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Desire Game   作者: ユーキ生物
心の章
1/39

第一話 願いを勝ち取るゲーム

初投稿・初小説です。

サイトの扱いもまだまだ不慣れでシステム理解が及んでいない点あるかと思いますが、温かく見守っていただければと思います。

暇潰しにでも読んでいただければ幸いです。


感想・誤字等のご意見、いただければ幸いです。

ー何を欲するー


「・・・他者の気持ちを、心を知りたい。」




ー何を欲するー


「・・・・・・・・・想いを、まっすぐ伝えたい。」




ー何を欲するー


「・・・揺るぎない味方が欲しい。」




ー何を欲するー


「・・・人生に意味を、無色な生涯に色を着けたい。」




ー何を欲するー


「平等な、理不尽のない世界」




ー何を欲するー


「・・・逃げたい。何もかもから・・・」




ー何を欲するー


「失敗に負けない、恐れない強い人になりたいっ!」




ー何を欲するー


「・・・いつまでも遊び続けたい。」




ー何を欲するー


「人を信じたい。」




ー何を欲するー


「・・・後悔したくない、もう、失いたくない。」







ー何を欲するー








「生きたい」









第一話

 願いを勝ち取るゲーム



「・・・っ・・・う、うん?」


 いつから眠っていたのだろう、随分と寝ていた気がする。そのお陰か身体は軽い、昼は大学、夜と土日はバイトと毎日休みなく働き続けてたからちょうどいい休息になったのかも、睡眠って大事なんだと改めて感じた。それにしてもすこぶる身体の調子がいい、布団がいつもと違ってかなり高級そうなものだからか、高価なだけあって安眠性能は・・・


「いつまで眠りに関して考えてるんだよ。早く起きろよみんな待ってるんだぞ。」


 枕元にあったスマートフォンから声が聞こえる。・・・誰の声だ?


「・・・えっと、スマホさん、どちら様でしょうか?」

「スマホさんって何だよ、いつまで寝てるんだよ、早く起きろよ。」


 スマホさんに急かされ身体を起こす。うぉ!マジで身体が超楽になってる!肩こりとか目の疲れもない!どうしちゃったの俺!?


「あんたの身体のことはどうでもいいから、自分がどこにいるかわからなくて動揺するのはわかるけど、そろそろ現実見ようぜ」


 ・・・スマホに説教された・・・最近の技術は人間を越えたな。

 ・・・それはさておき、周囲を見渡してみるとホントここどこだかわからん。壁はコンクリートの四畳程度の小部屋、そして無機質な部屋に似合わない高級そうなベッド、このベッドのお陰で疲れが・・・・


「・・・」


 ・・・なんかスマホから無言の圧力を感じたのでベッドは見なかったことにする。最近のスマホは圧力的なものまで発するとは・・・。

 他に部屋にあるものはこのスマホ、俺が持っていた物とは機種が違う。しかもなんかしゃべる。

 扉もあるので開けようとするが鍵がかかっていて開かない。閉じ込められた状況・・・


「・・・これって俺、拉致られた!?」

「ようやく自分が置かれた状況に気付いたか」


 ・・・スマホのくせに偉そうな態度・・・


「スマホさん、お前この状況について知ってることはないのか?」

「もちろん知っている。全員の準備ができたら説明してやるからもう少し待っていろ。」


 ・・・どんどん態度が偉そうになっていく・・・人間様の威厳を見せるべきか・・・俺はスマホを手に取り叩きつけようと振りかぶ・・・


「おとなしく指示に従えば、生きて帰る方法はいくらでもある、賢明な対応を期待する。」

「ハイ、ワタシ、オトナシクシテル」


 人間様の威厳崩壊

 とはいえ、こう何もない部屋で何をして待つべきか・・・


「ペギョルプアァァ!!」

「・・・」


 とりあえず奇声を発してみたけど、スマホからのリアクションはない・・・



 そもそも俺はいつ拉致られたんだっけ?記憶を辿ってみる。確か俺、灰上(ハイガミ) (シン)は大学で講義を受けていたはず・・・ただ、だんだん眠くなって学習効率のために仮眠を・・・



