第一話 真っ直ぐな人
第二の章です。
ゲームのルールや登場人物は心の章と同じですが、
主観、主人公やストーリー展開は異なります。
初期配置が異なる。くらいに思って下さい。
ですので、ゲームのルール説明はかなり割愛しております。心の章未読の方は読むことをお勧めします。
では、メインテーマである「願い」について考察する第二の章、始まります。
―――――嘘と願いは似ている―――――
どちらも幸と不幸を併せ持つ。
嘘は誰かを騙し、騙された誰かがいる。騙された誰かは善悪問わず自らの考え、計画からは外されてしまい、不利益を被る。
願いは叶った誰かを幸せにし、叶わなかった誰かを不幸にする。
嘘の章
第一話
真っ直ぐな人
「―――――――っ―――――――ん・・・ここは?」
目が覚めると、私は知らない場所にいた。辺り一面コンクリートで作られた小部屋、無駄に高級なベッドに寝かされていた。他には枕元に置かれたスマートホンだけ・・・どういう状況なのだろうか・・・
確か私は・・・弟と妹のお墓参りに行って、帰りに・・・あれ?帰りの車に乗ったことまでは覚えてるけど・・・そこから思い出せない・・・。恐らくその時に何かしらされてここに連れ去られたのかな・・・。
とりあえず、部屋にはドアにある。そのドアに手を掛ける・・・が、鍵がかかっていて開くことはなかった。軟禁というヤツかもしれない。一体誰がこんなこと・・・恨みを買うようなことはなかったと思うけど・・・
スマホがあるってことは、連絡はとれるのかな?とりあえずいじってみよう・・・
と、思った矢先、スマホから声が発せられる。
「全員準備ができた様なので、説明を始める。」
それから、ゲームの説明が行われた。どうやら私はゲームの参加者として拐われたらしい。スマホに私の情報が表示される。背景には乙女座の絵画があった。私のゲームでの星座は乙女座のなのね。
名前:桃山 真白
年齢:25
性別:女
願い:後悔したくない
スキル:近い未来を見ることができる。
ミッション:参加者全員の願いを知る。
アプリ:半径2メートル以内のスマホアプリ機能の封印
未来が見える・・・もし、そんな能力が手に入るのなら願ったり叶ったりだわ。ゲームに参加することを決めて良かったかもしれない。
さて、参加者は私の他に十人、早いところミッションとやらを達成させましょうか・・・
他の参加者がどんなスキルやミッションなのかも気になるところだし、とにかく誰かと会わないと・・・
そう考えていると、ドアの鍵が開いた音か聞こえた。ゲームが始まったらしい。
私はスキルとやらを使ってみる―――――
そこにはコンクリートの廊下があった。恐らくこのドアの先の光景だろう。さらに見ていくと、一人の男性が映った。真面目そうな若い男性。何か話しているが会話の内容まではわからなかった。でも、このまま行けば彼と遭遇できるわけだし、行こう。
私はドアを開ける。そこにはさっき見た一面コンクリートの光景が広がっていた。
デジャヴが頻発している感じてちょっと気持ち悪いわね。
でも、これは私が望んだ通りのスキル。文句は出てこない。
一面コンクリートの通路をさっき予知したルート通りに進む。所々にドアがあったが、未来が変わってしまう可能性を考えると寄り道してる場合じゃない・・・
・・・そもそもこのスキルで見た未来はその後の行動を変えると結果まで変わるのだろうか・・・
そんなことを考えていると、さっきスキルで見た人を見つけた。・・・スキルで見た未来では、普通に話していたし、いきなり殺されたりは・・・しないよね?・・・でも、雰囲気作りはしっかりしとかないと・・・和気藹々(わきあいあい)とね。
「あら~、また会ったわね~。」
「・・・え?・・・あの・・・。」
さすがにまた会ったわないわよね。一昔前の「キミどこかで会ったのよね?」ってナンパじゃあるまいし・・・
「今のはナシで~お願いします~。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
すっごい疑いの視線送られてる!?
「ところで僕はある星座の人を探しているのですけど、貴女の星座は何でしょうか?」
彼の方から質問がくる。今度こそ上手くやらなきゃ・・・
「えっと~、私は~」
「・・・その前に、貴女のそのしゃべり方、普通に戻してもらっても?」
「え!?しゃ、しゃべり方?・・・戻すも何も・・・」
「申し遅れました。僕は射手座の川上 誠といいます。」
「え!?あ、はい。」
「私のスキルは会話の相手が嘘を吐いているとそれがわかる、というものです。・・・それを踏まえた上でお訊きします。貴女の星座は何ですか?」
嘘を見抜くスキル・・・合点がいったわ。私の和ませるしゃべり方も演技・・・つまり嘘だから・・・
「・・・私は桃山 真白と申します。星座は乙女座、星座を答えた代わりじゃないけど、私はミッションとして参加者全員の願いを知らなきゃいけないの、だから川上さんの願いを教えてもらえないかしら?」
「乙女座・・・嘘ではないようですね・・・」
どうやら信じてもらえたようね。
「僕の願いでしたよね。僕の願いは――――――」
――――――――――――!?
突如未来視が降ってくる。その光景にはどこからか撃たれた銃弾と、それに身体を貫かれる川上さんの姿――――
その未来を見た直後私の身体は反射的に川上さんに飛び掛かり、床へと押し倒す。
ガゥゥゥン!!
