山 真白っていいます。私のミッションは参加者全員の願いを知る、というものなんですけど、協力していただけないでしょうか?」

「え?あぁ、わかった。俺は山羊座の森山 樹ってもんだ。願いはいつまでも遊び続けたいっていう、子供じみたもんだけど、それでいいか?」


 私は自分のスマホの山羊座の文字が変わるのを確認する。そして、誠君に目を配らせる。


「・・・あ、大丈夫みたいです。ありがとうございます。ところで樹さんはどんなミッション何ですか?お礼に何か、協力したいのですが・・・・」


 誠君から嘘を知らせるサインが送られる。・・・私の嘘は報せなくていいのに、まぁ、意図は伝わってるみたいでいいのだけど。


「俺のミッションですか、それは・・・」

「嘘は、吐かなくていいですよ。」

「え?・・・そんな、嘘なんて・・・」

「僕らを殺すつもり何でしょう?」


 誠君、グイグイ行くね・・・


「いえいえ、殺すなんて、そもそも俺のミッションは水瓶座をクリアさせる、というものですし、争う意味が・・・ほら、スマホを見てもらえば嘘じゃないってわかりますから―――」


 そのスマホには


名前:森山 樹

年齢:22

性別:男

願い:いつまでも遊び続けたい

スキル:電人化

ミッション:水瓶座をクリアさせる

アプリ:自分のスマホと相手のスマホを共に機能停止する。


 という表示が・・・嘘、ではないのにどうして誠君は嘘だと・・・

 そんなことより、この森山さんとやら、どうしようか・・・穏便に来られると対応に困るわね・・・


「ほら、嘘なんてついてないでしょう?」


 そう言いつつ誠君に近付く。

 ――――これはさっきの未来視の光景!?


「芯君!!取り押さえて!!」

「!?―――はいっ!」


 誠君に近付く森山さんを芯君が背後から拘束する。誠君に近付く時、ゆっくりだったから間に合った。


「ちょっ!何でこんな!?は、離して下さい!」

「・・・・・・・・・そういうことでしたか・・・」


 何やら芯君は納得したようだった。どういうことかしら・・・


「森山さん、あなたのゲームは、もう終わったんですよ。」

「なっ!」

「どうして水瓶座の()が撃たれたかは俺にもわかりませんが、少なくともこのゲームの参加者は、みんな願いを叶えるために、命というリスクを背負う覚悟をした人達のはずです。彼女もそれは同意しているはずです。」

「なぜそれを・・・」

「・・・俺のスキルは物の心を知るスキルです。本来人の心は知ることが出来ません。」

「じゃあ、なんで・・・」

「定かではありませんが、電人となりつつあるあなたは、もう物なのかもしれません。」

「・・・ははは・・・そうかよ・・・こうやって、復讐だって思ってる時が今までで一番人間っぽいって、生きてるって思ってたのにな・・・なにもしてこなかった俺が、理不尽に初めて歯向かおうって思ったんだから・・・」

「・・・確かにあなたの置かれている状況は理不尽かもしれません。でも、理不尽な目にあっているからって、誰かを不幸にしていい理由にはならない。」

「―――どうして俺ばかりこんな理不尽に―――」


 自分ばかり理不尽にあう、そんな絶望、みんな経験してるわよ。この人は、未熟なのかもしれない――――


――――――――!!


「芯君!!そこから離れ――――――」


 ズガアアァァァン!!