「居眠りするんじゃなかったー!」


 マジかよ、居眠りしたら拉致られるって、犯罪はどこに転がってるかわからんな・・・


「全員準備ができた様なので説明を開始する。」


 ・・・スマホさん、かなり他人行儀になってしまった。時間の経過というものは恐ろしい。


「君たちにはゲームをしてもらう、そのために拐われてもらった。」


 ・・・やっぱり拐われたらしい


「もちろん命の保証はしない、だが君たちにもゲームに参加するメリットがある。きっと参加したくなるだろう。・・・君たちから事前に願いを聴いている、拐っている際に聴いたから君たちの記憶は曖昧だろうがね。」


 ・・・なんかそんな記憶あるような、ないような気がする。デジャヴュ的な。


「ゲームに参加すれば、その願い、叶えよう。」


 !?


 願いを叶える・・・本当にあれを?現実ではあり得ない、そういう類の力をくれると言うのか。


「尤も、ゲームをクリアしなければ元の世界には帰れないが、決して悪い条件ではないと思うが、どうかね。参加の意志があればスマホにある参加の文字をタップし、参加の意志がないのなら、不参加をタップしなさい。不参加の場合は人体実験の材料となってもらうがね。」


 ・・・この条件なら参加するだろ。



 命をかけてでも叶えたい願いが、俺にはあるのだから。



 参加の文字をタップする。するとスマホには芸術的な羊の絵と、Ariesの文字が表示された。Aries?確か牡羊座のことだよな。


「全員参加するようだな、そうでなくてはゲームが盛り上がらない、感謝する。」


 感謝するなら家に帰してくれよ。


「今君たちのスマホにはそれぞれの十二星座の一つの絵が映っているはずだ。君たちの象徴というか、名前だとわかりにくいので、星座で代用した。その画面をタップしたら君たちの情報が表示される、確認してみてくれ。」


 スマホをタップするとそこには俺の名前から始まる情報が記載されていた。



名前:灰上 芯

年齢:22

性別:男

願い:心を知る

スキル:触れた物と意志疎通できる

ミッション:二名以上のミッションを手助けしクリアさせる。

アプリ:参加者のミッション一覧ーーー起動



 スキル、ミッション、アプリというワードが目を引く、アプリの隣には起動の文字、これはアプリが起動すると見ていいのだろう。


「その画面の説明だが、まずスキルとは君たちの願いを叶えたものだ、欲しい力が今の君たちには既に与えられている。スキルは参加者それぞれ違う。そして次にアプリ、これは君たちのスマホに与えられている機能であり、これも参加者それぞれ違う。最後にミッションだが、これはゲームのルールそのものと関係するのでまとめて説明しよう。」


 スキル?つまり俺は物の心を知ることができると・・・試しに壁に向かって手を伸ばす。


(あぁ!!突然奇声を発するヤツに触られた!動けない壁の宿命が悩ましい!)


 ・・・壁にまでドン引きされてるよ俺。・・・でも確かに無生物の感情を知ることができた・・・


「君たちは今、とあるビルの一室に軟禁されている。ゲームが開始されると扉の鍵は解除される。君たちはビルの最上階にあるクリア部屋を目指してもらう、ただし、クリア部屋では審査がある、ミッションをクリアしていることが審査を通る条件だ。審査を通らないとクリアしたことにはならない。」


 ・・・つまり、ミッションを達成させつつクリア部屋を目指す、ということか。


「制限時間はないが、ゲーム開始と共に一階の床から二酸化炭素ガスを少しずつ噴射する。あまり悠長にやっていると酸欠になってしまうから、それなりに急いだ方がいいだろうな。」


 なるほど、否が応でも上を目指さなくてはいけないわけか。


「このビル内ではゲームのルールが法だ。殺人だって合法、ミッション達成のために、または自分の身を守るために、どんなことをしても構わない。」


 さっき命の保証はないって言ったのはそういう事か。このゲームは他の参加者との和平的な関係が大事になって来るのだろう。


「最後に先ほど十二星座と言ったが、参加者は全部で十一人だ。しかし、星座は十二存在する。参加者の一人はジョーカーアプリを有するスマホが渡されている。ジョーカーは該当していない星座になる、偽装ということだな。害を与えないミッションだからといって油断すると、とんでもないミッションを隠しているかもしれないな。」