遠くから銃声がしたと思ったら、さっき見た未来の位置を弾丸が通過する。
どうやら私のスキルはオートで危険を知らせてくれるらしい。
「くっ!誰だ!?姿を表せ!!」
川上さんが銃声のした方へ走り出そうとする。
「待って!行ってどうするの?相手は銃を持っているのよ!」
彼を制止する。追ったところでどうなるかは未来予知を使うまでもない。
「だけどヤツは・・・」
「川上さんの正義感は凄いけど、蛮勇は立派とは言わないわ、あなたもスキルを持って、生きて帰りたいのでしょう?なら冷静に考えなさい。」
「・・・はい。」
どうやら落ち着きを取り戻してくれた様子。この真っ直ぐな感じ・・・あの子を思い出すわね・・・。
「それにしても、桃山さん、さっきの凄かったですね。よく狙撃されるのに気が付きましたね。」
「それは私のスキルよ。・・・とりあえず、ガスもあることだし、上を目指しましょう。詳しい話しは歩きながらでもできるわ。」
「・・・そうですね。」
こうして私たちは共に上の階を目指すことになった。
私はこの真っ直ぐな彼を放っては置けないし、きっと彼もいつ次の狙撃があるかわからない今、私といた方が安全だと考えたのかもしれない。
「さっきのは私のスキルよ。私は近い未来だけだけど、未来が見えるの。」
「未来!?凄いですね!?」
「ところで、川上さんのミッションは?何か協力できるかしら?」
「・・・その前に、恐らく僕の方が年下ですし、敬語は使わなくていいですよ。僕を呼ぶ時もさんとかつけなくてもいいですから」
「あら、そう?・・・でも、女性に向かって貴女の方が年上、ってのはよろしくないわね。」
「えっ!?あ、・・・その、すみません」
「ところで、誠君はいくつなの?」
「僕ですか?僕は21になったところです。」
「あんまり変わんないじゃない!!私25だから普通に同年代じゃない!!何が私の方が年上よ!失礼しちゃうわ!」
「・・・別に怒ってませんね?・・・嘘、わかりますよ。」
「うっ・・・」
まぁ、確かに怒ってないし、怒ったフリして親睦というか、仲良くなろうとしてたのは確かだけど・・・こうもあっさり見透かされるとは・・・。
「・・・まぁ、悪意は感じませんし、いいんですけど。・・・・・・僕のミッションでしたよね。・・・まず僕の正座は射手座です。そのミッションは蠍座を殺害することです。」
―――――――!?
殺害のミッション!私のミッションはやはり穏やかな方だったのね・・・。
「あまり人を殺すなんてことはしたくないのですけど・・・そうしないと僕が死んでしまいますから・・・」
私はこの人に何かできないのかしら・・・ミッションであっても人殺しなんてしたくはないだろうし・・・でも、誠君のミッションには「殺害」と記載されている・・・これは誠君自身が手を下さないといけない、というものだろうし・・・何かできないか、追々考えてみましょう。
・・・でもどうして、こんな風に思うのかしら・・・確かに誠君はあの子に似てるけど・・・
私たちはコンクリートの通路を進んで行く。自らの願いのために・・・
Another viewing
狙撃手
ズガアアァァァンッッ!!
私がライフルの引き金を引き絞ると辺りが轟音で満たされる。耳が痛いが、これも私のミッションの為には必要なことだから・・・
私は二人いた男女の男を先に狙撃した。そして次に女の方を狙撃しようと構えた時、そのスコープには私の弾丸を回避した二人の姿が映った・・・
頭の理解が追いつかない・・・何で!?どうして!?・・・とりあえずこの場は退こう。返討ちに合うかもしれない・・・
私は撤退しつつ自分のスマホを見る。そこにはミッションに「自分以外の参加者の死」と書かれている。何でこんなミッションにあたってしまったのだろうか・・・運がない・・・さっきの二人は少なくとも話し合えるものだったのに・・・まぁ、私もジョーカーアプリとやらを使えば可能なんだろうけど、あまり嘘、というか、コミュニケーションは得意じゃないし・・・
さらに私はアプリを起動させる。ジョーカーではなく、蠍座の元々所持するアプリ。そこには同じ階層にいる人がスキルを使用した際、そのスキルで得られた結果が記録されている。そこには先ほど未来視のスキル所持者が銃弾が飛んでくる未来を見た、ということが記載されていた。
未来視・・・狙撃手の私としては相性最悪といえる相手だろう。とりあえず策を考えないと・・・あの二人は後回しにしよう・・・。
そうしているうちに、別の二人組を見つけた。さっきとは人が違うのを確認。この二人も男女のペアだった。
早い段階で頭数を減らしておかないと後で大変になるし・・・そう思い私はライフルを構える。
男の方が歳が上のようだし、できる顔をしている。先に厄介になりそうな方から始末するべきだろう。
私は男に照準を合わせる。距離もかなり離れているし、スキルなしにこれに気付くことは不可能だろう。私はさっきの未来視のようなスキルがないことを祈りつつ引き金を引いた。
轟音と共に一つの命が散った。女の方が動揺する。その手にはナイフが握られている。
そんな武器しかないのかな・・・?
スキルを使われる前に女の方も・・・
「・・・残り・・・九人・・・」




