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大丈夫

麻里『人見!!』


人見『なんだよ!?おっかない顔して。』


麻里『あんたの友達が、また白瀬を襲ったんじゃないの?』


人見『なんだよ、その偏見。』


麻里『去年、あんなことがあったから、疑いたくもなるでしょ。』


人見『あの時は、俺も被害者だろ。』


麻里『それ以前に私に対してもあったじゃない!!』


人見『あれも、示談成立してんじゃん。』


麻里『私は納得してない!!それはそうとして、やっぱり心配だよ。』


人見『お前、あいつが欠席する度にヒステリックになってんじゃん。』


図星だった。今年は5回くらいあった。


麻里『うーん。』


人見『自宅に行ってみるか?確か木曜日はバイト休みだろ?』


麻里『そうなの?なんで、そんなこと知ってるの?』


人見は、ニヤッと笑った。


麻里『変態。』


人見『とりあえず、アパートに行こうぜ。』


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ピンポーン・・・。


母『・・・はい?』


公子『公子です。色葉ちゃん・・・いますか?』


公子は、恐る恐る聞いた。不安だったからだ。


母『ごめんなさい、昨日から帰ってないの。』


公子『昨日からですか!?』


母『この1年間、あの子の自由を奪ってしまったから、そろそろ自由にさせてあげようと思って・・・。』


公子『色葉は今どこにいるんですか?』


母『最近は家とバイト先の往復ばかりだったからわからないけど、小学生の頃に通っていたっていう駄菓子屋には、時々通っていたみたい。』


公子『小学生の頃に通っていた駄菓子屋?なんで今更・・・でも・・・わかるかも。』


公子は記憶の奥底にしまっていた思い出を、ひとつ、ひとつ、探った。


公子『イトさんのところだ・・・。』


ブロロロロ・・・ブロロロロ・・・


公子『ん?』


アパートの踊り場から身を乗り出すと、趣味の悪いバイクが見えた。


公子『人見くんと・・・藤浪さん?』


公子は階段を駆け下りた。


麻里『誰か、走ってきてない?』


人見『誰だ?』


公子『はあ、はあ、はあ。』


麻里『柳田どうしたの?もしかして、白瀬いなかったの?』


公子は頷いた。


人見『・・・。』


麻里『やな予感がする・・・。』


人見『やな予感って?』


麻里『そのままの意味のやな予感だよ。』


公子『あの・・・ついて来てほしいんだけど・・・。』


麻里『どこに?』


人見『バイクでかっ飛ばすか。』


公子『あ・・・バイクは・・・三人乗りになっちゃうし・・・住宅街・・・。』


麻里『じゃあ、人見は抜きで行きましょう。』


人見『おい、なんでだよ!!』


麻里『(柳田が気まずそうじゃない。)』


人見『しゃあねぇな。』


麻里と公子は、早川駄菓子屋へと向かった。何かが分かる気がしたから。何も得られなくてもいい。何か大事な物を残している気がしたから。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


少年A『ごめんなさい・・・。』


イト『万引きはいけないことなのよ。』


2人が駄菓子屋に到着すると、男の子が泣いていて、それをお婆ちゃんが慰めていた。


公子『あの・・・すいません。イトさんは・・・。』


イト『・・・公子ちゃん?あなた公子ちゃんよね!?』


お婆ちゃんは嬉しそうに公子の頬に触れた。


公子『あの・・・イトさんですか?』


イト『そうよ!!立派なお嬢さんになって・・・。』


麻里『あー、イトさん?私たち、ちょっと聞きたいことがあるんですけど。』


イト『あなたは・・・佐知子ちゃん?』


公子『イトさん、佐知子ちゃんじゃないよ。彼女はクラスメイトの藤浪さん。』


イト『へぇ、クラスメイト・・・。佐知子ちゃんに似て美人さんね・・・。』


麻里『どーも。』


公子『でね、色葉について、ちょっと聞きたいんだけど、最近ここに来てない?』


イト『色葉ちゃんなら、毎週日曜日にここに来てくれてるわよ。おもしろい話をたくさん聞かせてくれるのよ。』


イトさんはニコニコしている。


公子『実はね・・・。色葉が昨日から行方不明なの。もしかしたらここにいるかもって思ったんだけど・・・。』


イトさんはビックリした表情のまま固まってしまった。


公子『イトさん?』


イトさんは公子の問い掛けを無視して、2人を奥の部屋に案内した。


イト『私ね、娘がいたの。』


麻里『・・・。』


公子『・・・。』


イト『でもね、ちょうどあなたたちの年齢の時に行方不明になって・・・。』


麻里『娘さんは・・・。』


イト『変わり果てた姿で見つかったの。』


公子『・・・。』


イト『安易に不安にさせたいわけじゃないけれど、もしかしたら色葉ちゃんも・・・。』


公子『怖がらせないでくださいよ・・・。時代が違うから大丈夫・・・大丈夫・・・。』


公子は声を震わせながら自分に言い聞かせた。大丈夫・・・大丈夫・・・と。

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