 ・・・・ジョーカー・・・和平関係が、信頼が大事なゲームでこの存在は痛い。常に疑いがかかってしまう。・・・とりあえず俺のスマホにジョーカーの機能はないようだ。


「さて、ゲームの説明は以上だが、何か質問は?」

「食料や水分はどうなっている。」


 ハキハキとした男の声が聞こえた。きっと他の参加者だろう。これグループトークだったんだ・・・


「ビルの部屋のいくつかに食料、水、寝具、シャワー室、武器などを配置している。」


 それが必要ということは、このビルとやらは結構な広さなのだろう。

 教えてくれるか微妙だけど、聴いてみるか。


「この建物はどのくらいの広さで何階建てなんだ?」

「その質問には回答しかねる。」


 ・・・ダメだったか。となると、恐らく地図かそれに近いアプリを有する人がいるはず、協力、少なくとも取引はしたいところだ。


「質問もないようなので、ゲームを開始する。健闘を祈る。」


 ・・・何かいまいちキャラがつかみにくいスマホさんだったな。理不尽を突き付けたと思ったら意外と手厚くしてくれていたり・・・


ガチャ


 扉から音が聞こえた。鍵が開いたようだ。すぐに出てもいいが、まずは俺のアプリの確認からだ。

 起動の文字をタップすると、画面が変わり、星座とミッションの記載された表が表示された。




ミッション一覧


Aries(牡羊座)

二名以上のミッションを手助けしクリアさせる。


Taurus(牡牛座)

AriesまたはCapricornと手錠を繋ぎ36時間以上経過する。


Gemini(双子座)

Libraのスマートフォンを破壊する。


Cancer(蟹座)

武器を使用せずにクリア部屋にたどり着く。


Leo(獅子座)

スマートフォンを3個以上所持し審査を受ける。


Virgo(乙女座)

参加者全員の願いを知る。


Libra(天秤座)

生存する参加者の中で最も下の階にいること(同じ階まで許容)。


Scorpio(蠍座)

自分以外の参加者が死亡している。


Sagittarius(射手座)

Scorpioを殺害する。


Capricorn(山羊座)

Aquariusをゲームクリアさせる。


Aquarius(水瓶座)

自分以外の参加者に傷を付ける。


Pisces(魚座)

各階に存在するチェックポイントを二名以上で通過する。



 ・・・俺のミッションは二人のミッションクリアの手助けだからこの機能はありがたい、この感じからすると、チェックポイントを廻らなければならない魚座の人か天秤座の人辺りが地図アプリを持っている可能性が強いな・・・探そう。

 それと、中には他者に危害を加えるミッション、スマートフォンを必要とする奪うために害する、そんなミッションもあることに気を付けよう。

 ・・・そんなことを考えた後に、床から小さな、空気が通る音がし始めた。二酸化炭素ガスだろう。寝心地の良い布団と離れるのは惜しいが行かなければなるまい。

 俺は解錠された扉をあけ、部屋を出た。


 ・・・さて、部屋の外は廊下になっていた。相変わらず無機質なコンクリートしか見えない。所々に部屋がある、さっき説明のあった食料とかがあるのだろう。

 目的地は恐らく二階への階段なのだろうが、まずは協力者を探したい、今ならまだ全員一階にいるから遭遇しやすいはずだ。・・・無機質な壁に手を触れ、感情を読み取る。


(壁さん、この周辺に他に人はいませんか?)


