子供と大人
私は懐かしの駄菓子屋の前にいた。子供たちが何やら騒いでいる。
少年A『それより、レアなビックリマンシールと交換するって言ったじゃんかー!!』
少年B『騙される奴が悪いんだよ。あっかんべー!!』
少年A『じゃあ!!じゃあ!!ファミコンで勝負して、俺が勝ったら、返してよ!!』
少年B『ダメダメ、取引が成立したから、ダメー!!』
最近の小学生の社会は厳しいなー。私は、またも年増のような素振りをしてしまった。
私『とりあえず、中に入ろう。』
私は駄菓子屋の中に入った。駄菓子の置いてある箱の位置の低さに驚いたのもつかの間。壁には、小学生の頃に書いた私のサインを見つけた。
私『有名になったら帰ってきまーす。めざせ!!女ゆうさん・・・か。』
私は小学生の頃の私に謝りたくなった。
イト『これ、覚えてる?』
私『わっ!?もーびっくりさせないでよ。イトさん。』
イト『そっちが公子ちゃんの書いたサインよ。』
イトさんは、2つ隣のサインを指差した。
私『あ、これ?・・・友達とずーっと同じ学校に通って、大人になっても、ずーっといっしょでいたい!!』
イト『高校は公子ちゃんと一緒?』
私『うん。でも、その後は離ればなれになっちゃいそう。』
私は、今の状況をイトさんに詳しく喋ってみた。何かが欲しいんじゃなくて、ちゃんと話しを聞いて頷いてくれるイトさんと話しをすれば、心が癒えると思ったから。
私『ごめんね、つまらない話しちゃって。』
イト『いやいや、この年齢になると、若い子の話は何でも面白いよ。』
私『どういうこと?』
イト『年齢を重ねると、毎日がとっても短く感じちゃうものでね。面白いことを見つける前に夜になっちゃうから。』
イトさんはそう言って、笑ってくれた。
イト『毎週日曜日は、ここにおいで。』
私『え、これ、なんですか?』
イト『売れ残りの駄菓子だよ。食べない日があるよりはましだから。』
イトさんはスーパーの袋パンパンに詰めた駄菓子をくれた。
イト『その代わり、日曜日は面白い話を聞かせてね。』
私『ありがとう。』
私は袋パンパンの駄菓子を持って家に帰った。中身を調べて見ると、駄菓子だけではなく、駄菓子屋の裏の畑で作っている野菜も入っていた。その野菜を使って朝ごはんを作るのが私の役目になっていたのは、それを持って帰った次の日から。
母『私、目玉焼き以外、料理できないわよ。』
この一言がきっかけとなった。母が料理を作らなくなったのはいつからだろう。それも、多分14年前からだろう。離婚して、仕事をし始めてから。
だから、私は朝4時に起きなくてはならないのだ。早すぎるんじゃないかって?料理作りにハマってしまったからだ。夜とは違って、朝は疲れていないから、気持ち良く調理に集中できる。
美知『おはよう。』
私『おはよう。』
最近は起床の順番が、私→美知→母になってしまっている。
私『じゃあ、美知。私、学校に行くから、お母さんよろしく。』
美知『はーい。』
卒業式の練習という名目で、3年生は帰宅部であろうと、運動部と同じ時間に登校しなくてはならない。馬鹿らしい。私は不満たらたらに家を出た。
???『白瀬和子の娘は2人か・・・。』
???『はい。』
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麻里『ふぁ〜ぁ』
人見『だりぃ。』
麻里と人見が体育館前で、座っていた。
人見『白瀬ー。俺ら、欠席って言っといて。』
私『自分で言って、先生と喋りたくないから。』
人見『俺が、人見君は欠席ですって言うのか?コントじゃん。お願いしますよ、色葉ちゃん。』
人見が甘えてくるのは、面倒くさい。いくら、コネがあるからって、最近はこのノリが定番になりつつあり面倒くさい。
麻里『いちいち言わなくてもいいよ。私たちが居なくても、問題ないから。』
私『いや、問題あるだろー!!』
ここまでがお約束の流れ、私は真面目キャラではないはずなのに2人+佐村と絡むとこうなってしまう。この習性を身につけたのは、例の出来事からだ。2人とは一生縁がない。あってたまるもんかと思っていたあの頃が懐かしい。やっぱり、私は成長してるんだ。時間の流れが何よりの証拠。
飯塚『お前ら、集まれ!!!』
うるさいな、もう。私たちはそんな顔をしていた。それがバレると、お前らなっちょらんと御説教が始まる。卒業式って、私たちのための式じゃないの?ねぇ、神様!!窓ガラス壊して回っても、意味がないことはわかってるけど、偉そうな大人の言いなりっていうのも違うと思う。
公子『色葉!!はやく!!』
私『ん?』
いつの間にか、二人とも、輪の中に加わり、私だけが、入り口で腕を組んでいた。
私『あ、ごめん、ごめん。』
飯塚『後で生活指導室に来い。』
私は生活指導室でみっちり、御説教を受けた。だから、卒業式は誰のためにあるの?先生のため?私はこんなに素晴らしい生徒を育て上げましたって自慢したいだけ?だから素晴らしい生徒に当てはまらない生徒を呼び出して、脅かして、貶しているんだ。大嫌い。




