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上京支度

卒業式当日


私は、この3年間で何を得たのだろう。その前の3年間で得たものを否定されるためだけに通っていた気がする。でも、そうされないと大人にはなれない。それに気づくことが出来るのは、ほんの一握り。私、佐村、麻里、人見くらい。公子は多分気づいていない。


私『もう、泣いてるの・・・?』


公子『だって・・・だって・・・。』


女の子なんだもんとか言うつもり?卒業生入場前なのに・・・。泣けない私の心が冷たいのか、公子の感受性が豊か過ぎるのか・・・。


私『離ればなれとは言うけれど、今の時代、電話も車もあるじゃない。10年後にはポケットや鞄に携帯する電話とか、誰でも容易に運転できる車が発明されるかも知れないじゃない。』


公子『そうだよね・・・考えすぎるのも良くないよね・・・。』


公子自身に言っているのか、私に言ってくれているのか・・・。もう少しで式が始まる。絆創膏に触れないのは公子の優しさか。


私『麻里、絆創膏減ってない?』


麻里『絆創膏だらけだと、かっこ悪いじゃん。』


触れない方がいいこともある。絆創膏だらけの私はかっこ悪いみたい。


私『人見・・・ごめんね。』


人見『なんでお前が謝るんだよ。あの状況じゃ、誘拐犯の命令を拒むことなんか出来なかったんだろ?』


私は、あのとき岸谷が怖かったわけじゃない。瞳さんがいなくなったから、擦り寄るチャンスが生まれただけ。そのチャンスを腐らせるほど私は馬鹿な女じゃない。結果的には逃してしまった形になってしまったけれど、その代わりとなる男は都会には、大勢いるだろう。だから、私は都会に行くんだ。私は公子みたいに強い女じゃない。麻里みたいに世渡り上手な女でもない。私は男に擦り寄らなければ生きていけない女。


司会『卒業生一同の入場です。』


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


卒業式が終わると、麻里と一緒に佐村を探した。


私『佐村、卒業式に出てた?』


麻里『わからなかった。サボりかな。』


私『サボり!?』


佐村『誰がサボりだって?』


麻里『あれ、佐村?』


私『・・・なに、その頭。』


佐村『短髪にしたんだよ。変か?』


麻里『なんで、私に相談しなかったのよ!!』


私『わ、私の入れ知恵じゃないからね!!』


佐村『最後の最後に喧嘩すんなよ。今、絆創膏持ってないんだから。』


佐村は鈴木さんの車に私たちを押し込んだ。


麻里『あれ、なんで人見もいるの?』


人見『へへっ。』


佐村『俺たちも上京することに決めたんだよ。』


麻里『それも相談されてない!!』


佐村『相談もなにも昨日決めたんだよ。せっかく都会に出て、また田舎に帰ってくるのも馬鹿らしいだろ?』


麻里『私、支度が・・・。』


佐村『今から、回ってやるよ。白瀬も顔を見せないとならない人がいるんだろ?』


私『イトさん・・・?』


佐村『柳田に頼まれたんだよ。正確には人見を介してだけどな。』


公子は真面目すぎるんだよ・・・。面倒くさいな・・・。

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