 何か壁と会話するのははたから見ると残念な人みたいで、なかなか居たたまれない光景だよな。


(おい人間、壁が一続きだからって意思が一つだと思うなよ。壁社会とか知らんだろ。)


 さっきの壁さんとは違う壁のようだった。ってか壁社会とかあるんだ。新しい発見だ。


(まぁ、俺も人間と会話するのはこれが初めてだからな、せっかく話しかけてくれたのに何も役に立たないってのは申し訳が立たねえから、他の壁に聴いていてやらぁ、ちょいと待ってな。)


 やだ、この壁カッコいい。ダンディー。


(待たせたな。どうやらここから二区画先に誰かいるらしいとよ。)

(ありがとう。その人はどんな感じの人かわかるかな?乱暴そうとか)

(全く、壁使いの荒い人間だな。俺がコンクリートでなければヒビが入ってたぜ。ちょっと待ってな、また聞いてきてやるからよ。)


 壁さんマジイケメン。


(どうやら若い女らしいぜ、おどおどした感じだとよ。)

(壁さん本当にありがとう。)

(いいってことよ。俺も壁ドン以外に役に立てて悪くなかったぜ。)


 壁の仕事は壁ドン用がメインではないと思うが・・・

というより、おどおどした、ということは地図を持ってはいなさそうだな。・・・まぁ、危険そうでなければ俺のミッションもあるし、接触しておく価値はあるだろう。

 とりあえず、壁さんの案内があった方へと向かった。


 二区画ほど歩いて建物の広さがなんとなくわかった。十一人もいるはずなのに足音とか一切しない。

 歩いていると、人影が見えてきた。ニット帽にマフラーと冬支度をしている、そのせいであまり顔がよく見えないが、恐らく俺より若い、マフラーの下はどこかの学校の制服のようだし、高校生くらいだろうか・・・相手がどんなスキルとミッションかわからない以上変に刺激しないようにしないとな。


「こんにちは、君もゲームに巻き込まれちゃったのかな?」

「ひっ!」


 すごい驚かれた。

 その直後に彼女の手が光り、ライフルが手の中にあった。

ライフル。スナイパーライフルと言えばいいのかな?すっごく銃身の長いヤツ。


「ちょっと待って!俺は君に危害を加えない!安心して!」

「・・・っ!」


 彼女は警戒を解かない。仕方がないからスマホを表示させて彼女に見えるようにかざした。


「ほら、俺のスキルは物と会話するだけで、ミッションも他の人のミッションを手伝うってヤツだから!だから君に危害は加えない。むしろ君のミッションを手伝わせてよ。」


 相手のミッションがわからない今、この提案は早計だったかもしれないけど、命には変えられない。それに身を守る手段がない俺には銃を所持する彼女は必要かもしれない。

 彼女はしばらく俺のスマホ画面を見て、そして銃を下ろした。


「信じてくれてありがとう。俺は牡羊座の灰上 芯。君は?」

「・・・お、牡牛座・・・忍野(おしの) (すみれ)。」

「菫ちゃんか、よろしくね。」

「・・・(コクリ)」


 どうやら口数は少ない方らしい。・・・いや、顔を隠してるあたり、ただのシャイなだけかも・・・

 ・・・この子、牡牛座って言ったっけ、確かミッションは牡羊座か山羊座と手錠を繋ぐっていうのだったはず。お互いに都合がいいのかもしれない。


「えっと、じゃあ菫ちゃん、改めてお願いするけど、俺のミッションは二名以上のミッションを手助けしクリアさせることなんだ。菫ちゃんのミッションを手伝ってもいいかな?」

「・・・コクリ」


 ・・・コミュニケーション取るの難しい子だな・・・

 まぁ、俺も彼女くらいの年齢の時はそんな感じだったけど。


「・・・・・・わ、わたしのミッションは、・・・牡羊座の人と、こ、この手錠で繋がって、さ、36時間以上いること・・・えと、その・・・お願いします。」


 そう言って手錠の片方を渡してくる。俺はその手錠を受け取り、自分の左腕に・・・


「・・・・・・。」

「・・・・・・?・・・えっと、芯さん?」


 ・・・左腕に付けた。


「ごめん、何でもない。」

「・・・・・・大丈夫?」


 ものすごく不安そうな顔で見てくる。顔が半分見えなくてもそれが伝わるくらい。


「よし、じゃあ他の人を探そうか、俺のミッションにはあと一人は必要だし、心強い味方になるかもしれないし」

「・・・うん。」


ヒュン!