 突如響く銃声、彼方の闇から放たれた弾丸は、森山さんと芯君をまとめて貫いた。


 未来が視えていたのに・・・間に合わなかった・・・


「くっ・・・!!今のは・・・っ!」

「芯さん!!僕に掴まってください!ここから離れますよ!」

「えっ?芯君?撃たれたんじゃ・・・」

「撃たれましたよ・・・超痛ぇけど・・・真白さんの警告のおかげで、何とか動けます・・・」

「真白さん!逃げますから警戒をお願いします!」

「う、うん!」


 芯君は脇腹あたりを撃たれていて、真っ赤に染まっていた。

 私は未来を視る―――――


 ――――そこには、倒れながらもスマホを操作する森山さんの姿、そして―――――


 その先の未来はなかった。どういうことなのか・・・でも、スマホなら・・・私は自らのスマホのアプリを起動する。周囲二メートル以内のスマホの機能を停止させるアプリ。


「二人はさっきの休憩室へ行って!そこで芯君の処置を!」

「・・・わかりました。」


 二人がこの場を去る。私は狙撃手のいる方を見つつ、森村さんに話しかける。


「森村さん、あなたは何をするつもりなんですか?」

「何ってそりゃ、ミスで死んじまったら、セーブポイントから、やり直すに・・・なっ・・・!?」


 森村さんは驚きの表情を示す。

 過去に戻る、だからその先の未来がなかったのね・・・


「あなたのそのスキル、やっぱりスマホが必要なんですね。残念ですが、あなたのスマホの機能は封印させてもらいました。」

「何で、どうして俺ばかり!」

「理不尽に思う?・・・でもね、みんなそれぞれ理不尽な目にあってるのよ。あなただけ、なんてことは、ないの・・・」

「あぁ・・・また、バッドエンドかよ・・・」


 どうやら狙撃手は一発撃ったら移動した様ね。

 私は未来が続くことを確認する―――――


 ―――――そこには――――――


 私は森村さんが息絶えるのを確認して、誠君を追った。



 部屋では誠君が芯君の止血を行っていた、けど、その血は止まる様子を見せない。


「真白さん、大丈夫でしたか?」

「私の方は平気、それよりも、今は芯君の止血に集中しましょう。」

「・・・いいんですよ。二人とも・・・さすがにわかってきました・・・俺は、もう・・・」

「何を言っているの?大丈夫、私の未来視では三人でこの部屋を出るのが視えているわ。気持ちを強く持たないと生きられるものも生きられないわよ。未来は変わるんだから。」

「真白さん・・・そう、ですね・・・ありがとう、ございます・・・」


 そう。そんな未来はなかった。視えたのは、失血死する芯君だった。この未来は私には変えることができない。なら、私にできることは、嘘を吐くこと、ただ、それだけ・・・


「・・・・・・。」


 誠君も察したのか私の嘘を黙っていてくれた。ただ、その表情は複雑なものだった。





Another viewing

スキル監視アプリ


 私は階段にいる男女を狙撃する。・・・だいぶ慣れてきたかな・・・


「残り、七人・・・」


 そのまま階段をあがって行く、その途中、私はアプリを起動する。それはジョーカーとして与えられたアプリではなく、蠍座の私がもともと持っていたアプリ。

 画面には他の参加者がスキルを使用した際に、その結果が記録される。現在最新の情報には・・・電人化によるやり直しが二階発動している・・・あとは・・・交渉のスキル・・・未来視・・・読心・・・さっきから嘘発見のスキルが連発されて邪魔・・・それにしても、このやり直しって厄介ね・・・情報によれば、一回は私の狙撃を受けて、それをやり直しているらしいし・・・早いうちに始末しておきたい・・・。



 ・・・何やら話し声が・・・アプリによれば、未来視が活発に発動している。しかも、その未来にはさっきの電人が絡んでいるらしい。・・・これはチャンスかもしれない。混乱に乗じて仕掛ければ仕留める確率は上がるかもしれないし・・・。


 ライフルのスコープには電人の男と読心の男、そして未来視の女が映る。・・・スマホを確認する。未来視が不定期に発動している・・・でも、私の狙撃の情報までは視えていないみたい。タイミングを見計らえばこの女は仕留められそうね。なら、ここはやり直しの電人の方を優先する。今なら読心の男も一緒にイケそうだし。

 アプリを確認し、引き金を絞る―――――


 轟音が響く、これで私の存在は知られてしまっただろう。未来視の女、殺せない相手ではないけど、奇襲せずに殺せるとも思っていない。ここは何かされる前に退散しとこう。


 それにしても、なんで私のミッション、こんなにハードなのかしら・・・



ご閲覧ありがとうございます。

一次的に更新ペース下げてましたが、次回からもう少し早いペースに戻す予定です。

週2話くらいは頑張りたい所存。

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