 突如俺の肩を何かが掠めた。

 掠めた物は少し先の床に落ち、確認すると、それはナイフだった。ナイフが飛んできた方を見るとそこには次のナイフを振りかぶる少女の姿が・・・狙いは菫ちゃんのようだ。


「くっ!させるかよ!」


 咄嗟に菫ちゃんの盾となり庇う、飛んできたナイフは自由な右手で叩き落とした。そこまでの速度ではなく、叩くくらいならできた。


ッズガァン!


 背後から轟音がした。菫ちゃんがライフルを撃ったらしい。狭い空間でこの轟音、意識が飛びそうで正直状況をあまり確認できない。

 そんな中で確認したのはナイフが飛んできた方向、・・・ナイフの少女の姿はなくなっていた。


「ごめんなさい!・・とっさの事で何も言わずに撃っちゃった・・・び、びっくりしたよね?・・・大丈夫?」

「ま、まぁ、大丈夫だけど、少し休ませて。耳がぐわんぐわんする・・・」


 今まであまり喋らなかった菫ちゃんが心配して声をかけてくれる。きっと本当は優しい子なんだろう。


「菫ちゃんが攻撃しなかったら、俺は殺されていたかもしれない。助かったよ、ありがとう。」


 少し気恥ずかしかったが、こういう子にはきちんと感謝を伝えるべきだと思った。

 ・・・ただ、ナイフの子は俺達を殺さないと思う。ミッションで殺す指示があったのなら、あんなナイフを投げるなんてことはせずに、しッかり刺しに来るのだろう。投げるだけでよかったと考えると、あの子のミッションはスマホを奪うことや傷を付けること辺りだろう。・・・だとすると、菫ちゃんに傷を付けることに失敗したわけだから、また襲って来るのだろう。今度はライフルに対向できる武器を持って。

 とか考えていると、走って来る足音が聞こえた。

 誰かがこちらに向かって来る。


「菫ちゃん」

「・・・うん。」


 菫ちゃんも気付いているようだった。ライフルを構える。・・・今さらだけど、菫ちゃんは手錠で右手が使えないから左手で銃を扱っている。すごい筋力だと思う。狙いはブレブレだけど。

・・・足音はずいぶん近い。


「相手が誰だかわからないから、とりあえずは撃たなくていい、相手に話し合う意思がなかったら威嚇するように撃って」

「・・・うん。」


 彼女は視線を反らさずに小さい頷いた。

壁の向こうからこちらを伺う影が見えた。とりあえずこちらは自衛のための武装だと伝えよう。


「そこの君、いるのなら、落ち着いて話を聞いて欲しい。俺達に君を攻撃する意思はない。君がこちらに危害を加えないという事を示してくれれば、今すぐにでも銃を下ろそう。」


 ・・・一拍置いて、影から両手を挙げた女性が姿を現した。スーツを身に付けているからか、歳上の印象を受ける。


「そのままで答えて下さい。あなたは何座ですか?」

「私は魚座、ミッションのために人が必要で、大きな音がしたからその方向に人がいると思って来ただけなの。」


 その女性は俺の目を見て、そう答えた。あれは信じて欲しい時にする目だと俺は知っていた。

 ・・・魚座、ミッションはチェックポイントを二名以上で廻ることのはず、そして俺の探していた地図を持っている可能性が最も高い人。

 彼女の言葉からして、魚座であることは間違いないはず。


「菫ちゃん、銃を下ろしていいよ。」


 菫ちゃんが銃を下ろすと、銃は光って消えた。スキルであることは間違いないのだけど、どうやってこんな力を得られたのだろうか。

 ・・・それはさておき、魚座の彼女とミッション協力の交渉をしなければ。彼女のミッションなら割りと容易だし、これで最低限必要な人員は確保できるし、互いに利害が一致しているはず、このゲームの出だしとしてはいいはず。何としてでも勝ち残りたい俺としては悪くない。


 俺はまだやり直しの途中なのだから、死ぬ訳にはいかない。

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